第2回 あなたは人を闇に堕とす仏の顔を見たことがあるか?
仏のようなと形容される人がいる。
今朝出会った方は、まさしくそのような人物であった。
午前8時の私は午前9時のアポに合わせて営業車のハンドルを握っていた。
通勤ラッシュを避け閑静な住宅街を抜ける道へ。
そこで仏に出会った。
仏は私の前を軽自動車で走行しておられた。
慈悲面から安全を考慮し制限速度30キロを下回る20キロきっちりで走行。
自転車が私の車を軽快に追い抜いていく。
狭い道路なので対向車とのすれ違いの際には譲り合いが不可欠であった。
こういう場合、なんとなく空気を読んで、あ、今こちらが一台行ったから次はそちらが一台、という具合に平等に交互に譲り合って通過するのが暗黙のルールだと俗物の私などは考える。
仏さんは違う。
左側の住宅の外壁まで数センチ、サイドミラーを擦るように車を寄せ、十数台の対向車の列がなくなるまで停車。
さすが仏。
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