<天皇賞・秋>◇1日=東京◇G1◇芝2000メートル◇3歳上◇出走18頭
信頼と絆で勝ち取った天皇盾だ。1番人気のラブリーデイ(牡5、池江)が代打騎乗の浜中俊騎手(26)に導かれ、力強く押し切った。勝ちタイムは1分58秒4。主戦の川田将雅騎手(30)の騎乗停止という大ピンチを、陣営は結束力で克服。6月の宝塚記念に続くG1・2勝目、年間重賞6勝目を飾った。次走、29日東京のジャパンC(G1、芝2400メートル)で外国馬を迎え撃つ。
ラブリーデイで天皇賞・秋を制した浜中騎手はガッツポーズ。左は6着のクラレント
派手なアクションが、浜中の喜びとプレッシャーの大きさを物語っていた。ラブリーデイが真っ先にゴールすると、雄たけびを上げながらステッキを思い切り振り下ろす。ウイニングラン後のスタンド前では、馬をたたえるようファンにアピール。両腕でVサインをつくり、ステッキを投げ入れて喜びを爆発させた。
「責任を果たせてほっとした。この馬の強さを証明できてうれしい。足を引っ張らずに最低限の仕事ができました」。普段はクールな男が興奮を隠せない。川田の騎乗停止で2週前に飛び込んできた騎乗依頼。「天皇賞で1番人気になる馬に乗れるなんて思ってもいなかった。(天皇賞は)素晴らしいレース。夢でした」とまくしたてた。
レース後の表情とは裏腹に、手綱さばきは冷静だった。緩い流れに前半こそ引っ掛かったが、3角までにはジワリと3番手で落ち着かせた。4角を回って手応え抜群に抜け出そうとする馬をなだめ、残り300メートルから追い出した。「東京は直線が長い。なるべく追い出しを我慢しようと」。大外枠を克服した秋華賞(ミッキークイーン)に続く、今年G1・3勝目も完璧な騎乗だった。
川田のサポートも見逃せない。浜中の騎乗が決まったとき、この日のレース直前に馬の特徴を伝授した。浜中は「返し馬や競馬での馬の特徴をアドバイスしてもらいました。それを参考にプランを立てました」と感謝。「川田の気持ちを考えるとかわいそう」と気に掛けていた池江師は川田と隣の席で観戦。勝利を見届けると、ガッチリと握手して、喜びを分かち合った。
昨年まで3勝だった馬が、今年はG1・2勝を含む重賞6勝。皇帝シンボリルドルフなど過去の名馬と肩を並べた。重賞4連勝。師は「筋肉量が増えて(筋骨隆々だった父)キンカメのような鋼の体になってきた」と成長に目を細める。次走ジャパンCは鞍上は未定だが、「今年は欧州で『日本馬が弱い』といううわさになっているらしい。強いところを見せたい」と日本代表のプライドをのぞかせる。この勝利で今年の年間獲得賞金もトップに立った。外国馬を一蹴したとき、「結果の後についてくる」という年度代表馬の称号も手にしているはずだ。【栗田文人】
信頼と絆で勝ち取った天皇盾だ。1番人気のラブリーデイ(牡5、池江)が代打騎乗の浜中俊騎手(26)に導かれ、力強く押し切った。勝ちタイムは1分58秒4。主戦の川田将雅騎手(30)の騎乗停止という大ピンチを、陣営は結束力で克服。6月の宝塚記念に続くG1・2勝目、年間重賞6勝目を飾った。次走、29日東京のジャパンC(G1、芝2400メートル)で外国馬を迎え撃つ。
ラブリーデイで天皇賞・秋を制した浜中騎手はガッツポーズ。左は6着のクラレント
派手なアクションが、浜中の喜びとプレッシャーの大きさを物語っていた。ラブリーデイが真っ先にゴールすると、雄たけびを上げながらステッキを思い切り振り下ろす。ウイニングラン後のスタンド前では、馬をたたえるようファンにアピール。両腕でVサインをつくり、ステッキを投げ入れて喜びを爆発させた。
「責任を果たせてほっとした。この馬の強さを証明できてうれしい。足を引っ張らずに最低限の仕事ができました」。普段はクールな男が興奮を隠せない。川田の騎乗停止で2週前に飛び込んできた騎乗依頼。「天皇賞で1番人気になる馬に乗れるなんて思ってもいなかった。(天皇賞は)素晴らしいレース。夢でした」とまくしたてた。
レース後の表情とは裏腹に、手綱さばきは冷静だった。緩い流れに前半こそ引っ掛かったが、3角までにはジワリと3番手で落ち着かせた。4角を回って手応え抜群に抜け出そうとする馬をなだめ、残り300メートルから追い出した。「東京は直線が長い。なるべく追い出しを我慢しようと」。大外枠を克服した秋華賞(ミッキークイーン)に続く、今年G1・3勝目も完璧な騎乗だった。
川田のサポートも見逃せない。浜中の騎乗が決まったとき、この日のレース直前に馬の特徴を伝授した。浜中は「返し馬や競馬での馬の特徴をアドバイスしてもらいました。それを参考にプランを立てました」と感謝。「川田の気持ちを考えるとかわいそう」と気に掛けていた池江師は川田と隣の席で観戦。勝利を見届けると、ガッチリと握手して、喜びを分かち合った。
昨年まで3勝だった馬が、今年はG1・2勝を含む重賞6勝。皇帝シンボリルドルフなど過去の名馬と肩を並べた。重賞4連勝。師は「筋肉量が増えて(筋骨隆々だった父)キンカメのような鋼の体になってきた」と成長に目を細める。次走ジャパンCは鞍上は未定だが、「今年は欧州で『日本馬が弱い』といううわさになっているらしい。強いところを見せたい」と日本代表のプライドをのぞかせる。この勝利で今年の年間獲得賞金もトップに立った。外国馬を一蹴したとき、「結果の後についてくる」という年度代表馬の称号も手にしているはずだ。【栗田文人】
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