「スピルバーグ決戦前日です」

 「寒いところ、よくここまで来てくれたな。馬は見ての通り。こういう環境が好きなんだろうね」。プリンスオブウェールズS前日の動きを見守った藤沢和師は周囲に笑顔を振りまきました。

 16日朝、晴天で冷たい風が吹き抜けるニューマーケットの丘です。この日も午前5時半すぎに厩舎を出発したスピルバーグ、スーパームーンの2頭は軽快にウォーレンヒルを1本駆け上がりました。

 先導する形の多いスーパームーンと追いかけるスピルバーグ。厩舎と調教場との移動も普段からこの並びなんですが、これはスピルバーグの性格によるものでしょう。

 「ノンビリ屋さんだね。普段から(速い)時計を出していく馬じゃないし、状態はいいですよ。ここ(ウォーレンヒル)はスタートから勾配があって、思っている以上にきつい。でも、ポリトラックで走りやすそうだ。落ち着いているのもいいね。こっちの馬場はペースは遅いかもしれないけど、行きたがる馬は厳しい。この馬は穏やかな子だからさ」。

 厩舎前で手入れされているときにはそのまま寝ちゃっているんじゃないかというおとなしさのスピルバーグ。一方で活気十分のスーパームーン。

 今朝は報道陣数名が藤沢和師や厩舎関係者と一緒にウォーレンヒルの横で走っていく姿を見ましたが、自分の目にはスピルバーグ、とても良く見えました。

 土曜の朝に藤沢和師が言っていたようにアスコットの馬場は日本の「良」に近い状態でレースになりそう。昨年はザフューグが2分1秒90(芝2000メートル)のレコードを打ち立てたコースです。

 個人的に「軽い馬場=日本馬向き」だとは思いませんが、「軽い馬場=スピルバーグ向き」なのは間違いないと思っています。好走へ向けた条件もそろってきました。タフなアスコットの馬場でも今なら豪快に突き抜けるシーンを期待できる…、そんなムードになってきました。【木南友輔】
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プリンスオブウェールズS前日の16日朝、ウォーレンヒルを駆け上がるスピルバーグとスーパームーン(左)
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16日付レーシングポスト。ロイヤルアスコット開催初日の表紙を飾るのはクイーンアンSのソロウ(中央)、セントジェームズパレスSのグレンイーグルス(右)、キングズスタンドSのソールパワー(左)