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【プロレスはやっぱり奥が深い!】安田忠夫が語る「哀しきジャブボーイとイジメ」

2018/04/01 00:00 投稿

コメント:7

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  • 安田忠夫
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安田忠夫ロングインタビュー第4弾! 今回は、ジャブボーイや試合の流れなど「プロレスの仕組み」について言いたい放題でお送りします! イラストレーター・アカツキ@buchosenさんによる昭和プロレスあるある4コマ漫画「味のプロレス」出張版付きでお届けします!(聞き手/ジャン斉藤)




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――
安田さんが新日本プロレスを解雇されたあとの流れがよくわからないんですね。

安田
 そんなの、俺だってわからないよ!(笑)。

――
ハハハハハハ! ウィキペディアによると、ファーストオンステージの中村祥之さん預かりになったと書かれてるんですね。

安田
 ……なんでだっけ?

――
サイモン猪木氏から中村さんに契約を譲渡された……ってことなんですけど、解雇されてるのに契約を譲渡っていうのも変な話ですよね。

安田
 そのへんは中村さんに聞いたほうがいいかも。俺は知らんもん。

――
とにかくゼロワンには出るようになったんですね。

安田
 あの頃は高岩(竜一)くんとずっと遊んでた。高岩くんが知り合ったプロレスファンのタニマチから毎日1万円2万円もらって。

――
毎日1万円2万円(笑)。

安田
 それで朝は必ず大井競馬。半年間そんな生活だったよ。

――
どうして毎日そんなお金をもらえるんですか?

安田
 知らないよ、そんなの。タダでくれるんだから余計なことを言わないほうがいいんだよ。1日2万円くらいじゃ博打ですぐになくなっちゃうんだけどね。ガハハハハハ!

――
なんて言い草ですか!(笑)。

安田
 あ、思い出した! ゼロワンに上がることになったのは『ハッスル』からだよ。中村さんは『ハッスル』に関わってたでしょ。そこから話をもらったんだよ。ギャラは安かったけど、それでもゼロワンの中では高いほうで。若い奴がワンマッチ5000円1万円だってときに7万円くらいもらってたかなあ。

――
『ハッスル』だとそれ以上もらってたんですよね?

安田
 『ハッスル』は大きいところでやるときは100万円。

――
ワンマッチ100万円! そりゃあ潰れるわ(笑)。

安田
 後楽園ホールとかは15万円。『ハッスル』が一番いいときだったからね。そのかわり小川(直也)にジャブをして……っていうことだけど。まあいいよね、プロレスで負けても、べつに。

――
100万円は現ナマですか?

安田
 うん。試合が終わったら、すぐもらってそのまま博打よ。

――
『ハッスル』は未払いの被害者が多いですけど、取りっぱぐれたことはないんですね。

安田
 『ハッスル』はないよ。そういえば『ハッスル』のベルト(ハッスル・ハードコア・ヒーロー)を持ったままだから、たぶん。ベルトを持ったまま団体がなくなっちゃった(笑)。

――
『ハッスル』でもプロレスの中身には変わりはありませんでした?

安田
 変わらないね、そこに芸能が入ってくるだけで。おちゃらけの部分を台本どおりにやるだけだから、楽っちゃあ楽だよね。

――
従来のプロレスはある程度のストーリーラインがあって、マイクなんかは……。

安田
 アドリブ。だから楽だったよ、『ハッスル』は。

――
安田さんが『ハッスル』に出た頃に橋本(真也)さんが亡くなったんですよね。

安田
 ああ、そうだよ。ちょうど橋本さんが亡くなった頃だね。最初にそのニュースを聞いたときは「ウソだべえ」と思ったよ。あの頃は橋本さんがどうなってるのかはよくわかんなかったんだよね。『ハッスル』やゼロワンのみんなも橋本さんのことは何も言わないし、まあ俺もそこまで突っ込んでは聞かなかったんだけど。

――
橋本さんはゼロワン勢とも決別してましたし、『ハッスル』とも微妙な関係で。

安田
 俺も橋本さんは連絡は取ってなかったし、昔みたいに家にも行かなくなっていたしね。橋本さんは、かずみさんと離婚してたでしょ。

――
橋本さんと最後に会ったのはいつですか?

安田
 忘れたなあ。俺が電話をしても出てくれなかったんだよね。あとから聞くには「ヤスはどうせまた金がないんやろ」とか言ってたみたいだけど(笑)。

――
金の無心なんじゃないかと(笑)。

安田
 あのときは橋本さんも金がなくて、あの橋本真也がカードを止められてたみたいだから。

――
冬木(弘道)さんの奥さんと付き合ってることも知らなかったんですか?

安田
 風の噂で耳にはしてたけど、その人の顔すらわからないし。

――
お葬式には行かれたんですか?

安田
 行った行った。親戚同士の仲が悪かったでしょ。ちょっと居づらいところはあったんだけどね。

――
亡くなる前に離婚されたり、団体が割れたりしてるから、遺族間でも対立があったみたいですね。

安田
 だから凄く居づらいんだよ。冬木の方はよく知らないけど、橋本さんの田舎にはよく遊びに行ってて知ってるからさ。橋本さんがいたから、その方々との会話も成り立ってるんだけど、かずみちゃんですら葬式のときは端に行かされちゃって。どっちの味方になってもアレだしさ。

――
橋本さんは安田さんにとってどういう人でした?

安田
 とにかく楽しかったよ、一緒にいて。 歳は向こうのほうが下だったけど、親分みたいな感じだから。あの人は博打をやらないし、趣味が合わないけど一緒にいると楽しいんだよね。橋本さんは俺がやらないことが大好きじゃん、アウトドアや女とか。俺は女遊びは一切しなかったから。

――
かずみさんにも話を聞きましたけど、橋本さんのオンナ話は常軌を逸してますね。

安田
 たくさんあるよ。俺もかずみちゃんにボロクソに怒られたことがあったね。大地が通ってた保育園の先生とデキちゃったときは(笑)。

――
酷すぎる!

安田
 「安田さんも知ってたんでしょ?」って聞かれてね。「もう別れたからいいんじゃないの?」って言ったら凄い怒られて。

――
そりゃ怒られますよ(笑)。

安田
 俺と一緒にいると、かずみちゃんは信用するわけよ。たまに橋本さんがどこにいるのか電話がかかってきてね。「かずみちゃん、ちょっと気がついてるかもよ〜」なんて橋本さんに教えてね。

――
しかし、とんでもない夫婦ですね(笑)。

安田
 橋本さんもマヌケなことをやるんだよね。クラブのネーチャンとラブホテルに行ったら、その部屋のカードキーを家に持ち帰ってきて見つかったり(笑)。

――
ハハハハハハハハ! マヌケすぎますよ(笑)。

安田
 橋本さんがそこで怒る理由もわかる。「バッグの中をなんで勝手に見るんや?」ってこと。

――
まあ、言わんとしてることはわかりますけど、でも……。

安田
 あの人、カバンを開けっぱなしにしてるから「勝手に見るな!!」っていうほうが難しいんだけど。ケンカして2〜3日もすれば、また元に戻るから放っておけばいいんだけどね。

――
2〜3日すれば仲直りするっていうのも凄い。かずみさんもタフですよ。

安田
 相性が良かったんじゃないの。だからあの2人が別れたって聞いてビックリしたもん。離婚したことは橋本さんが死んだあとに知ったんだけど。

――あ、亡くなったあとなんですね。

安田
 俺はそこらへんの話は興味ないから、永田裕志と違って(笑)。

――
まるで永田さんが裏話大好きみたいな扱い!(笑)。

安田
 このあいだ石澤(常光)くんのトークイベントに出たんだけど、石澤くんが言ってたよ。永田くんから「俺に関わらないでくれ」って言われてるらしいじゃない。新日本以外の選手と関わると会社がうるさいみたい。

――
石澤さんはギリギリのネタを振ってくるから面倒なんじゃないですか。

安田
 イッシーも寂しいんじゃない? あれは彼の個性であり、愛情表現だけどね。そこに腹立てたってしょうがないじゃん。

――
石澤さんは掴みどころがない感じはしますよね。

安田
 人はいいよ。俺は新日本に入ったとき石澤くんと一緒の部屋だったけど。

――
話を戻しますが、安田さんはIWAジャパンにも上がろうとしたけど、取りやめになりましたよね。

安田
 あれはなんでだろう。忘れた。何かでバカらしくなってやめたのかな。なんだったか忘れちゃった。

――
バトラーツにも出てますよね。NKホールでモハメド・ヨネ戦。

安田
 あれは新日本にいたときでしょ。上井(文彦)が話を持ってきて。

――
当時新日本でマッチメイカー的な立場だった上井さん。

安田
 「1分の試合でいいから」てことで。だから1分で終わってるよ。

――
実際に秒殺なんですよ。

安田
 だってそういう話だったから。

――
あの試合は安田さんが真剣勝負をしかけたというふうにネットでは書かれてるんですよ。「バトラーツのレフェリーだった島田裕二の懇願で参戦したが嫌々だったそうで、真剣勝負に出て秒殺した」と。

安田
 そんな酷いことを俺がやるわけないでしょ!(笑)。「1分でいい」という話だから、そういう試合になったの。

――
いままでの話を聞いていると、安田さんって試合の勝ち負けをそこまで気にしていない感じですよね。

安田
 だって仕事だもん。あと始まりがジャブボーイだしね。プロレスってジャブボーイがいないと成り立たない商売じゃないですか。そのへんを勘違いしている人間がいるよくね。ベビーフェイスでずっとやってるとわかんない奴がいる。

――
そういうレスラーがいるからこそベビーフェイスが輝くという。

安田
 バンナに勝つまではさ、俺は新日本に初参戦する外国人と試合をやらされてたんだよ。身体もデカイし、どんな技を食らっても壊れないから。俺に技をきれいにかけられるなら誰にでもかけられるって話じゃない。

――
そういう役割が与えられてたんですね。

安田
 その当時は仕事だとは思ってないよ。「イヤだなあ」って気持ちもあったよ。でもしょうがないじゃない、自分がしょっぱいんだから。ガハハハハハ! 

――
イヤだったら実力で抜け出すしかない。そこは勝負の世界なんですね。

安田
 それはしょうがないけど、勉強にもなるしね。そういうところから入らないで上でずっとやってると、いつか壁にぶつかるし。たとえば中邑(真輔)だって、その頃は俺はもういなかったけど、だいぶ酷い扱いを受けたみたいだしね。最初にガンと上のほうで扱われると、そいつの技を受けないとかさ。

――ああ、中邑選手は新人の頃からトップで売り出されてましたから、嫉妬の対象になって。


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コメント

すごく良い記事だなあ。プロレスの暴露ものや内幕ものが大好きで、たくさんの本を読んで来ました。最近では「真説・佐山聡」や「1984年のUWF」などを読んだけれど、安田さんの語っているようなプロレスラー同士の心情、試合での受ける、受けないの駆け引きは読んだことがありませんでした。この内容はゴング金沢氏でもターザン山本でも知り得ないし、語れない内容でしょう。すごく生々しくて、本当にプロレスは奥が深いなあと、さらにプロレスラーに対する敬意が湧きました。
それにしても面白いのは中西学のくだり。本当に手加減を知らないのではなく、自分よりも弱い相手の技は受けないってのが、意外な発見でした。

No.5 69ヶ月前

プロレスを馬鹿に仕切った性格の悪さがよく出てる。早く死ね。

No.7 49ヶ月前
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