片岡義朗ブログ

再掲「ミンキーモモ」秋元才加さん2010/04/30@シアター1010

2016/10/13 13:00 投稿

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2010/05/01


15:31 pm


昨日、ミュージカル「ミンキーモモ」を観て来た。
AKB
の秋元才加さんのナイトメア役の演技に驚いた。
彼女の周りにナイトメアという何者かの空気がまとわりつき、
その空気がナイトメアなるものを縦横無尽に拡散し充満させ、
舞台空間を覆い尽くしているかの様な存在感を出していた。
素晴らしい演技力だ。歌も抜群、スタイルも申し分ない。
背中丸出しの衣装のときなど舞台に上がっていって抱きつきたくなるほど色気が出ていた。
すごいなあと感心して観ていて、楽屋で知人が紹介してくれた際、
失礼ながら2度と会えないだろうと思い、正直に感想をお話しした。
素晴らしかった、あなたはTVより舞台向きですね、そうなんです、よく言われます、
できればレミゼのエポニーヌを目指してほしい、向いてると思う、
アッ、それって知念里奈さんがやった役ですか、そう、あたしやりたい、と話が弾んだ。
普通のやや男っぽい感じのリラックスした女性だった。いい人に見えた。
こんな才能ある人がAKBにいたんだ、芸能界奥が深い。
この人を観ることができて時間かけた意味があった。

横山智佐さん、桂亜沙美さんが舞台上にいるシーンは緊張感が保たれていた。
二人を目で追いかけているのは楽しかった。
このお二人は10年ぐらい前、ミュージカル「リカちゃん」で一緒に仕事している、懐かしかった。
西村さん、縄田さんとも何度か仕事したことのある役者さんが出ていてみなさんきちんと仕事していた。

仕事していなかったのは、
演出家、作曲家、美術や照明プランナーと言ったスタッフの一部だ。
観ていて実は腹が立っていた。
でも公演中なので、これ以上は控えておく。


以下56UP
公演が終わったので言いたかったことを少しだけ書いておこうと思う。

仕事していなかったのは、
物語にメリハリをつけて掘り下げられない、空間を埋められない演出家、
メロディを書けない作曲家、
明りが何を意味するか考えたこともない照明プランナー、
空間をとらえられない、デザインの統一とか考えてない美術プランナーと言ったスタッフの一部だ。

特に演出家がひどい。
一つだけ例を書くと、子供のモモが大人のモモに変身するシーンが何度も出てくるが、
変身と言う大事件には、物語上やどういった場所でか、どいう心理状態の下でか、


などある限定された条件の下でという制約があるはずなのに、


どういう制約があるのか分からない、
舞台の進行のご都合で変身してしまうとしか見えない。
少女アニメでは変身はクライマックスであり、
なぜ、どういう意味で、どうやって変身するかは最も大事なところだ。
こんな大事な事をきちんと伝える姿勢がない。

百歩譲って変身シーンに意味を問わないとしても、
舞台上での変身シーンは特別な工夫をして盛り上げてほしいし、特殊効果や特殊装置を使っても、
音楽でも効果音でも、視覚的にも、おーっと驚くような場面を創り出すべきだろう。
TV
アニメの変身シーンはそこが演出家やアニメーターの腕の見せ所だ。
バンクとして何週にもわたって放送されるので、
後世に恥じないような、今までに使われたことのないような動きや演出を考えるのが当たり前だ。
この舞台ではそんな工夫はかけらもなかった。
ただ煙がしょぼく出ただけだった。


煙出しましたからね、という言い訳みたいにしか見えないような煙だった。

他にも演出が頑張らなかったところは山ほどあるが、具体的な事は言わない。
でも基本的な事で言いたいことがもう一つある。
この人は、アニメミュージカルを格下の出し物と考えているのだろう。
アニメものはお子様ランチであり、どうでもいいただの食い物にすぎないと考えている。
これらのメニューではスープにはダシを取らなくてよいし、寿司にはワサビを入れなくてよい、
味はどうでも良い、ただ食えるものを出しておけばよい。
しかも自分は高級料理専門のシェフであってこのアニメミュージカルの演出は世をしのぶ仮の姿、
自分の本当にやりたい仕事ではない、と考えているとしか思えない。
言ってみればアニメのミンキーモモに愛情が無い、アニメミュージカルに愛情が無い、
もう一歩突っ込んで考えたり工夫すると言ったところが無い。
演出家にモチベーションがないのがダダわかりなのだ。

TV
アニメ「ミンキーモモ」はおもちゃを売るための番組だった。
でも湯山邦彦監督や、脚本家の首藤剛志さんは子供向けにだけ作ろうなどとは全く考えなかった。
自分たちが面白いと思うものを作った。
だからおもちゃも売れたし、作品としてもヒットしたし、
1シリーズからもうやがて30年も経とうとしているのにいまだに続編を作るという機運がある。
アニメミュージカルと言われた瞬間にお子様ランチにしてしまい、
万人の鑑賞に耐えるように作ろうという意気込みもなく、
しかも本来のミンキーモモとはかなりかけ離れたものになってしまった。
主観だがおもしろくなかった。

悲しいかな、このミンキーモモが面白くなかったのは、演出家の責任というよりも、
演出家にアニメミュージカルを全うする気持ちが無かったことを見抜けなかったプロデューサーの責任だろうと思う。

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