宮崎第一ホテルが自虐カレンダーを製作するのは、今回が4回目。これまでと趣向を変え、今回は偉人の名言を元にした、ちょっとだけタメになる(かもしれない)自虐が、クスッと笑わせてくれるものに仕上げられています。
自虐カレンダー第1弾が製作されたのは、新型コロナが流行し始めた2020年に遡ります。築53年の宮崎第一ホテルは、全国チェーンの新しいホテルが何軒も建ち並ぶ宮崎市中心部では老舗。もともと見劣りするホテルで、業績不振であった中でのコロナ禍は、大打撃を与えたといいます。
そこで、ダメなところを堂々とアピールし、お客様にクスッと笑ってもらうことで、世の中を元気に明るくしたいと、製作を企画。従業員から宮崎第一ホテルのマイナス点を自虐ネタで募集したところ、63人から157のネタが集まりました。157のネタは、従業員間で2回に分けて投票にかけ、12個に絞ってカレンダーが作られました。
これがきっかけで、毎年自虐カレンダーを作り、お越しになるお客様へ無料でお渡しし続けたところ、おもしろいホテル、と口コミで広がりました。多くのお客様が紹介で訪れ、半分はリピーターとなり、2022年にはホテル売上高は過去最高となっています。これまでの3年間で、下記を含めて、じつに36もの自虐ネタが世に放たれました。
- 『眺めのいい部屋をお願いします』、それは無理なリクエストです
- 全室マンションビュー
- 空しか見えない露天風呂
- 客室のすきま風! 窓を開けずに換気ができます!
- ふと見上げると期待値0のホテル
盛った、映える写真で実際以上の期待値を上げても、がっかりされるだけ。設備の新しさでは、大手ホテルには勝ちようがないということを堂々と開示している潔さが効いています。
ありのままでも、「泊まってみたい」と思ってもらう、そのために作り出した自虐カレンダーは、口コミにより宿泊客もリピーターも確保し、確実に効果を出しています。ダメなところもオープンにしてしまうことで、親近感や信頼感を構築するブランディング施策の成功例と言えそうです。