本日の記事は、日本経済新聞の1面の記事から
<リンク>日本経済新聞 景気 消費手主導回復 投資への波及カギ
(以下転載)
デフレの海に沈んでいた日本経済が浮上してきた。
株高を支えに消費が勢いづき、生産増を呼んでいる。
円安を追い風に企業もそろり投資に動き出している。
世界経済は米国の好調が続くものの、中国など新興国の高成長は陰りが見える。
マネーの流れも波乱含みだ。
内需主導の回復が来年4月の消費増税を乗り越えて持続するかには、不透明感も漂う。
(転載終了)
消費が増加している。
それに伴って、生産も増加。
設備投資は前年度比18%増加の小売り関係を中心に回復機運。
問題はこの景気回復が続くのかどうかである。
懸念されるのは以下の三つ。
・国内消費が今後も伸びるのか
・欧米や中国の経済状況
・来年の消費税の増税問題
今回は、国内消費の問題について。
国内消費の増減に最も影響を与えるのが、国内のお金の量である。
国内のお金の量が増加しなければ、消費は増加しにくい。
日本は、90年のバブル崩壊以後、国内のお金の量を増加させるのに
失敗してきた。
その結果が、20年にわたる経済停滞であり、経済規模が殆ど拡大しなかった。
つまり国内消費の動向を見るには、
・お金の量
・お金がどこに作り出されているか
この二つを見なくてならない。
お金の量を増減する機関は二つだけ。
一つは、日銀。もう一つは民間銀行。
現在、日銀は量的緩和政策により莫大な量のお金を作り出している。
もう一つの民間銀行も貸出の増加によってお金を作り出しているのはお伝えしてきた。
それでは、もう一つの要素である、
・お金がどこに作り出されているか
である。
経済には大きく分けて二つの種類に分けられる。
一つは、実物の商品を介する取り引きする、実体経済。
これがGDPといわれる経済規模を表している。
経済成長もこの数字が大きくなることを表している。
もう一つは、不動産や証券、FXなどのように、実物の商品を介さないで取り引きする金融経済。
これが株価や不動産価格などの資産市場の取り引きである。
金融経済は非生産的な取り引きなので、経済規模にはカウントされない。
金融経済だけに取り引きが増加しても、景気は回復しない。いくらFX取り引きが増加しても
国民の生活は豊かにならないからだ。
景気回復には実体経済にお金が流れることが重要なのである。
現在の日銀は、銀行にお金を渡し金融経済を通じて、実体経済に影響を与え、消費を増加させようとしている。
一方の民間銀行はどうか?
貸出が増えており、お金を作り出しているが、どこにお金を貸し出しているのだろうか?
上記のグラフは、金融業、保険業、不動産業などの金融経済向け貸出の対前年同月比
である。
不動産業は2%、金融業は3.5%ほどの伸び率である。
ここに貸出が激増すれば、資産市場の高騰を引き起こし、経済をバブル化させやすくなる。
民間銀行の貸出先だけを見れば、今のところ、バブル化するほど貸し出してはいない。
(しかし日銀の量的緩和も含めて勘案しなければならない)
それでは、実体経済はどうか?
全産業の銀行貸出は6月末で2.9%の伸び率であるが、
バブル時のように不動産や金融業のみに銀行貸出が伸びても、
消費はそれほど拡大せず、資産市場が暴騰し、経済が不安定化するだけである。
大切なのは実体経済向けの貸出が増えることだ。
それでは、金融業関連以外の実体経済の貸出の伸びはどうかというと以下のグラフを見て頂きたい。
総貸出から、金融関連業の貸出を引いた貸出残高の対前年同月比伸び率を
グラフ化した。
これを見ると、実体経済の伸び率は3月の段階において、2.1%の増加を示している。
つまり、実体経済向けの貸出は増加し続けている。
今後の、経済を予測する上で重要なデータである。
実体経済向けの貸出増加が続けば、設備投資も消費も増加させ、景気を回復させる強い要因になる。
何故なら、貸し出した金額が、お金を創造し、その創造された金額が消費に回るからである。
お金の量と、どの分野に貸し出されているかという観点からすれば、
日本経済の景気は改善が進む可能性が強いといえる。
最近、お金の量という観点は注目されるようになった。
実は、それ以前は、それほど注目されていなかった。
90年代を思い出してほしい。
その時は、お金の量ではなく、金利について注目されていた。
しかし、お金の量といっても、殆どの場合は、日銀についての注目である。
もう一つのお金を作り出す、銀行貸出とお金の量に関する情報は今でもそれほど、重要視されていない。
その理由は、お金の増減についてのタブーがあるからである。
そのタブーは通貨発行権のタブーと結びついている。
国際金融権力の下で、育成されてきた経済学がもたらしたタブーなのである。
景気に強い影響を与える他の二つの要素、
・海外経済の動向
・消費税の増税問題
については後日お伝えしたい。
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