AKBグループの総監督・高橋みなみの卒業コンサートに
行ってきた。
たかみなの卒業は間違いなくAKB48の一時代の終幕だ。
いきなり前田敦子や大島優子ら卒業メンバーが登場して、
多くの曲に参加していた。
それが懐かしいという感覚以上に、まるで現役のように
卒メン全員が輝いていて、圧倒的な存在感だったから、
文句なしに楽しめた。
全曲、たかみなが参加するという素晴らしい企画だった。
わしは意識的にたかみなに集中して見続けたが、思えば
初めてAKBに本格的に興奮したのは『River』だった。
そのセンターは高橋みなみだった。
可愛さを強調するパフォーマンスは常にどこか滑稽で、
ボーイッシュでカッコいい曲の方が合っていた。
『愛の存在』もたかみなボーカルから始まる好きな曲だ。
始めてAKBのイベントの打ち上げに参加したとき、
わしの横で無心に料理を貪っていたたかみなを
思い出した。
大人の前で緊張しすぎず、飾ることなく、まったく自然に
振舞えるたかみなに感心したものだ。
そういえば、わしと指原が微妙な関係性になっていたとき、
指原がステージ上から審査員のわしに「よしりーん」と
声をかけたのだが、すかさずそれを制止していたたかみな。
多分「からかうのをやめろ」と注意していたのだろうが、
その瞬発的な気遣いには感心した。
別に指原がからかうのは何ともなかったのだが、
たかみなはわしをからかっていい大人だとは判断して
いなかった。
おそらく体育会的な気遣いのあり方なんだろうが、
あの体育会的な礼儀作法がAKBにとっては重要な背骨に
なっていた。
いなくなるのは惜しい。残念すぎる。
20曲以上を歌い踊りまくったほとんど終盤で、たかみなが
なんと走りながらしゃべり続けているのに驚いた。
凄い体力だ。
『背中言葉』という曲が、あまりにもたかみなと、
残される後輩との関係性をリアルに表現した歌詞で、
これには作詞の上手さに感心しつつ、グッと胸に
迫るものがあった。
最後に残される後輩たちの一人一人に言葉を送っていく
白いドレスのたかみな。
何を話しているのかは観客には聞こえないが、
その贈る言葉の儀式が十分くらい続いていた。
こんな光景を演出に取り入れられるのは、
たかみなだからこそだ。
とても良い演出だったと思う。
その最中に、涙が溢れそうだったが、ぐっとこらえた。
「努力は必ず報われる、私、高橋みなみはこの言葉を、
人生をかけて証明する」
たかみなの名言だが、相対主義者は「必ずしも努力は
報われない」と思った通りの反論をしていたものだ。
しかし、たかみなは「私は人生をかけて証明する」と
宣言したのだ。
恐るべき覚悟じゃないか!
実はわし自身も、「努力」の素晴らしさを証明しなければ
ならないと考えて生きてきた。
たかみなの哲学は、わしの哲学と一緒だ。
たかみなから最後にこの言葉が聞けて、嬉しかった。
高橋みなみよ、ありがとう。
君は骨のある、そして筋目正しいAKBの象徴として
君臨してくれた。
わしはそのようなAKBが好きだったのだ。
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