『大東亜論』で自由民権篇を描いているので、植木枝盛や
中江兆民がどのくらい民主主義の観念を理解していたのかを
知っておかねばならず、ルソーと比較すると全然違っていると
思わざるを得ない。
フランスやイギリスやアメリカとの比較を検討しても、
各国バラバラなのだが、それにしても日本の民主化の特殊性は
際立っていて、なにしろ天皇の大権を浸透させることが
国民を作るという矛盾から出発するものだから、原理的には
民主主義というイデオロギーが浸透するはずがない。
若者たちが、民主主義とはデモだと断言しているが、
一何を言っているのか全く分からない。
直接民主制こそが民主主義だと言いたいのなら、
まず我々に徴兵制をと叫ぶしかない。
結局は百姓一揆と同じなのだから、彼らとて民主主義など
望んでいないのである。
彼らを称賛するマスコミも知識人も、民主主義など考えても
いないだろうし、彼らを批判する自称保守ネトウヨ勢力にしても
民主主義など関心も持っていないのは見え見えだ。
本来的な民主主義の捉え方と、明治からの自由民権運動の
齟齬を、どう評価し直すのかというところまで考慮しながら、
今後の『大東亜論』を描いていく必要がある。
そのためには、もっともっと本を読む必要がある。
思想と史実と物語のバランスをどうとるかが挑戦の
しどころだろう。
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