皇学館大学の田中卓名誉教授が、『卑怯者の島』を読んで、
「これは問題作だ」と言っておられたとのこと。
その際、ペリリュー島の地図を描いて、兵士の動きを
説明した方がいいと、仰っておられました。
しかし、この作品はあくまでも「物語」であり、
事実を記録したものではありません。
そこが笹幸恵さんの書く「戦記物」とは違う点です。
したがって、戦記マニアの鑑賞に堪えられるかどうかは、
わかりません。
もちろん下地として、ペリリュー・アンガウルの戦記や記録を
調べ上げ、船坂弘、久山忍からジェームス・H・ハラスまで
読んで、現地パラオ・ペリリューを取材し、パラオに住み、
当時を知る人々にもインタビューしました。
それを『戦争論』シリーズの一章で戦記として描こうかと
思っていたのですが、それでは現代人の当事者意識に
結び付かないと思い、一旦封印しました。
そして「もし、突撃!と言われて、こっそり塹壕に戻って
生き延びた兵士がいたら、どうなるのだろう?」という妄想に
憑りつかれ、この発想から物語として描くことにしました。
したがって、舞台設定のモデルはペリリューですが、
どこの島でも同じ極限状況なので、作中でもペリリューとは
特定していません。
戦記物と戦争漫画は、全然違うので、作中人物は
全部創作です。
ですが、戦場の過酷さも、人物の心理も、
かなりリアルだと思います。
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