『新戦争論1』の一気読みが流行っている。
一日で読んでしまうという行為にこだわってる者がいる。
もちろん、一気に読んでしまうほど面白かったのなら
嬉しいし、ドーパミンが出て来て
興奮するのかもしれない。
心地よい脳の疲れや、読後の衝撃が余韻を引くのも、
一気読みの楽しさかもしれない。
作者としては嬉しい反面、「6か月かかって
描いた作品が、1日で読まれるのか」という
虚しい気持ちも湧き起ってくる。
漫画って不思議な表現だ。
1コマに何時間もかけてるのに、読者は
ほんの1秒で読んでしまったりする。
だったら鉛筆描きのコンテを読ませればいいのでは?
と思うのだが、やはり丁寧に下描きして、
ペン入れするときに、絵を描く者たちの魂が
注入されているのだ。
たとえ1秒でそのコマを読み流していても、読者に伝わる
何かは、情報を超えたモノがあるのだと思う。
潜在意識に残ってしまう絵の情念が、読者の右脳を
刺激しているのだ。
しばしば役所や企業のパンフレットで漫画が使われるが、
解説のための漫画、絵解きの漫画には、残念ながら
作者の情念が籠っていない。
それは漫画ではなく、図である。
そもそもパンフレットの解説に、作者の主観や情念が
入り込んではならないのだ。
作家性を排して、わかりやすく、誰もが好感を持つように、
描くことが、あの手のパンフレットには求められる。
しばしば『ゴー宣』がわかりやすいと言われたりするが、
わかりやすいだけでは『ゴー宣』にならない。
『ゴー宣』は池上彰ではない。解説書ではない。
作者の個性や毒や魂が籠っているのが、
『ゴー宣』であり、だからこそ『ゴー宣』も漫画なのだ。
『新戦争論1』の第1章は、わしがいつか
近未来SFとして描こうと温めていた作品だし、
担当の志儀くんは、「小説なら普通これ一本を
大長編で描くんですけどね」と言っていた。
一気読みした者はもう一度じっくり味わえ!
わしやスタッフの苦労も少しは考えてくれ!
泣くぞ!
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