村山談話・河野談話に未来はあるか?
第63回 旧ユーゴ「民族浄化」と「抱き合わせ」に
された慰安婦問題
1992年2月17日、国連人権委員会で日本の戦時中の
慰安婦を取り上げるよう発言した弁護士・戸塚悦朗は、
その動機について「日本が犯した過去の重大な
犯罪問題について、日本人として自らその責任を
明らかにしなければ、韓日両民族間の真の友和は
ありえない」と思ったからだと説明した。
そしてここで戸塚は「慰安婦」を「性奴隷」
(sex slave)と表現したのだった。
当時は、ユーゴスラビア解体によってセルビア人と
クロアチア人の民族対立による
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最中であった。
この紛争では、セルビア人による「民族浄化」の
名のもと、虐殺や強制追放などの残虐行為が行われ、
「第二次世界大戦後のヨーロッパにおける最悪の出来事」
と称されていた。
そして中でも群を抜いた悪行として注目を浴びていたのが、
計画的・組織的な集団レイプ事件だった。
女性はさらわれて占領された街のホテルや病院に
監禁され、セルビアの兵士によってまさしく
「性奴隷」の扱いを受けた。
散々様々な男たちに凌辱の限りを尽くされた揚句、
妊娠しない女は殺され、妊娠した女の命は助けられた。
他民族の女に自分たちの民族の子を産ませることで、
その民族の威厳や誇りを崩壊させ、自分たちに
同化させる。
それが、集団レイプによる「民族浄化」であった。
聞いただけでもおぞましい話であるが、
信じられないことに、戸塚は「慰安婦」をこの
ボスニア・ヘルツェゴビナの「集団レイプ」と
抱き合わせにして、国連人権委員会に問題提起
したのである!!
そして、ボスニア・ヘルツェゴビナの問題が
紛れもない人道に対する罪であったことから、
国連におけるこの問題の審議は異例の早さで進行し、
国際社会において慰安婦が「性奴隷」であり
「人道に対する罪」であることにされて
いったのである!
時折、慰安婦とは日本が韓国に対して「民族浄化」を
図ったものだという妄想みたいな言説が出てくる
ことがあるが、それも戸塚が国連で最初に慰安婦を
ボスニア・ヘルツェゴビナの「民族浄化」と
いっしょくたにしたことから広まった話である。
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