小林よしのりライジング

「恋愛禁止条例」から「恋愛スルー条例」へ(その10)

2014/04/24 12:30 投稿

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アイドルは偏見であり、最も強力な偏見は
「恋愛」である。

わしは深田恭子の大ファンで、
深キョンが出る番組や映画は全部見たいと思うから、
恋愛みたいなものだ。

だが、もしCDが出ても100枚買おうという情熱は
湧かない。

 

ところが去年の総選挙で、市川美織にはそれ以上、
注ぎ込んでしまった。

これは恋愛かといえば、さすがにわしも歳なので、
それはない。

娘への愛が一番近い。

若者が疑似恋愛の対象にしにくくて不利かなと思うと、
応援したくなる。

それも純粋な子だと信じるからで、
純粋とか、清純とか、そういう幻想で推してるから、
スキャンダルが出たら醒めるだろう。

何より、市川美織とは会って話してることも大きい。

 

つまり「握手会」の威力はそこにある。

「握手会」は疑似恋愛を増幅させる装置だ。

相手に会って、握手して、「認知」してもらって、
恋してしまうと、CDに貯金もボーナスも注ぎ込むほど
狂ってしまう。

真面目に働いてカネを注ぎ込む者もいようが、
ろくに働いてなくて、親のカネを注ぎ込んでる者もいよう。

そこまでするかと思うが、恋愛の狂気は凄まじいのだ。

 

AKBの成功は、握手させて、恋愛させて、
競争させてというシステムにあるが、
規模が巨大になると企業とのタイアップで
話題性」を欠かさないという戦略で、
大衆への浸透を図る。

そこでトヨタとタイアップで「チーム8結成」とか、
江崎グリコとタイアップで「大人AKB」とか
作られるのだが、こうなるとわしはシラケてしまう。

「大人AKB」で、子持ちの人妻が
一定期間センターになり、実際に劇場やコンサートで
パフォーマンスをして、握手会にも参加するという。

わしは無理だ。

人の妻に恋するわけにはいかないし、
子供のように可愛がるわけにもいかない。

「恋愛禁止条例」が必要と思うファンは、
「人の彼女」や「人の妻」に恋するわけには
いかないという者たちだろう。

それは大多数の男の感覚で、
推しメンが「人の彼女」だったと知った時に、
衝撃を受けるのは普通である。

(いよいよこの連載も佳境に入る)

 

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