安倍首相がペルーのリマで開幕したAPECで、
「(経済発展や貧富の格差の解消には)開かれた市場と
経済成長の実現が不可欠だ」
と言ってるらしい。
首脳会議では保護主義に対抗し、自由貿易体制による
「開かれた経済」を堅持する重要性を確認する見通しだ
という。
「自由貿易が貧富の格差を広げているとの誤解を解くべきだ」
なんて、しゃかりきに言っている。
トランプがTPPから離脱しそうだから、ますます熱を帯びて
自由貿易のドグマを宣伝している。 

自由貿易の有効性の根拠はリカードの「比較優位論」しか
ないが、「イギリスは毛織物、ポルトガルがワインに特化して
分業した方が、両国の生産量も利益も増える」という理屈である。
ところが、そもそもイギリスが毛織物を輸出可能な産業に
まで押し上げたのは国家による「保護貿易」の成果である。 

今や経済学の趨勢は、自由貿易で経済成長が達成される
という説を否定している。
「保護貿易」こそが経済を成長させるのだ。
トランプ周辺の者たちはこのことに気づいたのではないか? 

トランプはリンカーン以来のアメリカの伝統に立ち返って、
関税で自国の産業を守って、まず内需を活性化させるべく、
公共投資に向かおうとしてるのかもしれない。
日本はすっかり遅れている。 

自由貿易・グローバリズムは「底辺への競争」になって、
中間層を崩壊させ、格差を極限にまで拡大させる。
どうせ「イラク戦争は失敗する」と忠告しても聞かなかった
日本政府だから、負けるまで自由貿易のドグマに浸りきって
しまうのだろうが、馬鹿は死ななきゃ治らないから、
手の施しようがないのだ。

 

 

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