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脚本家・井上敏樹エッセイ
『男と×××』
第15回「男と男4」
【毎月末配信】 
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.3.31 vol.553
http://wakusei2nd.com

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今朝のメルマガは平成仮面ライダーシリーズの脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』第15回です。豪腕プロデューサーSにより愛するジョセフィーヌ(仮名)と別れるはめになった井上青年。しかしそれはさらなる悲劇のはじまりに過ぎなかった――今回は井上青年を苦しめた「フグと女子大生」のエピソードを語ります。


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【発売中!】井上敏樹 新作小説『月神』(朝日新聞出版)

▼内容紹介(Amazonより)
「仮面ライダーアギト」「仮面ライダー555」をはじめ、
平成ライダーシリーズの名作を送り出した脚本家による、
荒唐無稽な世界を多彩な文体で描き出す、異形のエンターテインメイント! 
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PLANETSチャンネル会員限定!
入会すると視聴できる井上敏樹関連動画一覧です。

(動画1)井上敏樹先生、そして超光戦士シャンゼリオン/仮面ライダー王蛇こと萩野崇さんが出演!(2014年6月放送)
【前編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき
【後編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき

(動画2)井上敏樹先生を語るニコ生も、かつて行なわれています……!仮面ライダーカイザこと村上幸平さんも出演!(2014年2月放送)
【前編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
【後編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛

(動画3)井上敏樹先生脚本の「仮面ライダーキバ」「衝撃ゴウライガン!!」など出演の俳優、山本匠馬さんが登場したニコ生です。(2015年7月放送)
俳優・山本匠馬さんの素顔に迫る! 「饒舌のキャストオフ・ヒーローズ vol.1」

(動画4)『月神』発売を記念し行われた、敏樹先生のアトリエでの料理ニコ生です!(2015年11月放送)
井上敏樹、その魂の料理を生中継!  小説『月神』刊行記念「帝王の食卓――美しき男たちと美食の夕べ」

■井上敏樹先生が表紙の題字を手がけた切通理作×宇野常寛『いま昭和仮面ライダーを問い直す』もAmazon Kindle Storeで好評発売中!(Amazonサイトへ飛びます)



これまでPLANETSチャンネルのメルマガで連載してきた、井上敏樹先生によるエッセイ連載『男と×××』の記事一覧はこちらから。(※メルマガ記事は、配信時点で未入会の方は単品課金でのご購入となります) 

▼執筆者プロフィール
井上敏樹(いのうえ・としき)
1959年埼玉県生まれ。大学在学中の81年にテレビアニメの脚本家としてのキャリアをスタートさせる。その後、アニメや特撮で数々の作品を執筆。『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などのほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダーキバ』など、平成仮面ライダーシリーズで活躍。2014年には書き下ろし小説『海の底のピアノ』(朝日新聞出版)を発表。
前回:脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第14回「男と男3」


 男 と 男 4   井上敏樹

さて、クラブ通いと焼肉とをこよなく愛する大手映画会社のプロデューサーSのせいで愛する彼女と別れるはめになった私だがそれでもSとの付き合いは続いていた。なにしろ私は脚本家デビューしたばかりの二十歳そこそこの未熟者だったので、他に選択肢はなかったのである。それに、なんだかんだ言って私はSとの付き合いを楽しんでいた。クラブや焼肉だけではなく他のスタッフを含めて旅行に行ったりホテルのスイートを借りて宴会をしたりと時代はまさにバブル真っ盛りである。生まれて初めてフグを食べたのもこの頃だった。
『お前、この世にはフグというとんでもなくうまいものがある、食った事あるか?』ある日の打合せで私の本を途中で放り出してSは私の顔を覗き込んだ。
『いえ。噂には聞いていますが』と私。
『だろうな。お前ごとき青二才に手が出せる代物ではない。食いたいか?』
『は、はい。それはもう』
『いいだろう。なら女子大生を用意しろ』
『は?』
意味が分からない。なぜ、ここで女子大生なのか?
『分からないのか?、馬鹿め。いいか、よく聞け。おれはお前に仕事を教え飯を奢り酒を飲ませてやっているがおれ的にはなにもいい事がない。楽しいのはお前ばかりだ。使えないんだよ、お前は』
『すいません』
『だが、たったひとつ、お前にもいい点がある。それはお前がまだ大学生だということだ。回りには女子大生がうじゃうじゃしてるだろう。おれも女子大生と知り合いたい。だから………』
『分かりました』
要するにフグを食わせてやるから女子大生を紹介しろと言うわけである。言われてみれば分かりやすい。
そこで私は翌日、大学に行ってフグを食べたい有志を募った。約束の日、私は女子大生と共に待ち合わせの場所に向かった。やって来るなりSは私を手招きして私の耳元で叱責した
。『この馬鹿! なんだって8人も連れて来るんだ。お前、フグが幾らするのか分かってんのか?』
『はあ。末広がりでいいかな〜って』
『なにが末広がりだ。フグ食って死ね』
『じゃあ、剪定しますか? 好きなのを選んでください。残りはこのまま帰しましょう』
Sはジロジロと8人の女子大生を観察した。


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