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月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」12月29日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.233 ☆

2015/01/05 07:00 投稿

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月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」12月29日放送書き起こし!

☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2015.1.5 vol.233
http://wakusei2nd.com

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大好評放送中の、宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。毎週月曜日は、前週分のオンエアの書き起こしをダイジェストでお届けします!


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▲前回放送はこちらでもお聴きいただけます!

オープニングトーク

宇野 時刻は午後11時30分を回りました。皆さんこんばんは、宇野常寛です。今回は、今年最後の放送になるんですが、皆さんに一つ報告があります。僕の作っている、慈善団体とでも言いましょうか、第06宇野小隊という、30代既婚男性の30代既婚男性による30代既婚男性のための団体があったんですが、一言で言うと、今年一年で壊滅しました……。もっと具体的に言うと、所属しているメンバーが5,6人いるんですけど、このうち2人ね、この2014年に離婚しました。なので、定義上彼らはもう宇野小隊のメンバーではいられません。

っていうかですね、ほんとにヤバいんですよ。その宇野小隊界隈で作っているLINEのグループがあって、普段は「ラーメン食いに行こう」とか、「誰か飲んでない?」みたいな、そんな何でもないような会話をしているんです。それで、この前グループLINEをふと見たら、「離婚の傷からいかに立ち直るか?」っていう話題で超盛り上がっているんですよ。「離婚した後の心の傷が埋まらないんですけど、皆さんはどうしていますか?」「何か趣味をつくった方がいいんじゃないか」とかね。あるメンバーは「料理がオススメです」とか書いていて、「特に煮物です」と。「時間をかけて築いた関係が壊れたその欠落を埋めるためには、人間関係とは違って、時間と手間をかければかけるほど成果があがる煮物こそがベストです」とか。あと、あるメンバーは「僕の場合は、女子がいっぱいいるお店に行ってひたすらスイーツを食べる事と、その満腹感を持ち帰ったまま部屋でひたすらエロゲーをやる事でした」とか「『WHITE ALBUM』あたりがオススメです」とかひたすら書いていて、めちゃくちゃ盛り上がっているんですよ。なかには「なんという一体感だ!」みたいなこととかまで書いている奴がいたりして。それで、僕が全く入れないんですよ。そのLINEグループに関していうと、僕だけがまだ既婚なんですよね。「まだ既婚」って言いたくないですけどね(笑)。本当に疎外感があって、「ああ、人間ってこんなに簡単に孤独になってしまうんだな」って、僕は思いましたね。かくして、30代既婚男性友の会であるところの、第06宇野小隊は2014年をもって壊滅しました……。

でもね、それでも僕は戦いますよ、一人になっても評論家・宇野常寛は戦います。傷ついた仲間たちの分まで! それではJ-WAVE 「THE HANGOUT」今夜もスタートです。

〜♪

宇野 はい、改めましてこんばんは、J-WAVE深夜のたまり場「THE HANGOUT」月曜担当ナビゲーター、宇野常寛です。ていうかね、もうおかしいんですよ。本当にね、そのLINEグループの名前が、もともと「第06宇野小隊」だったはずが、「通称:バツイチ会」とかになってるんですよ。僕はバツイチでもなんでもないんですけど、「次のバツイチ会の日程だけど……」みたいな会話が交わされていて、何か誤解を与えている気がするんですよね、世間に対してね。いやー、でも人間36年も生きていると、仲間内の過半数にバツが付いたりするんですよね。これは結構自分が歳を取ったなと思うんです。人間って本当に孤独な生き物なんだなって、あらゆる意味で思いますね、ほんとに。

はい、この番組は夜更かし族のみなさんのたまり場です。ツッコミや質問も大歓迎。皆さんの積極的な番組参加をお待ちしております。ハッシュタグは#hang813です。メールの方はこの番組のHPのメッセージボタンから送って下さい。番組HPではYouTube Liveで、スタジオの様子を同時生配信中です。
と、いうわけで、宇野常寛がナビゲートいたします。J-WAVE「THE HANGOUT」
今夜の1曲目はですね、まさにこの第06宇野小隊のモデルになったガンダムシリーズのオリジナルビデオアニメ『機動戦士ガンダム第08MS小隊』のオープニングテーマ。米倉千尋で「嵐の中で輝いて」。

〜♪  

宇野 はい、お送りしましたのは、米倉千尋で「嵐の中で輝いて」でした。さっきの宇野小隊壊滅に関して、Twitterで反響が多数寄せられています。これはTwitterネーム、いちごももさん。

「やっぱり『嵐の中で輝いて』すごく好きな曲。これからは聞くたびに宇野小隊のことを思い出しそう」

はい、思う出してください。そして、あなたの心にそっと仕舞っておいてあげてください。傷ついた男たちの物語を。
続きましてこれはTwitterネーム、ともちゃんさんですね。

「解散ではなく、壊滅ということは新規メンバーは募集しているのでしょうか?」

うーん、それは悩みますね。なんて言ったらいいのか、仲間は作るからこそ、失う悲しみがあるんだと思うんですよね。それもやはり結婚と一緒で、結婚しなければ離婚の痛みも無かったわけですよ。そういった意味ではある意味僕もハートブレイクしていますね、今ね。

フリートーク

宇野 はい、あらためましてこんばんは、J-WAVE深夜のたまり場「THE HANGOUT」月曜担当宇野常寛です。ということで、今日はですね、今年最後の放送ということで、「今年はどんな年だった?」とか「今年の総括・反省」とか、まあ「2014年どうだった?」というテーマでメールをたくさん募集しております。
さっそくメール頂いております、これはラジオネームさえきあきひろさん。

「宇野さんこんばんは、2014年の宇野常寛アワードを教えてください。『ドラマ部門』『アニメ部門』『映画部門』『漫画部門』で」

ドラマは難しいんだけど、なんだかんだ言って、『アオイホノオ』かな。日本のサブカルチャーが、良くも悪くもものすごくおじさんになっていて、自分たちの思い出を温めることが一番楽しくなっちゃっているんですよね。これは、成熟でもあり、衰退でもあるんですよ。このことは誰が悪いわけでもなくて、80年代前半がまさに、『アオイホノオ』で描かれた日本のサブカルチャーの思春期で、現在はもう熟年になっているということですよね。で、そうなったら熟年期をどれだけ楽しむことができるか? っていうことが問題になってくると僕は思っていて、そういった点において今回の福田雄一監督のアプローチは素晴らしかったなというふうに思います。ただ、なんて言ったらいいのか、僕は心のどこかに「サブカルチャーは若者のものであってほしい」っていう気持ちがあるので、複雑といえば複雑なんですけどね。まあ、あらゆる意味を込めて『アオイホノオ』です。

アニメは今年あんまり見ていなくて、『Gのレコンギスタ』って言いたいんだけれど、まだ放送が終わっていないのでね。今年を象徴する意味では『妖怪ウォッチ』なのかもしれないね。『妖怪ウォッチ』は『ポケモン』と違ってアニメが面白くて、大人が一緒に見られるというのがすごくポイントなので、みなさんも「『妖怪ウォッチ』がブームになっているんだなー」って思っていないで、一回見てみるといいと思いますよ。たぶんびっくりしますよ、タガが外れてますからね。主役クラスの妖怪がアナル開発される回とかありますから(笑)。あと、スティーブ・ジョブズそっくりのキャラが出てきて「お前ら妖怪ウォッチの新型を行列つくって買えよ」みたいなことを言っている回があるんですけど、その放送週が本当に『妖怪ウォッチ零式』っていう新型の玩具の発売なんですよ。なので、現実の商品の発売日とアニメの内容がリンクしていて、しかも、つい最近まで生きていた人間を思いっきり皮肉るっていう結構どうしようもない話もあるんですよね。ほんとに、いま一番リミッターが外れているアニメは『妖怪ウォッチ』ですね。アワードということでいうと、単純に演出的な完成度で言ったら『かぐや姫』とかになっちゃうんでしょうけど。

映画部門は、韓国映画の『新しき世界』ですね。『ゴットファーザー』みたいな話で、新しき世界っていうことは古き世界があるわけですが、古い世界っていうのは韓国の昔ながらの儒教社会で、新しき世界というのはなにか? っていうのは、見てからの楽しみにしていてください。ヒントはボーイズラブです。ほぼ言ってしまっていますけどね(笑)。

で、漫画部門はね、『この漫画がすごい』でも投票したんですけど、近藤ようこさんの『五色の舟』ですね。津原泰水さんが原作で書いているような、SF的なガジェットを使ってもう一つの昭和の時代を描いているんです。近藤さんってどちらかと言うとジェンダー問題を扱ったり、あるいは平安時代とか室町時代の古典を翻案している漫画が有名な人なんですけどね。最近は坂口安吾の作品を漫画化していて、そのノウハウで日本の戦後文学的な想像力っていうものをうまく取り込んでいったことで、こういう作品をものにできたと思うんですよね。これは非常におすすめです。

はい、えーっとですね、この後11時55分頃からは、南沢奈央ちゃんのNIPPON SEKIJUJISHA “GAKUKEN” The Reason Whyのお時間です。そしてJ-WAVE「 THE HANGOUT」各曜日のナビゲーターが共通のテーマを語るシェア・ザ・ミッションのコーナー、今週は「2014年」を語ります。そしてアナーキー・ミュージックシェアのコーナーでは、J-WAVEの他の番組ではまずかからないであろうというアニメソング、特撮ソング、アイドルソング、映画やドラマの主題歌や劇伴などなど、アナーキーな1曲をリスナーの皆さんの選曲でお届けしちゃうコーナーです。メールの方まだまだ受け付けています。宇野常寛が深夜1時まで生放送でお届けします。深夜の溜まり場「THE HANGOUT」ここでいったんお知らせです。

〜♪

宇野 J-WAVE深夜の溜まり場「THE HANGOUT」。六本木ヒルズ33階、J-WAVE Bスタジオから生放送。月曜日は宇野常寛がお届けしております。今日はですねメールテーマを設けています。ズバリ「2014年の総括」。これはですね、ラジオネームこんまりさん。

「宇野さん聞いてください。今年サンタさんが来たんです。卒論に追われ、数日の間は家に帰らず戦っていたので、クリスマスのことはすっかり頭になかったのですが、頑張っているとちゃんと見てくれている人もいるんですね」これなんでしょうね、彼氏さんとかですかね? いいですね~。
「宇野さんのところには今年サンタさん来ましたか?」

来ましたね。「宇野様、締め切りが一応22日に設定させていただいておりましたが、その後いかがでしょうか? 進捗だけでもお聞かせください」みたいな、要約するとそんな感じですよ。ほぼそのまま喋ったような気がしますけどね。GQ編集部とサイゾーから、そういったクリスマスプレゼントをいただいていました。そして僕はそのプレゼントをしっかり打ち返しております。さすがにもう29日なんでね、はい。次のメールですね、これはですね。イオリフリーダム・セロニアス時貞さん。

「宇野さんこんばんは、突然ですが、『妖怪ウォッチ』が爆発的に人気の理由がイマイチ分かりません。僕は『北斗の拳』のようなカッコ良い漫画やアニメのキャラクターに憧れています。ジバニャンの『百烈肉球』よりケンシロウの『北斗百烈拳』の方が圧倒的にカッコ良いです。子供達にこの事を分からせるにはどうしたら良いでしょうか?」

『妖怪ウォッチ』の元ネタを子供達に解説するのって、僕ら昭和生まれ世代の使命ですよ。だって、第1話からして『101回目のプロポーズ』のパロディから始まるわけですよね。これをどう、平成生まれの子供達に説明していいのか分からないですよね。武田鉄矢っていう人がいて、当時はダサい70年代の昭和の象徴みたいになっていて、それが「面白くなければテレビじゃない」みたいな軽薄な空気を一通り過ぎた後の90年代の反動の中で、野島伸司があえてぶつけてきて、その結果、いまでいうところのストーカー的な求愛活動の事を世にも美しい純愛のように演出したテレビドラマが大ヒットしていた。みたいな事を、平成生まれにどう説明したらいいのか、僕はほとんど分からないですね。なので、子供と一緒に『妖怪ウォッチ』を見ているお父さんとかお母さんってある意味大変だろうなっていうふうに思いますね。『百烈肉球』の元ネタが『北斗の拳』っていうのも大変だと思いますからね。なので、そこはもう根性で頑張ってくださいとしか言いようがないですね。

ただね、『妖怪ウォッチ』のアニメがこういう大人にも楽しめるっていうのは、ひとつポイントですよ。 

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