井上敏樹エッセイ連載「男と×××」
第三回『男と女2』
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2014.10.31 vol.191
http://wakusei2nd.com

あの井上敏樹先生がほぼ惑に降臨!ここでしか読めない書きおろしエッセイ連載、第三回目のテーマは『男と女2』。前回に引き続き、「恋愛」のあり方について考えます。
これまでの連載はこちらから。

▼プロフィール
井上敏樹(いのうえ・としき)
1959年埼玉県生まれ。大学在学中の81年にテレビアニメの脚本家としてのキャリアをスタートさせる。その後、アニメや特撮で数々の作品を執筆。『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などのほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダーキバ』など、平成仮面ライダーシリーズで活躍。2014年には書き下ろし小説『海の底のピアノ』(朝日新聞出版)を発表。
 
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▲井上敏樹先生が表紙の題字を手がけた切通理作×宇野常寛『いま昭和仮面ライダーを問い直す[Kindle版]』も好評発売中!
 
【関連動画1】
井上敏樹さんも生出演したPLANETSチャンネルのニコ生です!(2014年6月放送)
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【前編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
【後編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
 
 
男 と 女 2
 
井上敏樹
 
 前回、男と女について書いた。ところがもっと書けと言う声が多く、一応要望に応えてみる。

 男と女の関係性も随分変わった。
 ロシアの有名な作家スタンダール(だったと思う)は『恋愛論』の中でなかなかに含蓄のある言葉を残している。男が女を愛した場合、あまりにも早く告白をしてはいけないと言うのだ。その時点で女の心は相手に対する情緒的な成長を止めてしまう。あまりに簡単に手に入った愛にしらけてしまうというのである。
 昔の男たちはそれを知っていて、様々な手練手管を使って女を酔わせから口説いたものだ。そこのところはカサノヴァの『回想録』やラクロの『危険な関係』に詳しい。ちなみに前者はカサノヴァ本人の恋愛記録であり、後者は恋愛の骨格そのものを描いた傑作小説である。

 とにかく昨今では出会ってすぐに告白がなされ、された方も『ま、いいか』程度ですぐにセックスをする。これでは情緒もへったくれもあったもんではない。