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ガラパゴスな日本の音楽文化をいかに世界へ展開するか ――kz(livetune)ロングインタビュー ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.107 ☆

2014/07/04 07:00 投稿

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ガラパゴスな日本の音楽文化をいかに世界へ展開するか
――kz(livetune)ロングインタビュー
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2014.7.4 vol.107

本日の「ほぼ惑」は――
ボーカロイドを出発点とし、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)からアニメ主題歌、J-POPとジャンルを問わず活動するアーティスト・kz(livetune)。そのバックボーンからこれからの活動までに迫る1万字超のインタビューです。

 
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▼プロフィール
kz(livetune) <ケーゼット(ライブチューン)>
音楽プロデューサー/DJとして活動。数多くのJ-POP楽曲を手掛ける一方で、複数の名義を使い分け、ZEDD、Afrojackなどの世界的なEDMアーティストを始め多数のダンスミュージックよりのRemixワークを手掛ける2010年代最重要クリエイターの一人。またソロプロジェクトlivetuneとしても活動しており、Google Chromeと初音ミクのコラボレーションで話題になったCM楽曲「Tell Your World」やボーカロイドのみならず、リアルボーカリストを迎えた作品も精力的に制作している。
最近では、SF小説『BEATLESS』の限定セット『BEATLESS “Tool For The Outosoucers”』(6月25日発売)内のコンピレーションイメージアルバムのサウンドプロデュースを手がけた。さらに今年9月10日には、これまでコラボレーションしてきた歌手の中島 愛、SEKAI NO OWARIのFukaseやニルギリスらに加えて、ゴールデンボンバーの鬼龍院 翔、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎・滝 善充なども迎えたリアルボーカル(adding)シリーズのフルアルバム『と』が発売予定。
 
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(C)長谷敏司・monochrom
 
フィギュア"レイシア"から始まり、月刊Newtypeの連載を経て、第34回日本SF大賞最終候補作となったSF小説『BEATLESS』。その魅力を余すところなく収録した限定セットの発売が決定! kz (livetune) がプロデュースする、全曲書き下ろし楽曲のコンピレーションイメージアルバムCDと、redjuiceにより描かれたイラストを完全収録し高い評価を受けた公認ガイドブックを収録。さらに『進撃の巨人』のWIT STUDIOが、TokyoOtakuModeの英語版連載用に描き下ろしたアニメイラストを、ラフや未公開設定画像も含め完全収録! デザインワークは『THE IDOLM@STER』『ギルティクラウン』などを手がけた草野剛デザイン事務所で、特製スリーブが付属。これ一つで『BEATLESS』の世界を網羅できる、質感も非常に高い限定セットです。
セット収録内容:kz(livetune)プロデュース イメージアルバムCD/ガイドブック「INSIDE BEATLESS」/WIT STUDIOイラストブック (Amazon.co.jpより)
 
"BEATLESS - Give Me the Beat - Produced by kz(livetune)"
M1.fazerock「Liberated Flame」
M2.banvox「Monolith」
M3.Sakiko Osawa「Soulless」
M4.y0c1e「life」
M5.Pa's Lam System「Trust」
M6.Seiho「DOOR」
M7.livetune adding NIRGILIS「Dreaming Shout」
 
◎聞き手:中野慧/構成:佐藤雄
 
 
■「ボーカロイドには音楽史的参照点がない」?

――先日は弊誌主催のイベント(※)にご参加頂きましてありがとうございました。音楽市場を俯瞰して語るようなトークイベントだったのですが、kzさんは参加してみていかがでしたか?

kz そもそもトークイベントが久々で、ギアの入れ方を忘れて戸惑ってしまったんですけど、でも楽しかったですよ(笑)。(いきものがかりの)水野さんがすごく饒舌にお話しされていたので、僕は短く喋ろうと意識していました。トークイベント自体は、作品について語るものはけっこうあるんですが、大きなテーマを扱うものだと、水口哲也さんと音楽の未来について語るイベントがあったくらいで、なかなかないタイプのものだったので自分にとっても刺激になりましたね。
 
 
――今日は、kzさんのこれまでの活動から、最新の活動までを広く伺っていければと思います。最初に、kzさんがこれまで影響を受けてきた音楽についてお聞きしたいのですが、先日のイベントでは「あまりJ-POPに触れてきていない」とおっしゃっていました。昔のインタビューを読むと、ザ・ラーズやリバティーンズなどの海外のロックバンドからの影響を口にされていますよね。

kz そうなんですよ。今でこそエレクトロやダンスミュージックをやっていますが、純然たるテクノは実はさわりくらいしか聴いていないんです。元々はラーズのようなロックンロールが好きで、そういったロック文脈の延長線上で語られるダフト・パンクやケミカル・ブラザーズ、アンダーワールドなどは聴いていました。

それとロックといっても、アメリカよりはUKロックが好きですね。やっぱりビートルズや、オアシスからも影響も受けています。高3ぐらいでそのあたりにハマって、大学の時も聴いていましたね。その3~4年間が過ぎてからは作る側に回ってしまって、そのまま大学卒業の少し前くらいにビクター(編注:現在はトイズファクトリー所属)から声をかけてもらってデビューして、現在に至るまで音楽の制作を続けています。今は忙しいこともあって、制作をしながらたくさん音楽を聴くというのがなかなか難しいんですよね。

――なるほど。やや脱線ですが、少し前に音楽ライターの方が「ボーカロイドは音楽史的参照点がない」ということを批判して話題になっていたりしましたが……。

kz うーん、「ボーカロイドでまとめられてしまってもな」とは思いますね。ボーカロイドはジャンルではなくて、ボーカロイドというツールを使っている一群の総称でしかないので。

ただ、実際に参照点ないな、と思う曲はいっぱいあるので、「そうかもしれないな」とも思います。さっき、僕自身はいまはあまり聴く時間がないと言いましたけど、それまで聴いてきたものがバックボーンとしてはあるわけです。が、ボーカロイドを使っている人には、そういうバックボーンが全然見えない人が多いとは思いますね。

――それはポジティブな意味でも、ということなんでしょうか?

kz ポジティブでもネガティブでもない、という感じですかね。「音楽を聴くことが好き」な人が作る音楽と、「音楽を作るのが好き」な人が作る音楽って、違ったものになると思うんですよ。「制作そのものが楽しい」という人が、他人の曲を聴かないということはあり得ると思うんです。

それでも、作った音楽が面白いものだったら、表現としてちゃんと成立するじゃないですか。でも、その作った音楽に隙があった場合、「音楽を聴くのが好き」という人が、そのバックボーンのなさを批判するんだろうなと思います。
 
 
■キャラクターとしての初音ミク、シンセサイザーとしての初音ミク
 
――kzさんのバックグラウンドにある音楽と、初音ミクというキャラクターを中心とするボーカロイド文化って、あまりつながっていないようにも思えるのですが、初音ミクを使ったきっかけは何だったのでしょうか?

kz おそらく、「キャラクター」として初音ミクを捉えてしまうと、つながっていないように見えてしまうんじゃないかなと思います。僕としては単純に、「面白いソフト見つけた!」という感じだったんですよ。1枚絵の付いている新しいシンセを使ってみたというだけなんです。操作感も他のシンセサイザーとそんなに変わらなかったので、初音ミクを使うのに何か意識的に違う部分があったわけではないですね。

――「初音ミクのブームは、キャラクターへの愛に駆動された二次創作の連鎖だ」というようなことを言われていたりするんですが、kzさんご自身はそういった入り方ではなかったということでしょうか。

kz 僕に関してはそうですね。でも、キャラクターから入った人のほうが圧倒的に多かったと思いますよ。で、僕はそれを傍から見て「楽しそうだなー」と思っていました(笑)。

たとえば「Packaged」(2007年)という曲でボーカロイドのキャラクター性に寄せた歌詞を書いていますが、それはキャラへの愛というよりも、「初音ミクという存在自体が面白いな」という意識から歌詞の素材として使ったんです。

だから僕は正直、キャラへの愛といった感覚はないですが、ただ、僕になかったとしてもイラストを描く人にあったとしたらそれは「ある」ということになりますよね。そうやって裾野が広がって、いろんな意見の集合体となり、二次創作の連鎖が起きたのは面白いことだったと思います。
 
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▲「Packaged」 Full Ver.
 
――メジャーデビュー直前の「Last Night, Good Night」(2008年)では一枚絵ではなくアニメーションのMVになっていますが、あの作品ではどういった経緯で動画のMVを制作することになったんでしょうか?

kz あの曲を発表した当時って、あまり動くMVってなかったんですよね。いまでこそ、初めて曲作りますという人でも、ものすごくちゃんとした動画が付いていると思いますが、当時は1枚絵が主流で、たとえば、supercellの「恋は戦争」とかも1枚絵がスライドしていくというようなものでした。まだそういった状況だったので、動画を作ってもらえる人があまりいなかった。

このときはアルバムを発売するタイミングだし、今回の『BEATLESS』にも参加してくれている、しる(redjuice)さんもノってくれていたので動画が付くことになったんですね。僕自身は、「やったー! 動画だ!」という気持ち以外は特になかったです。当時は、動画として発表すること自体が新鮮だったんですよね。

――今回の『BEATLESS』を拝見して、以前ゆうきまさみさんとコラボしたプロジェクト『Crosslight』(2009年)とモチーフが似ているのかな、と感じたんです。どちらも、人型のアンドロイドがメインキャラクターとして活躍する近未来のお話ですよね。kzさんご自身がああいったSFものに魅力を感じたりするのかなと思ったんですが、いかがでしょうか?

kz 僕自身、というよりも、ああいったテーマは初音ミクと親和性が高いのかなと思います。そのなかでも僕がボーカロイドシーン寄りの楽曲を作っていたので、自然と僕にオファーが来ているってことなのかなと。

実は、僕にとってSFは難しくて、たくさん読んだりしているわけではないんです(笑)。ただ『BEATLESS』は、固有名詞とかも分かりやすいですし、キャラクターも立っているので、入りやすいと思いますよ。

――kzさんの音楽以外の部分、小説やマンガだったり、物語やフィクションの方面でのバックボーンにはどのようなものがあるんでしょうか?

kz SF的なものでいったら、みんな好きだとは思うのですが、ガンダムシリーズはやはり好きですね。特に『0083 STARDUST MEMORY』のアニメーションが格好良くて好きです。あと『逆襲のシャア』も好きですね。

そのほかだと、僕の1番好きなアニメは『カウボーイビバップ』なんです。菅野よう子さんの音楽も好きですし。あとは『マクロスF』だったり、宇宙と音楽、そして人間ドラマがあるものが好きですね。ところで、このあいだのトークイベントのときにお話しして思ったんですけど、宇野さんってちょっとシャアっぽいですよね(笑)。

――宇野常寛も『逆襲のシャア』の大ファンなので、次にお会いする機会がありましたらぜひそのお話をしてみてください(笑)。
 
 
■村上隆とのコラボ――「Last Night, Good Night(Re:Dialed)」から「Pink or Black」に至るまで
 
――『めめめのくらげ』「Redial」「Pink or Black」などで村上隆さんたちとお仕事をされていますが、村上さんとのお仕事が始まったのは、いつぐらいからだったんでしょうか?

kz 村上さんとの関わりは、2010年くらいからですね。村上さんが主催されている「GEISAI TAIWAN #2」で僕がDJとしてして参加していた「DENPA!!!」がコラボしていたんです。そこでたまたま村上さんとお話する機会があって、その話のなかで表彰式か何かのBGMがなくなったから作ってくれ、と言われて。そのときに僕もループ素材をいっぱい持っていたので、それを組み合わせて作ったものを渡したんです。そこで村上さんは、「音楽ってすぐできるものなんだ」と重大な勘違いをしてしまったんじゃないかと思うんですが(笑)。

そのあとに『めめめのくらげ』(2013年)の主題歌(=「Last Night, Good NIght(Re:Dialed)」)と劇伴の仕事をいただいて、そこで僕がいろいろ悩んで時間がかかっているのを見てはじめて、村上さんはその勘違いに気づいたらしいです(笑)。『めめめのくらげ』はなんだかんだで、足掛け2年くらい制作をやっていましたね。

――同じく「Redial」(2013年)のときは、制作の仕方が双方向的と言いますか、楽曲かPVのどちらかが先にあって、それに合わせるという作り方ではなかったようですね。

kz 「Redial」のときはすごく悩んでいて、いっぱい案を出したんですけど、しっくりこないな、ということでイチから作り直したりしていました。イメージは最初から伝えてはいたんで、村上さんのチームにも並行してやってもらいながら、たとえば曲の骨組みだけを最初に渡して、それを元に組み立ててもらったりとかしていました。

なので制作としてはコライト(共作)というよりは、別働隊のようなかたちでしたね。つまり、お互いの何かに影響されるというものではなかったんです。もちろん最終的に音に映像を合わせる作業は行ったんですが、僕のほうから特にリクエストを出したりもしていませんでした。その前の『めめめのくらげ』のときは例外的に村上さん側からいろいろリクエストはあったんですけどね。

同じく村上さんからふられた「Pink or Black」(2013年)では、何事もなく進んでいきましたね。村上さんって、ご自身のイメージしていたものと合致してないときはちゃんと擦り合わせて、納得いくまでとことんやりますけど、イメージと合っているときは特に何も言わないんです。そういったリクエストがなかったってことは、なんだかんだ納得してくれていたんだろうな、と。だからこそ、村上さんたちが出してくるもののクオリティは常にすばらしいものになるんだと思います。
 
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■『BEATLESS』のイメージアルバム『Give Me The Beat』はいかにして生まれたか
 
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(C)長谷敏司・monochrom
 
――それでは今回の『BEATLESS』について伺っていきたいと思います。今回kzさんがイメージアルバム『Give Me The Beat』をプロデュースされることになったきっかけはどういったものだったんでしょうか?

kz そもそも小説『BEATLESS』の「月刊ニュータイプ」での連載時に、イラストレーターとしてしる(redjuice)さんが関わっていて、彼と「久々に一緒に仕事したいね」と話したのがきっかけです。ちなみに、しるさんとは、僕が初めてコミケで同人CD『Re:Package』(2007年)を出したときから関係がはじまっていて、「ストロボナイツ」という曲にものすごいイラストを描き下ろしてくれて、ブースに届けてくれたんです。僕はちょうど席を外していたんですが、戻ってその絵を見てすごくびっくりしたのを覚えています。

――アルバムに参加した7組の方とは、どういったかたちで出会ったのでしょうか?

kz まず、M6.「DOOR」を手がけたSeiho<セイホー>さんとは、お互い存在は知っていたと思いますけど、実は今回一緒にお仕事するまで面識はなかったんです。僕の「Transfer」のリミックスをしてくれたAvec Avec<アベック・アベック>というクリエイターとSugar's Campaign<シュガーズキャンペーン>というユニットをやっていたのでSeihoさんの名前は知っていましたし、アルバムを買って聴いたらすごく格好よくて、最近の人のなかでピカイチだなと思っていました。それで今回どうしても参加をお願いしたいと思っていたんです。あとはみんな友達で、秋葉原MOGRAにいた人だったり、その紹介で知り合った人たちですね。

M1.「Liberated Flame」を作ってくれたfazerock<フェイズロック>とももう数年の付き合いになります。M5.「Trust」の制作者のPa’s Lam System<パズ・ラム・システム>はfazerockからの紹介です。いつか仕事で呼びたいなと思っていたので、この機会に呼ぶことにしました。M4.「life」のy0c1e<ヨシエ>も5年ほどの付き合いになりますね。仲良くなったのは最近ですが(笑)。 

M3.「Soulless」を作ったSakiko Osawa<サキコ・オオサワ>は花魁という渋谷のバーで紹介されて、その時彼女がDJとして回していたんです。すごくシブいサウンドをやってくれる女の子で。ほかの人がみんな派手というか、どぎついので、彼女の作る平熱のサウンドはアルバムのなかでバランスを保つような、いい仕事をしてくれているんです。M2.「Monolith」のbanvox<バンヴォックス>は言わずもがな、幅広くいろんな仕事をしていますよね。M7.「Dreaming Shout」でaddingとして参加してくれたニルギリスもだいぶ長い付き合いになりますね。ニルの持つ宇宙感というかSF感は今回ぴったりだなと思って。「Shiny Shiny」のリミックス以来のタッグなのですごい楽しかったです。

――kzさんはこれまで、動画やアニメーションで他のクリエイターとコラボするときは、その人のこれまでの作品をよく知っているからこそ、その力を信用してあまりオーダーしないとおっしゃっていましたよね。今回はサウンドプロデュースというkzさんご自身のフィールドでもあるので、細かくオーダーされたりしたのかなと思ったのですが、いかがでしょうか?

kz いや、今回も特にオーダーしてないですね(笑)。「『BEATLESS』という作品があるから、思うことを曲にしてくれ」と言っただけです。シーンやキャラクターの指定もしてないです。サントラではなくイメージアルバムなので、別にシーンごとに作るものではないなというのと、やっぱりもともと全員のファンで作風を知っていて、彼らがフォーカスするだろう位置を予想して僕もオファーをしてるので、改めて何かオーダーするというようなことはしなかったですね。

――特に修正の依頼などもしなかったんですか?

kz  えーと、fazerockに「キックの音色を変えたらみたら?」って言ったくらいですかね(笑)。

たとえば僕がアニメーションの監督で、ビジネスとして動かさなきゃいけないというのなら、統一した世界観を作るために、ちゃんとしたオーダーをしなければならないと思うんですが、このアルバムは単純にそういったものではなく、世界観を共有しているパラレルワールド的なものだと思って作りました。作品に強く寄せたサントラのようなアルバムとは違ったものにしたいな、と思っていましたね。
 
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■ガラパゴスな日本の音楽文化をいかに世界へ展開するか
 
――kzさんは今後EDMなどのダンスミュージックの方向に進んでいきたいと前回のイベントでおっしゃっていましたが、その一方でやっぱりアニメソングも同時並行で手がけられていて、活動がいま大きくふたつの分野に分かれているように思います。その2つはやはり、切り分けて活動されていくんでしょうか?

kz その2つの分野を一緒にやることはないなと思っています。やっぱりダンスミュージックはダンスミュージックで、ポップミュージックはポップミュージックなんですよね。それに気づくまで若干時間がかかりました。最初のうちは、ダンスミュージックを取り入れたポップミュージックを作りたいなと考えていたんですが、やはりメロディを聴こうとするとリズムが邪魔になってしまうところがあるんですよ。

EDMはリズムがシンプルなので、メロディとぶつからないものが作れるんですが、それは海外の音楽のメロディがシンプルだからできることだと思います。

日本の音楽は転調が多かったり、複雑な構造になっているので、EDMとの組み合わせはあんまりよくないと感じていて、切り分けたほうがいいなと最近は考えていますね。ただ、日本人の才能としてメロディのセンスはあると思うので、その国に合わせてローカライズしたEDMに日本人のメロディセンスを活かすことはできるんじゃないかな、と思っています。

今後は海外で活動していくことを考えていますが、そこであまりに「日本っぽい」ものをやってしまうと、日本好きな外人にしか届かなくなってしまうんです。これは悩みどころなのですが、結局、その国に合わせてローカライズしないと国境や言語というハードルは超えられないな、と。

「Tell Your World」を作っていた2011年ころまではあまりそういったことを考えなかったんですが、それ以降ヨーロッパやアジアなどを実際に行って回っていて、大勢の人に聴いてもらうにはローカライズが必要だな、と考えが変わってきたんですよね。
 
 
■なぜEDMは日本で流行らないのか?

――そこでヨーロッパに向けたローカライズと、アジアに向けたローカライズでは違うものになるんでしょうか?

kz ヨーロッパとアジアでやり方が変わるということはないかなと思っていますね。 

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