PLANETS Mail Magazine

【現代ゲーム全史】なぜファミコンは米国で市場を独占したのか? NESが海外進出で行った"偽装"

2013/12/24 12:36 投稿

  • タグ:
  • 中川大地
  • 中川大地の現代ゲーム全史
▼本コンテンツは連載です。前回記事はこちら
http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar403789

第21回  「NESの思想」と『スーパーマリオ』

 だが、初期の「ファミリーコンピュータの思想」を変えていった『スーパーマリオ』の真価は、むしろ「ファミコンではないファミコン」が世界市場を席巻していく原動力になったことにこそあった。同作発売から1ヵ月ほど後、任天堂は山内溥社長の娘婿である荒川實が率いるアメリカ法人ニンテンドー・オブ・アメリカ(NOA)を通じて、北米市場へのファミコン進出を開始している。アタリVCSの後継失敗によるビデオゲームクラッシュでテレビゲーム専用機がすっかり姿を消し、その需要が「ホームコンピューター」と総称されるホビーパソコンに吸収されてしまっていた北米の状況では、「ファミリーコンピュータ」などという野暮ったい和製英語の名称やコンセプトが通用する余地はない。
 そのため、NOAは当初は「Nintendo Advanced Video System」の名で、日本国内で発売したファミリーベーシックと同様、ファミコンを核としたキーボード付きの仕様で発売し、ホームコンピューターの土俵で勝負することを検討していた。しかしながら、すでに8ビット機ではコモドール64が牙城を築いており、また以後の本格的な実用パソコン普及期の標準規格となるアップルの「Macintosh」やIBMの「PC/AT」といった先進的なシリーズの始祖が1984年の時点で登場していた情勢下で、もはや玩具にオプションを継ぎ接いだレベルのパソコンもどきに勝算がないこともまた、NOAは見本市への出展などを通じて思い知らされるに至る。
 

ここから先は有料になります

チャンネルに入会して購読する

月額:¥880 (税込)

  • チャンネルに入会すると、チャンネル内の全ての記事が購読できます。
  • 入会者特典:月額会員のみが当月に発行された記事を先行して読めます

ニコニコポイントで購入する

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事

継続入会すると1ヶ月分が無料です。 条件を読む

PLANETSチャンネル

PLANETSチャンネル

月額
¥880  (税込)
このチャンネルの詳細