【今週のお蔵出し】
『ヘルタースケルター』と「あの頃」の消費社会
(初出:「サイゾー」2012年9月号)
映画『ヘルタースケルター』を観た。本作は、基本的には沢尻エリカという「変人」を観るための映画だ。ヒロインと沢尻のスキャンダラスな人生を重ね合わせ、そのユニークなキャラクターの魅力を強調する。私見では、蜷川実花はこの「最低限の仕事」はできている。しかし全体的に練り込みが甘い。沢尻を見せるためだけの映画なのだから、尺はこの半分でよかったはず。中途半端に映画への意志を見せているせいで、冗長な映像体験になってしまっているのだ。
さて、それとは別に僕が考えたのは、この原作を今映像化するなら、他にどんな手があるだろうか、ということと、ひいてはバブル前後の消費社会観が今日の情報環境下でどれくらいの射程を持っているか、ということだ。
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