今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、最終回をお届けします。
今回紹介する作品は、Netflixで配信中の『2つの人生が教えてくれること』です。「母としての人生」「自らの夢を叶えた人生」2つのifストーリーを歩む女性を描いた本作。同じ女性として、今後の人生を見据えたるみさんは主人公・ナタリーの姿に何を思うのでしょうか。
加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage
第31回 『2つの人生が教えてくれること』──正反対のifストーリーに共通する幸福
おはようございます、加藤るみです。
この前、知らない番号から電話がかかってきて「わし!! わしやて、わし!!」と言われ、声を聞いてもまったくピンと来ず、本当に誰かわからなくて、恐る恐る「誰ですか?」と聞いたら、まさかの母親からの電話でした。
最初は、あまりにも「わしわし」言うもんだから、人生初のオレオレ詐欺ならぬ、わしわし詐欺を疑いました。
どうやら、母は旅行中に携帯電話を忘れたらしく、もし旅先で何かあったらいけないからと友達に電話を借りて電話してきたみたいです。
そういや、昔から母は自分のことを"わし"と呼ぶんですが、そのことについて不思議に思った幼少期のわたしは「なんでお母さんは自分のことを"わし"って呼ぶの?」と、聞いたことを覚えています。
その時の母は、「"わたし"って言っているけど、早口だから"わし"って聞こえるだけだよ」って言ったんですね。
子供ながらに聞き間違いだという理由が意外すぎて、そのエピソードを強烈に覚えていたわたしは、わしわし詐欺事件(詐欺ではない)があってから、その昔言われたことを話したんです。
そしたら、母はその出来事をまったく覚えてないらしく、純粋に信じたわたしが可哀想になりました。
やはり、母は色んな意味でさすがだと思いました。
わたしも普段は思わず自分のことを"わし"って言ってしまう瞬間があるので、そこだけは似たくないなと思う所存でございます。
さて、今回紹介する作品は、Netflixで配信中の『2つの人生が教えてくれること』です。
もしあの時、妊娠していたら、していなかったら、という"If"の人生を2つ同時進行に描く物語。
ドラマシリーズ『リバーデイル』のリリ・ラインハートが主演、プロデュースを務めています。
リリ・ラインハートは『リバーデイル』で一気に名を馳せた若手俳優ですが、2020年のAmazonプライム・ビデオ映画『ケミカル・ハーツ』で初めてプロデューサーを務め、その成功から今後プロデューサーとしても期待される有望株です。
『2つの人生が教えてくれること』はこんなあらすじです。
大学卒業式のパーティーで妊娠試験薬を使うナタリー。
妊娠が発覚し、実家で親のサポートを受けながら子供を育てる人生。
妊娠は発覚せず、LAへ飛び立ちアニメーターの道を進む人生。
彼女の人生は2つに分かれて、それぞれの物語へ……。
これ、「アラサーが深夜に観るんじゃなかった案件」でした。
シンプルにめちゃくちゃ刺さってしまい、その夜は今までの自分の人生を振り返ってしまい朝まで寝れなくなっちゃいましたね。
なので、アラサーは深夜以外に観ることをオススメします(笑)
現在27歳のわたしですが、30歳が近づくにつれ、妊娠や育児というキーワードが急に身近になった気がします。
周りの友達との会話でも、「果たしてわたしたちは子を授かり、育てることができるのだろうか?」とか、「妊娠したら今まで積み上げてきたキャリアがなくなってしまうんじゃないか?」とか話したり。
そんな将来についての漠然とした不安や悩み、妊娠・出産を経験する女性の繊細な心情をリアルに描いていて、この作品に共感せずにはいられませんでした。
2007年に公開された『JUNO/ジュノ』もこの作品と同じく予期せぬ妊娠を描いていますが、10代のあの頃に観た『JUNO/ジュノ』と、令和のアラサーなうのわたしが観るこの作品とじゃ、そりゃあ響き方が違うよなぁと。
今のわたしにとって、『2つの人生が教えてくれること』はがっつり芯を食らった感じでした。
主人公のナタリーは大学卒業パーティの夜に妊娠検査薬を使うんですが、その妊娠検査薬に示された結果によって、2つの異なる人生を歩んでいくようになります。
妊娠検査薬を使ったことがある女性は、線が浮かぶのを待つあのなんとも言えない瞬間に自分を重ねてしまうんじゃないんでしょうか。
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