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中小企業の海外進出が専門の明治大学・奥山雅之教授とNPO法人ZESDAによるシリーズ連載「グローカルビジネスのすすめ」。地方が海外と直接ビジネスを展開していくための方法論を、さまざまな分野での実践から学ぶ研究会の成果を共有していきます。
今回は、メコン地域を中心にASEAN各国で「法律」と「アート」という対照的な領域で活動する藪本雄登さんが、多様なローカリティをもつアジアで「ローカル」と「グローバル」の矛盾を超えてビジネスを浸透させるには、どんな哲学が必要なのかを考察します。
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本メールマガジンにて連載中の「グローカルビジネスのすすめ」の書籍が、本日3/25より紫洲書院から発売となります。各分野の第一線で活躍する人々の知識と経験とともに、グローカルビジネスの事例を豊富に収めた、日本初のグローカルビジネス実践マニュアルです。
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グローカルビジネスのすすめ
#04 真のグローカリゼーションとは?アジアの都市エリートと田舎のアーティストを通じて

 近年、新たな市場を求めて地方の企業が国外市場へ事業展開する動きが活発になっています。日本経済の成熟化もあり、各地域がグローバルな視点で「外から」稼いでいくことは地方創生を果たしていくうえでも重要です。しかし、地方の中小企業が国外市場を正確に捉えて持続可能な事業展開を行うことは、人材の制約、ITスキル、カントリーリスク等、一般的にはまだまだハードルが高いのが現実です。
  本連載では、「地域資源を活用した製品・サービスによってグローバル市場へ展開するビジネス」を「グローカルビジネス」と呼び、地方が海外と直接ビジネスを展開していくための方法論を、さまざまな分野での実践の事例を通じて学ぶ研究会の成果を共有します。
(詳しくは第1回「序論:地方創生の鍵を握るグローカルビジネス」をご参照ください。)

 今回は、メコン地域を中心にASEAN各国で活躍するOne Asia Lawyersの藪本雄登氏にご担当いただきます。海外進出の事例を数々見てきた中で、生半可なグローバル化、哲学なきローカル化をするだけの製品・サービスは淘汰されると藪本氏は予見します。グローカルビジネスにおいて、都市エリートがローカルな感覚に呼応するためには何が必要なのでしょうか? 「アート」というキーワードを切り口に迫ります。

(明治大学 奥山雅之)

1 アジアにおけるグローカリゼーション

 One Asia Lawyersグループ、アウラ現代藝術振興財団の藪本と申します。本章では、私が取り組んでいる法律の話と、アートというテーマをめぐって、アジアにおけるグローカリゼーションについてお話しさせていただきます。
 まずは、私自身のかなり変わったキャリアを、簡単に紹介させていただきます。大学を卒業してから、いきなりカンボジアに飛び込み、起業しました。私自身は、特に弁護士でもなく、別に英語が流暢なわけでもないので、どうしてカンボジアに行ったのかとよく聞かれるのですが、一言でいうと「バカ(あんまりよく考えずに、突き進む)」だったのだと思います。小中学校や高校生のときから「猪」と揶揄されていました。大学で学んでいた時に、周りの学生達の基礎的な能力の高さに衝撃を受け、バカはバカなりにどうやって生き残ろうかと思い、大学4年生の時に直感をたよりにカンボジアを訪れたのです。そこで現地をみて、「ここなら勝負できるかもしれない」という直感をもとに、会社をいきなり作ってみました。

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