今朝のメルマガは、イベント「遅いインターネット会議」の冒頭60分間の書き起こしをお届けします。【明日開催!】
山口揚平さんをゲストにお迎えした「『2020年以降』の経済と、個人の生存戦略」です。新型コロナウイルスによるパンデミックによって、2020年以降の経済はいかに変わっていくのか。そして、変わりゆく時代を生き抜くための生存戦略を考えます。(放送日:2020年6月16日)
※本イベントのアーカイブ動画の前半30分はこちらから。後半30分はこちらから。
7月21日(火)19:30〜「現象としての保守とインターネット(遅いインターネット会議)」(ゲスト:石戸諭)
新著『ルポ 百田尚樹現象』で、この国の右派ポピュリズムの現在に迫った石戸さん。
「新しい歴史教科書をつくる会」から百田尚樹「現象」へ、引き継がれたものとはなにか。
この国の「普通の人たち」の本質に迫る議論を試みます。
生放送のご視聴はこちらから!
遅いインターネット会議 2020.6.16
「2020年以降」の経済と、個人の生存戦略 | 山口揚平
長谷川 司会を務めます、モメンタムホースの長谷川リョ―です。
宇野 こんばんは。宇野常寛です。
長谷川 この企画は、本来であれば有楽町コワーキングスペース三菱地所SAAIからトークイベントとしてみなさんにお届けしたかったのですが、当面の間は新型コロナの感染防止のため動画配信へと変更しています。それではゲストの方を紹介します。今日のゲストはブルーマリンパートナーズ株式会社代表取締役の山口揚平さんです。よろしくお願いします。
山口 よろしくお願いします。
長谷川 さて、本日のテーマは「2020年以降の経済と個人の生存戦略」です。新型コロナウイルスによるパンデミックは世界経済と社会生活をどう変えているのか。この危機を個人はどう生き抜くことができるのか。大きな構造の問題から小さな生活の問題まで議論していきたいと思います。
宇野 コロナ禍に関してはこのイベント『遅いインターネット会議』シリーズでも、うちのほかの媒体でもだいぶ扱っていて、コロナ危機そのものを、どうやって感染を防いでいくのかといった議論をしてきました。今日は視点を変えて、コロナ禍によってわれわれの生活がどう変わったのか、経済構造をベースに考えていけたらと思って、山口さんに来ていただきました。改めて、今日はよろしくお願いします。
山口 よろしくお願いします。1年ぶりですね。
宇野 山口さんはこの1年、どうだったんですか?
山口 変わらないですね。服も実は同じなんです(笑)。
宇野 安定の山口さんですね(笑)。
山口 宇野さんも変わらず。
宇野 ぼくは……なんとか生きてるって感じです(笑)。
山口 私は、最近髪の毛が心配なんですよね。
宇野 そうですね。でも受け入れて生きていこうかなと思ってます。
山口 いやいや、宇野さんは髪の毛大丈夫じゃないですか。
宇野 そんなことないですよ。ぼくは家系を辿っていくと危険なので、常に怯えながら生きているんですが、怯えに慣れることをちょっと覚えようかなと思ってます。むしろ、こんなに残ってくれてありがとう、と思えるような日々の感謝みたいなところにたどり着きたいなと思って生きてます(笑)。
山口 難しい(笑)。
宇野 それでは、リョ―君よろしく。
世界の産業構造はどう変わるのか?
長谷川 それでは、さっそく議論に入っていきたいと思います。今日は全部で10個の質問を準備してきました。それらの質問を通じて、withコロナ時代に貨幣や経済のあり方がどう変わっていくのか。そしてわたしたちが時代を生き抜いていく方法を考えたいと思います。
まず1つ目の質問は、「世界の産業構造はどう変わるのか?」です。今年3月に公開された記事では、山口さんは新旧産業の交代は2025年であり、一番辛いのはガラガラと崩れていく2020年の後半から2023年までの3年間です、と仰っていましたが、現在この予測は変わっていますか?
山口 これは、今から5年前に渋谷ヒカリエで行われた「Tokyo Work Design Week」に登壇した際に、書いたものなんですが、今でも変わっていません。産業構造とか社会構造は常にじわじわと変化しています。2015年ぐらいからピークアウトが始まっていて、当時から「これはやばいぞ、2020年から本格的にアウトだ」と予測していました。当時オリンピックがある予定だったので、オリンピックまではこの国もなんとかするけれど、オリンピック後はもうイベントがない。なので、2020〜2021年に停滞し、2022〜2023年で産業・社会構造が崩壊します。そして、2024〜2025年で新しいものが立ち上がってくると考えていて、今もその考えは変わってないですね。
でも、ある意味でラッキーだったのはオリンピックじゃなくてウイルスがやってきたこと。日本全体の産業構造にとってはラッキーだったんです。みんな違和感を持ってたと思うんですが、日本にそのままオリンピックが来ていたら、そのまま観光立国になってた可能性があるんです。ところが、どこの国にとっても観光立国っていうのは最後の道。今日はあえて経済的視点から見るということで言うと、歴史の産物、つまり過去の人々が作ってきてくれた遺物、レガシーをチラ見せして売るような産業構造になっちゃう訳です。それが1年遅れ、場合によってはないかもしれない。日本は最終手段を取らず、頑張らなくちゃいけなくなったわけです。この点が一番ポイントかなというふうに思っています。
産業構造の転換は、シンプルに考えられます。自動車および部品、電機産業といった、昔でいうところの加工貿易産業が、日本経済のだいたい10%ぐらい、日本の経済はざっというと500兆円ですから、そのうちの50兆円を加工貿易産業が占めているんです。つるっとした数字なんですけれども、全体を見るときに、こういう数字を覚えておくことはとても大事なことです。貨幣は二次元、三次元と使うわけですが、一次元、つまり単なる数字として見るんです。500兆円ってなんか大きいなっていう感じで、単なる数字で見る。若い人が見てると思うので、この貨幣に関しては後で話すんですけれども、いくつか覚えておくべきものがあるんです。
この国のGDPは500兆円なんです。GDPというのは売り上げだと思ってください。そのうちの10%が自動車関連産業。つまりトヨタとその周辺が50兆円。それに付随することを考えると、なんだかんだで20%から30%を自動車の販売に頼ってるんです。あとは、内需やサービス業と、いろいろあるんですけど、観光は20兆円ぐらいなので、1/25くらいなんですね。だから、観光立国なんて言ってても誰も食えない。そういう話です。
冷たい印象があるけど、全体観を持っているといいことがあります。
もう一つの数字としては、約5000万人が働いている国だと思ってください。本当は6300万人ですけど、減っていくので5000万人だと思ってください。5000万人のうち500万人が自動車工場で働いていたり、保険を売ったり、中古車ディーラーで食べている。けっこうな規模なんですが、トヨタが減収80%、ホンダが赤字ということで、自動車産業はもう崩れちゃっているわけです。そうすると、これが日本の基幹産業だから、もう大変なことになるんです。こうなると、社会保障、医療だとか身の回りのことや生活保護が大切、と言う話になっていきます。
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第二段も楽しみ