アニメーション監督の山本寛さんによる、アニメの深奥にある「意志」を浮き彫りにする連載の第8回。今回取り上げるのは、新劇場版完結編の公開を控える『エヴァンゲリオン』について。日本アニメの転換点となった巨大なインパクトの一方で、以降の歴史を狂わせた拭いきれない負の側面とは?
山本寛 アニメを愛するためのいくつかの方法
第8回 すべては『エヴァ』から始まった~『エヴァンゲリオン』を巡るカラー・ガイナックスの25年史
2019年の年末、「ガイナックス」の社長が逮捕された。
僕には寝耳に水のことで、え、山賀(博之)さんが!?と一瞬戦慄したが、件の社長は、どこの誰だかまったく解らない人だった。
ここに改めて、ガイナックスという会社が抱え続けてきた「闇」を感じた。
その直後、現「カラー」の庵野秀明監督が手記を発表した。
【庵野監督・特別寄稿】『エヴァ』の名を悪用したガイナックスと報道に強く憤る理由
そこには赤裸々に、『新世紀エヴァンゲリオン』(1995~)を巡る、庵野監督を含めたガイナックス経営陣・メインスタッフの激しい葛藤が語られている。
とうとう『エヴァ』が泥仕合に巻き込まれていたことが白日の下に晒されてしまったのだが、僕はその時既に、「さもありなん」と思っていた。
僕は既に、この空気に気付いていた。
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