国の政策や会社の都合ではなく、自分自身の人生の充実のためにやる「働き方改革」を掲げる坂本崇博さん。それは一見「意識高い」行動のようでもありますが、その裏にはなんとも「残念な」発想が……!? 坂本さん自身の学生時代からの行動特性の自己分析を通じて、「私の働き方改革」のルーツと実像を浮き彫りにしていきます。
ここまでは、私が考える「働き方改革」とは何かについて解説してきました。
すなわち、働き方改革とは、誰かに押し付けられて働き方を変えさせられたり、環境や制度だけ変わって1人1人の意識・行動が変わらないような取り組みではなく、「私(I)」が主役となって、自分自身の働く価値の向上や人生の充実を求めて、自ら進めていく改革であるという考え方です。
こうした活動を「私の働き方改革」と名付けました。英語にすると、“Work style Innovation of Myself for Myself by Myself”(私による、私のための、私の働き方の改革)でしょうか。働き方改革は、最近流行りのDX(Digital Transformation)になぞらえて、WX(Work style Transformation) と表現しても良いかもしれません。「私の働き方改革」なので、My WXですね。
ただし、私の働き方改革(My WX)という名称ではあるものの、「個人任せ」「個人主義」ではないという点は強調しておきたいと思います。
私の働き方改革(My WX)は、経営、管理職、従業員それぞれの層が個人としてできる範囲もあれば、自分自身だけでは実現困難なことについては、上位階層や周囲にも働きかけて改革を要請・推進すること、つまり「働きかけ改革」も重要であると考えます。
自らの生産性を高めてより充実した働き方・生き方になるために、自分自身や周囲に働きかけ、自分自身のやる事・やり方・やる力を変えていく活動が、私の働き方改革です。
さて、ここからは、そのケーススタディと言ってはおこがましいかもしれませんが、私自身の40年ちょっとの半生における「私の働き方改革(My WX)」を振り返ってみたいと思います。
ただし、単なる「坂本の自分史」でページを費やしたいわけではありません。
自分の半生を「ケース」として客観視しながら、私が人生で直面した状況とそこでの思考・判断を振り返りながら、「個人として、私の働き方改革(My WX)を進める上で必要な視点や行動とは何か?」という問いへの答えやヒントを探ろうと思います。
また、私の仕事は組織が働き方改革を推進することを支援するアドバイザーとなることです。よって、この連載の中でも、「組織的な働き方改革推進」という視点でもその成功の鍵を考察し、提言をしたいと考えています。
とはいえ、前述の通り「組織が個人に押し付ける形の“働かせ方改革”」では意味がありません。組織を構成する経営・管理職・従業員1人1人が「私の働き方改革(My WX)」に目を向けて行動してこそ、組織の働き方改革は成功すると信じています。
そこで、私自身の「私の働き方改革史」を振り返りつつ、私の所属する組織、つまりコクヨという会社の経営・制度・風土・同僚・上司といった要素が私にどういった影響を与え、私の働き方改革を後押ししてくれたのかも振り返りたいと思います。それによって、「私の働き方改革(My WX)」に求められる個の力だけでなく、「組織を構成する1人1人がMy WXに取り組んでもらうために、組織はどういった後押しをするべきか?」という考察につなげたいと思います。
やけに長くて、かつ手前味噌な自分語りが多くなると思われますが、上記の通り、私の働き方改革を推進する上での、個人の力と、組織の後押しの2つの視点でのヒントにつながるいくつかのケーススタディとして楽しんでいただければ幸いです。
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