加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神」、第2回では、わずか17館での上映から口コミで大ヒットとなった映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』を紹介します。ダウン症の青年と無骨な老漁師の交流が描かれたロードムービーから、忙しい日常の中で人と真摯に向き合う大切さを学びます。
皆さま、おはようございます。加藤るみです。
今回はまず、最近「エキサイティングだったこと」を報告させてください。
……というより、ここからは私の自慢話です。
私、実は懸賞やキャンペーンに応募することが結構好きで、人から言われて気づいたんですが「懸賞オタク」なんです。
懸賞好きになったのは小学生の頃です。任天堂のゲーム雑誌に絵葉書を送って、それが雑誌に掲載されことが、私の懸賞人生の始まりでした。
そのときもらった特別な図書カードを、私はいつも筆箱に入れて、さりげなく小学校で自慢していました。
ただ結局、その図書カードはなくしちゃったんだけど……。
こうして懸賞が好きになった私は、大人になってからも懸賞やキャンペーンに意欲的に応募し続けて、商品券やお米や電化製品などゲットして地味に結果を残してきたのですが、なんと数日前、私の懸賞人生一番といってもいいくらいのビッグキャンペーンに当選してしまったのです……。
懸賞オタクは当選に味を占めてくると、わりと当たりやすい低倍率のキャンペーンに応募しがちになるのですが、今回はたまたま目についたから応募した超・超・超高倍率のキャンペーンに当選してしまい、その結果、以前から私が夢見ていた「スペシャルな体験」をできる感じになってしまいました(しかも、映画が絡んでます)。
「選ばれる人間」か「選ばれない人間」かと訊かれたら、どちらかといえば私は「選ばれる人間」の方かなと自分でも思ってはいたのですが(イヤなヤツ!)、「まさかこれが当たるとは……」といった感じで、未だに信じられない気持ちです。
と、これだけほのめかしておきながら、内容についてはまだ詳しくは言えないというオチです、ごめんなさい。多分、5月くらいにはベラベラ喋り散らかしてると思います。
誰かに言いたくてしょうがなくて、フライング自慢をしてしまった私をお許しください。
そのスペシャルな体験をしてきたら、またここで報告をしたいと思います。
「映画館の女神」ならぬ「懸賞の女神」に選ばれし女の続報を、どうかお楽しみに!
さて、今回紹介する作品は、『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』。
ジョージア州サバンナ郊外の大自然を舞台に、プロレスラーを夢見るダウン症の青年と孤独を抱える無骨な漁師が奇跡のように出会い旅をするという、じんわり心が温まる優しいロードムービーです。
2019年3月のSXSW映画祭ではプレミア上映で観客賞を受賞し、アメリカでは17館という小規模公開から最終的に1490館にまで上映規模が広がり、異例の大ヒットを記録しています。
▲『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』
物語は、養護施設で暮らすダウン症の青年ザックが養護施設を脱走するところから始まります。
親に捨てられ、閉鎖された空間で生活を送るザックは、プロレスラーになることを夢見てパンイチで外の世界へ飛び出してしまいます。
この冒頭のシーンに『ショート・ターム』(2013)とのデジャヴを感じて、さっそく傑作の予感がしました。
そんなザックが出会ったのは、兄を亡くし失意の日々を送っていた漁師タイラー。
すっかり心の荒んだタイラーは他人の獲物を盗み、ボートで逃走してしまいます。
理由は違うけれど、追われる身となったふたりが出会い、一緒に旅をすることになります。
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