第24回
「理想や熱を持って働きたいというのは贅沢なのでしょうか?」
相談者:バンダースナッチさん(大阪府・26歳男性・会社員)
Q.
こんにちは。是非聞いて下さい。
広告会社に入社して3年目の男です。
学生時代から熱望していた業界で、拾ってくれた会社には恩義も感じています。
ただ、入社してすぐ、これでいいのかと悩むようになりました。
いわゆる理想と現実と壁もあるのですが、希望していた企画部ではなく、営業部へ配属され、異動の見込みはないと告げられたためです。
意気込んで『何でもやります』と言って入った手前、話が違うとも言えません。
そんなこと言わなければ良かったのかも知れませんが。。
正直、今私は、仕事が楽しくありません。
妥協した発言(そのつもりはなかったのですが)の結果、そんな不遜な思いを抱くようになってしまったのです。
企画職をやりたいだけなら、気がとがめても、転職すればいいのかも知れません。
ただ、恐ろしいことに、自分が本当に企画職をやりたかったのか分からなくなることもあります。
私自身は、畢竟欲しいものを総取りできるくらい、(宇野さんではないですが)圧倒的に勝利するしかないのではないかと考え、日々働いています。
手は抜きません。努力もしました。甲斐あって、営業成績は飛躍的に伸びました。
しかし、働く程、勝利に近づいているというよりは、単にすり減っているようにしか思えない時が多いです。
結果が出れば楽しくなるかと思ったのですが、そうはなっていません。
それこそ、自分に嘘をつくようです。
もっとシンプルに、自分の理想や熱を傾けて生きたいのですが、それは贅沢なのでしょうか。
そもそも、私自身が言う仕事とは何なのか、迷っています。
長くなりましたが、質問はこうです。
國分先生にとって、仕事とは何ですか?
その仕事が、いわゆる飯の種と一致しない場合、どうするのがより愉しいでしょう?
そして、本当はこれだけが聞きたかったのかもしれませんが、
國分先生は、自分の理想や熱意を保つために行っていることはありますか?
このまま腐っていくのは嫌なのです。
以上です。
小さい話で恐縮ですが、ご助言頂ければ幸いです。
A.
ご相談ありがとうございます。
確かに難しい質問なのですが、正直言うと、悩みが一般的・抽象的すぎてうまく答えられない感じがあります。
こういうことはよくあると思うのです。なんとなく仕事に不満である。このままでいいのかどうか……。かといって、別の場所に移るべきかどうかも分からない。しかしこのままだと何か自分が腐っていきそうな感覚がある……。
昔からそう思っていましたし、この人生相談をはじめてこの考えの正しさを再認識しましたが、どんな悩み(問題)も一般的・抽象的である限りは解決しないのです。いかなる問題も個々の具体的状況の中にあります。そして個々の具体的状況を分析すると、必ず突破口が見えてくるのです。
しかし、悩み(問題)が一般的・抽象的である場合には、そうやって分析する情報がほとんどない。だから、Aとも言えるがBとも言えるというような対立に陥ってしまって、答えが出ない。
バンダースナッチさんの文面を読んでいると、バンダースナッチさん自身がどうもそのような一般性・抽象性の落とし穴に陥っているような気がします。仕事が面白く思えないために、自分が陥っている状況を具体的に分析することができなくなっているような感じです。
更にそれに、「手を抜いてはいない」「努力もした」という自信、というよりは言い訳のようなものが働いて、よりいっそう事態を悪化させています。
悩みを聞いていると、最初は困っているような振りをしていたのに、次第に「私は頑張っているんだ」と頑なに、それこそ自信満々に言い出す人っていますよね。あの頑なさが何よりもまずいんですね。「自分は頑張っている」というのが出発点になってしまい、それ以上考えがさかのぼれないからです。
だいたい、頑張れば何かが解決するわけじゃない。頑張るんじゃなくて、考えることの方が必要です。そして考えるためには、情報とその分析が必要です。
たとえば、
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