毎週月曜夜にニコニコ生放送で放送中の、宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」。2017年3月13日の放送は、初の海外からの生中継でお送りしました! チームラボの常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」が公開されている、シンガポールのマリーナベイ・サンズのアートサイエンス・ミュージアム。閉館後の展示室でチームラボの代表・猪子寿之さんに60分間たっぷりお話を伺いました。1500平米の巨大展示空間作品が表すもの、そしてチームラボのこれからについて猪子さんはどのように語ったのでしょうか。(構成:村谷由香里)※このテキストは2017年3月13日放送の「HANGOUT PLUS」の内容のダイジェストです。
2016年の敗北と、21世紀のアートに残された希望
今回の放送は〈HANGOUT PLUS〉初めての海外生中継! シンガポールにあるマリーナベイ・サンズのアートサイエンス・ミュージアムからのお届けです。昨年3月にスタートした、猪子寿之さん率いるチームラボの常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」。3月14日からの展示リニューアル直前のタイミングに生放送を行うことができました。閉館後、15の展示作品のひとつである「お絵かきタウン」の前で猪子さんご本人に直接お話を伺うという豪華な内容です。本メールマガジンの連載〈人類を前に進めたい〉でも毎月対談をしている猪子さんと宇野さん。今回も対談の和気藹々とした雰囲気を彷彿とさせる放送となりました。
宇野さんはチームラボの作品を含めた21世紀のアートを語る前提として、2016年に人類が迎えた敗北について解説します。イギリスのEU離脱とトランプ大統領の当選で大きく世の中の価値観が揺らいだが、その内側には二重の敗北があった。一つは20世紀の政治的なリベラリズムの出した最適解としての多文化主義の敗北。もう一つはカリフォルニアンイデオロギー、つまり政治的なアプローチではなく、グローバルな市場に商品やサービスを投下することで世界を変える思想の敗北です。ブレグジットもトランプも、カリフォルニアン・イデオロギーの推進する「境界のない世界」への反動であり、こうして政治的なアプローチも、経済的なアプローチも絶望的な状況になった今、残された希望はアート、つまり文化的なアプローチだけである。その希望の中心にチームラボがあるのではないかと評します。
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