毎週月曜夜にニコニコ生放送で放送中の、宇野常寛がナビゲーターをつとめる「HANGOUT PLUS」。2017年2月6日の放送では、スマートニュースの松浦茂樹さんをゲストに迎えました。ライブドアやハフィントン・ポストを経てネットジャーナリズムの様々な側面を見てきた松浦さんと、日本のインターネットとジャーナリズムの未来について議論しました。(構成:村谷由香里)※このテキストは2017年2月6日放送の「HANGOUT PLUS」の内容のダイジェストです。
インターネットジャーナリズムはどこで希望を失ったのか
スマートニュースの松浦さんを迎えての議論は、「インターネットジャーナリズムはどこで希望を失ったのか」という宇野さんの疑問から始まりました。
2000年代前半のネットは、テレビや新聞とは別の問題設定ができる弁論の場であり、それを武器に既存のマスメディアに対抗していこうする機運があった。だが今やネットは、マスメディアを補完する最大の支援者となってしまった。ワイドショーや週刊誌が設定した炎上ネタに一緒になって石を投げる今のネットは、90年代以前のマスメディアが支配的だった時代への回帰であり、堕落にしか見えないと、宇野さんは強く批判します。
松浦さんは、今の状況を招いた分水嶺として、ソーシャルメディアの登場を挙げます。ソーシャルメディア以降のネットメディアは、情報の生産だけでなく流通をさらに担うようになったことで、コミュニケーションを介した伝播や拡散に注力するようになった。しかし、人々への絶大なリーチ力を持つ「巨大な土管」であるテレビに比べ、多様な分だけ情報網が細いネットの世界で波及力を強めようとすれば、人々の共感力に訴えるしかなく、より強い刺激を求めて、表現はどんどん過激化していったといいます。
宇野さんはネットメディアを革袋にたとえます。これまでは「良い革袋を作れば良い酒が湧いてくる」という発想のもと、中身よりも媒体を作ることに力が注がれてきた。キュレーションサービスであるスマートニュースにも「ネットは良質な情報を生成する」という強い確信があり、その根底には、創業者である鈴木健さん【注1】の「情報を繋ぐことで断絶に満ちた世界をなめらかにする」という思想がある、と指摘します。
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