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猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉
第14回「アートの力で、人間が気づけない自然の美しさを可視化したい!」
【毎月第1水曜配信】
第14回「アートの力で、人間が気づけない自然の美しさを可視化したい!」
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☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.11.1 vol.724
今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第14回です。今回は、猪子さんが最近取り憑かれたように作品づくりに挑んでいるという、「デジタイズド・ネイチャー」シリーズの新作について語っていただきました。猪子さんが「今までの人生で見た中で一番感動した」とまでいう、山奥の秘境で生まれた作品も登場。「リアルな自然」と「デジタルな自然」が融合する「デジタイズド・ネイチャー」とは? そして、アートが介入することで初めて人間が知覚できる”時間性”とは?
▼プロフィール
猪子寿之(いのこ・としゆき)
1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。チームラボは、様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。
47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」、5時間待ち以上となった「DMM.プラネッツ Art by teamLab」など。2月からシリコンバレー、イスタンブールでの個展を開催中。また3月からシンガポール、8月から韓国で巨大な常設展開催中。今後、ロンドンや北京、台湾などで開催予定。
◎構成:稲葉ほたて
本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。
■ 故郷・徳島の秘境につくった新作
猪子 徳島県の山奥に、「大歩危・小歩危」と呼ばれている渓谷があるんだけど、今日はそこで発表した新作の話をしたいな。
これはこの連載で前にも触れた、「デジタイズド・ネイチャー」という自然そのものをアートにするプロジェクトなんだけど、今このシリーズの作品をつくりまくっているんだよね。で、今回作品をつくった場所は、日本三大秘境にもなっている祖谷(いや)という地域の一部なんだけど、そこがもう、すっごい美しい場所なの!
▲夏の「大歩危」の風景(画像出典)
宇野 へえ、本当に美しい場所だね。普通に観光に行きたいな……(笑)。
猪子 この祖谷の里というのは、壇ノ浦で自決したはずの平教経と安徳天皇がひっそり逃れて平家再興の望みをつないだという伝説がある土地なんだよね。
あともうひとつ、祖谷には「かずら橋」という、いかにもすぐ壊れそうな橋があるんだよ。この橋は、いつ源氏が来ても大丈夫なように原始的なつくりにしたという説があるんだよね。
▲「かずら橋」(画像出典)
宇野 そもそも猪子さんは、なんでこんな山奥で作品をつくろうと思ったの?
猪子 去年、阿波踊りで徳島に行ったのがきっかけだったんだよね。徳島には、人間よりもかかしの数が圧倒的に多い、通称「祖谷かかし村」というヤバい村があるんだけど、そこにどうしても行きたくて、そこに行く途中にこの大歩危小歩危を通ったの。それでこの場所で作品をつくりたいと思ったんだけど、いざやろうと思ったら、いろんな許可がすごく難しかった(笑)。それで、最終的には川岸に土地を持っている人にお願いして、イベント会場もプロジェクター設置用の場所も全て私有地を使わせてもらったんだよね。
それが、今回の新作『溪谷に咲く花、流れ込む滝 - 大歩危小歩危』という作品なんだ。川には花の映像を、崖の部分には滝の映像を写したりもしたんだよ。
▲チームラボは、10月8日〜10月10日にかけて、小歩危峡 白川橋付近にて『溪谷に咲く花、流れ込む滝 - 大歩危小歩危』の展示会を開催。
宇野 そりゃ国有地でやるなら許可取りだけで大変だもんね(笑)。
猪子 もう大変でさ、車とかも置けないから、徳島市内から汽車で1時間半近くかかる阿波池田というところまで来てもらって、そこから会場までバスを出したの。
だから、1日で来れる人数はマックスで600人まで(笑)。でも、タクシーで来る人がいたりとか、近所のホテルが自主的にバスを出したりなんかもしたから、こんな辺境の山奥でやったのに3日間で2500人くらい来てくれたんだよね。
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