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【新連載】invitation to MAKERS
第1回 Lyric speaker――言葉と音楽の新しい関係
株式会社SIX 斉藤迅
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.10.14 vol.711
今朝のメルマガは新連載『invitation to MAKERS』をお届けします。メイカーズムーブメントの潮流が日本にも波及し、新しい「ものづくり」の機運が高まる中、先鋭的なプロダクトを携え世に出ようとしている、新進気鋭のクリエイターたちを紹介します。
第1回は株式会社SIXのクリエイティブディレクター・斉藤迅さんのインタビューです。透過型ディスプレイにモーショングラフィックスで歌詞が表示されるスピーカー「Lyric speaker」を開発した斉藤さんに、目と耳で楽しむ音楽体験によって取り戻そうとしている、歌詞芸術の本質についてお話を伺いました。
▼プロフィール
斉藤迅(さいとう・じん)
Lyric speaker開発リーダー/SIX creative director。音楽的なバックグラウンドを軸に、広告、ブランディング、商品開発などを手がける。
◎構成 長谷川リョー
■「Lyric speaker」は失われつつある音楽体験をアップデートする
―― 斉藤さんが所属するSIXは、これまで主に映像作品やイベントなどを手がけてこられましたが、今回の「Lyric speaker」は初の自社プロダクトとなります。透過型ディスプレイに再生中の楽曲の歌詞が表示されるという、これまでにない形態のスピーカーですが、この製品はどういった発想から開発されたのでしょうか?
斉藤 まず、SIXでは、会社全体のコンセプトとして「Update the Real」を掲げています。これはクリエイティブの力で現実自体をアップデートしていこうという意味です。「Lyric speaker」はまさにこのコンセプトを体現するプロダクトで、「歌詞」という現代の音楽文化から抜け落ちそうになっている要素をアップデートし、それと同時に「音楽体験とはそもそもこうであったのではないか?」ということも提唱しています。
―― カセットテープからCD、MP3、そしてストリーミングへ、音楽の形態はデジタル化が進んできましたが、一方で最近ではレコード人気が高まるなど、アナログを見直すような現象も起こっています。「Lyric speaker」はそういった状況の延長線上で発案されたプロダクトだったのでしょうか?
斉藤 開発にあたって心がけたのは、「歴史の必然の中で、誰もが確かにあったほうがいいとと思うけれども、まだ誰もつくっていないものをつくる」ということです。
歌詞を楽しめる場所があれば、音楽はより楽しいモノになるというのは、僕以外の人にも共感してもらえると思いました。アナログブームに関連して言えば、このスピーカーの形状にどことなく懐かしさを感じる人もいると思います。単機能の製品だからこそ落ち着くし、触れ合いながらじっくりと時間を楽しめるというのはあるかもしれません。
宇野 アナログの写真やレコードといった、20世紀前半に普及したテクノロジーは、情報を所有する喜びによって成立していた側面がありますよね。「姿形が写っている」とか「音をいつでも聴ける」ということ自体に価値があった、写真やレコードそのものが魔法であった時代の産物です。だからこそ独立した表現として成立していた。レコードの時代のほうが相対的に「音楽を聴く」ことそれ自体が目的たり得ていた。
一方で、21世紀生まれのニュータイプたちにとって、音楽は基本的に何かをするときのBGMであり、自分のライフスタイルの一部になっている。iPod以降はますます作業用BGMとしての傾向が強くなって、自分の生活環境にどのBGMを選ぶかというような音楽への接し方が増えてきた。人間と音楽の関係が情報環境によって変化している中で、歌詞の視覚化というアクロバティックなアプローチで音楽それ自体をもう一度取り戻すにはどうすればいいのか。「Lyric speaker」はその答えを探るプロダクトだと思うんですよね。
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