水曜夜は冒険者! -記事アーカイブ-

『水曜夜は冒険者!:マスタリングのうらがわ』-9-

2013/11/19 18:52 投稿

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  • ダンジョンズ&ドラゴンズ
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 皆様こんにちは、ニコ生D&D解説担当の塚田です。今まではもっぱらルールやデータの話題を取り上げてきたこのコーナーですが、今回からは新シーズン『ネヴァーウィンターの失われし王冠』の内容にあわせて、セッションの舞台であるフォーゴトン・レルム世界(のネヴァーウィンター地域)の解説をお送りいたします。

 なおこのコラムの内容は、フォーゴトン・レルム世界をご存知ない方が本D&D動画をご覧になるに当たって必要となる最低限の知識を把握していただくためのものです。より詳しく正確な情報については『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』、『ネヴァーウィンター・キャンペーン・セッティング』などをご覧ください。


フォーゴトン・レルムとは
 ファンタジーRPGである『ダンジョンズ&ドラゴンズ』には、ゲームの舞台となる架空世界の設定が何種類も作られてきました。『フォーゴトン・レルム』はその中でも比較的オーソドックスな、いわゆる“中世ヨーロッパ風ファンタジー”の世界であり、30年以上に渡って何百冊もの設定資料集が出版されてきた長い歴史を持つ世界です。

 このフォーゴトン・レルム世界のうち、ルールブック等でメインとして扱われているのは惑星トリルのフェイルーン大陸西部です。これは乱暴にたとえるならヨーロッパ+アフリカ大陸北部+中近東+ロシアぐらいの広さを持つ広大な地域で、文化や人種などもどことなくこれらの国々を思わせる設定になっています。今シーズンの舞台であるネヴァーウィンターは大陸北西部の沿岸(ソード・コースト地域)に位置しているため、気候や人種などは北欧をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。

 人によってイメージの食い違いやすい“中世ヨーロッパ風”についてもう少し詳しく説明しますと、フォーゴトン・レルムは中世というよりも近世に近い時代に見えます。たとえば海の彼方の大陸との間を貿易船が行き来し、政治体制は封建制というよりも絶対王政に近く、原始的な火縄銃も存在します。もちろん、強力な魔法やモンスターが存在する以上、現実世界の中世とはまったく異なった部分の方が多いですけれども。


呪文荒廃
 フォーゴトン・レルム世界は100年前の“呪文荒廃”という天変地異によって激変しました(『ダンジョンズ&ドラゴンズ第3.5版』の末期のできごとです)。何柱もの神々が消滅し、惑星トリルともう1つの惑星アイビアとの間で大陸サイズの土地が住人ごと入れ替わり、暴走する魔力が世界中の生き物を怪物に変えたり狂わせたりしたのです。

 これらの変化の詳細まで知っておく必要はありませんが、「100年前に大災害が起きた」、そして「世界を滅茶苦茶にした魔力の暴走=呪文荒廃は今も人々を苦しめている」ということだけは覚えておいてください。

 そして、この呪文荒廃によって狂える怪物となったクリーチャーを“荒廃クリーチャー”、怪物にはならなかったものの超常的な力を獲得した者を“呪痕持ち”(¥¥ルビ:スペルスカード)と呼びます。呪痕持ちは自分の力を制御できずに周囲の者を傷つけたり、力に溺れて“荒廃クリーチャー”と同じ化け物になってしまうことが珍しくないので、しばしば迫害を受けます。ネヴァーウィンター市内に開いた“大裂溝”と呼ばれる巨大な地割れからは今も荒廃クリーチャーが続々と這い上がってきているため、今シーズンのセッションにも登場するかもしれません。


フォーゴトン・レルムの神々と信仰
 フォーゴトン・レルムに限らずたいていの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の背景設定は、多くの神々が実在し、世界に影響を及ぼしている、ゆるやかな多神教世界です。たとえば農民は大地母神チョーンティーアに豊作を祈り、家族が亡くなれば死の神ケレンヴォーに死者の魂をお守りくださいと祈ります。商人は商売の女神ワキーンを崇める一方で、貿易船が嵐に遭わぬようにと邪悪な海の女神ウンバーリーにも密かに捧げ物をします。どの神様も本当に存在している以上、他の人が信じる神をインチキ呼ばわりしたり偶像崇拝と蔑むようなことはありえませんし、無神論者を気取るのは馬鹿のすることです。

 とはいえ、ゲーム世界の住人たちがみな信仰心の篤い人々ばかりと決まっているわけでもありません。フォーゴトン・レルム世界では過去に何柱もの神々が“死んで”いますし、その中には人間に倒されて神としての力を奪われた者すらいます。高位の悪魔、大魔道士、高レベルのプレイヤー・キャラクターなどであれば、「神々は単にすごく強いクリーチャーであるというに過ぎない。神々を尊敬はするが、崇拝する理由はない」と考えていてもおかしくないのです。

 ただし、フォーゴトン・レルム世界では、守護神格を持たぬ者の魂は死んだ後に天国にも地獄にも行けず(あるいは生まれ変わって地上に戻ることもできず)、死の神の宮殿の壁に塗りこめられて永遠の憂鬱を過ごすことになるという設定があります。したがってこの世界の人々は必ず自分の守護神格を選んでいますが、これはその神格だけをひたすらに崇めることを意味しません。「神様の言うことだから正しい」のではなく、「自分が正しいと信じていることに関連の深い神を守護神格に選ぶ」ぐらいの気持ちでも問題はないと思います。今シーズン第1回のセッションで主人公がどの守護神格を選ぶのかを視聴者アンケートで決めましたが、あれもこのような意味合いであったとお考えください。

 以上、簡単ながらフォーゴトン・レルム世界全体の説明をお送りしました。今シーズンの舞台となるネヴァーウィンター周辺のローカルな設定については、今後のコラムをお待ちください。それでは、次回以降の配信もお楽しみに!


『水曜夜は冒険者!:マスタリングのうらがわ』
著:塚田与志也
監修:柳田真坂樹

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