敵のエースと1対1で対峙しても安心して見ていられる。槙野は苦い経験を糧に、金城鉄壁のディフェンダーに変貌を遂げた声を枯らして味方を鼓舞し、気迫溢れるプレーで観衆を熱狂させる。背番号5は圧倒的な存在感を放ち、ゴール前に仁王立つ。
[浦和レッズマガジン8月号掲載]
■特殊な役割での苦悩DFとしての自我の目覚め
「俺、ディフェンスで勝負したいんです」
2014シーズンの途中、槙野智章はこう心情を吐露していた。かつて「自分はオフェンシブディフェンダー、ODFです!」と豪語していた彼の内面に生まれた変化とは――。
槙野の意識改革は以前から成されていた。それは2011年にサンフレッチェ広島からドイツ・ブンデスリーガの1FCケルンへ移籍してから抱いていた自我の目覚めだった。当時、4バックが主流だったヨーロッパで勝負すべきポジションはセンターバックで、彼はこのポジションでのプレーに拘りを見せた。広島時代は3―4
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