人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。

 アルピニストの野口健さんと昔、トークショーをしたことがある。

 その、どー考えても接点のない2人は当然、初対面だった。

 前もって打ち合わせをした記憶はないので当日、会場の控室で軽く挨拶を交し、そのまま登壇したんだと思う。

 客席より拍手と共に笑いが起ったのも、アルピニストと僕の組合せが余りにもおかしかったせいだろう。

 ま、それは予想してたことだし、だからこそ、この仕事を引き受けた。

 イベントを企画した人もそれは分かった上でのこと。

 一応、司会者を用意してくれていたが、トークが始まると、心配は吹っ飛んだ。 
週刊文春デジタル