ラーメンマガジン「ラーマガ」

ラーメンレビュー 山本増刊23号

2015/07/27 10:30 投稿

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■「ラーマガ」本誌に載せきれなかったレビューを掲載する「ラーメンレビュー増刊号」です

 「ラーマガ」本誌では、各号で7件の個別レビューを掲載しています。遠征や連食などで、そこに収まらない私のレビューを、随時「ら~マニア共和国」で掲載します。

 今回は京都遠征から老舗の5軒を公開レビュー、東京で人気の製麺所「浅草開化楼」の麺を使う5軒のレビューをあわせて、15杯のレビューを掲載します。ラーマガ本誌と合わせてお楽しみください。

□目次

1.無料公開!京都の老舗レビュー!

 ・篠田屋@三条
 ・大豊ラーメン@三条
 ・みよし@三条
 ・京一@四条大宮
 ・新福菜館@京都

2.京都滋賀遠征完全編!

 <本誌56号で「とうひち」のクロスレビューを掲載
 <本誌63号で「頑固麺」「中華のサカイ」「つけめん恵那く」「与七」のレビューを掲載
 <本誌64号で「あっぱれ屋」「秀吉家」「加藤屋めん食堂>「一三〇」のレビューを掲載
 ・天骨麺慶心@北大路<北山のこってり味は店主も濃厚?>
 ・お富さん@太秦<太秦のあっさり味はおかみさんが濃厚?>
 ・にぼ次朗@四条<加藤屋の新機軸が京都のど真ん中に>
 ・たか松@四条<固くて太いつけ麺が蛸薬師通に>
 ・白頭鷲@守山<埼玉から滋賀へ、味は変われど人気は続く>

3.浅草開化楼の麺を使う5軒をレビュー!

 ・さんじ@上野<常連さんが命名した極旨ラーメン!>
 ・勝本@水道橋<つじ田インスパイア?そうでもないよ>
 ・カラツケグレ@御徒町<目立たない場所だが辛さが目立つ>
 ・かつお拳@浅草橋<カツオを全面に出したスープに驚く!>
 ・大木戸@梅屋敷<「むろや」のご主人が移転先でも奮闘>


1.無料公開!京都の老舗レビュー!

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【篠田屋@三条】
「中華そば」500円

 春の京都滋賀遠征初日4軒目。「ラーマガ54号」で山路さんもレビューしているが、創業が1904(明治37)年という老舗。ラーメン専門店というわけではなく、人気の皿盛(カツライスに和風カレーあんかけを乗せたもの)を筆頭に、蕎麦・うどん・丼物・カレーライスなどのメニューと共に、中華そばがひっそりと並んでいる。もちろん注文はこちらで。

 澄んだ醤油色のスープは動物系をあっさりと煮立てたもので、淡い旨みを醤油で立たせた味わい。中細ストレート麺は老舗ならではのもので、思っていたよりもやや固めの茹で上がり。柔らかめで頼んでみてもいいかも。味が染みた固めのチャーシューに、たっぷりかけられた胡椒(注文時に入れてよいか確認される)が、クラシカルな見た目と味わいを付加。

 いわゆる「京都ラーメン」と繋がるものではないが、オールドスタイルの中華そばを食べたい時に活用したい一杯。とはいえ、「皿盛」も食べてみたいな。

三条に 重ねた歴史が 味となり

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篠田屋
京都府京都市東山区三条通大橋東入大橋町111
京阪本線「三条」駅から徒歩1分


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【大豊ラーメン@三条】
「ラーメン」700円

 春の京都滋賀遠征初日5軒目。「ラーマガ57号」で山路さんがレビューしているが、実は一緒に初訪問。つまり平日の深夜2時過ぎで、驚くほど狭い路地に暖簾を掲げていて、店舗外観写真を撮るスペースにも一苦労するが、そこにお客さんがほぼ満席で入っている所にも驚く。

 ラーメンは軽く濁った醤油色のスープで、醤油ダレがしっかり、油も浮いていて、老舗のイメージからは少し驚くようなインパクトを出している。看板に掲げた黒豚チャーシューも、タレがしっかり染みてやや柔らかく、油やタレの旨みがスープに流れる事で、スープ自体の物足りなさは感じないようになっている。

 いい意味で京都のラーメンの世界を出しているが、このラーメン一杯だけでは京都っぽく感じない。と食べていて思ったが、たっぷり乗せられた青ネギのインパクトが京都らしさを感じさせてくれる。確かにこれも京都の味の一つなんだなぁ、と思いながら木屋町の夜は更けてゆく。

路地裏に あかりともして 京の夜

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大豊ラーメン 木屋町店
京都府京都市中京区木屋町通四条上ル下樵木町191-11
京阪本線「三条」駅から徒歩6分


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【みよし@三条】
「ラーメン」600円

 春の京都滋賀遠征初日6軒目。「ラーマガ55号」で山路さんがレビューしているが、ここも一緒に訪問。こちらは初訪問だが、2006年に東京進出したもののすぐに撤退した新宿歌舞伎町店を食べている。平日の深夜3時近い時間に行列を作っていて、呑んだ後のグループ客が大半(我々も6人だった)。

 白濁した豚骨スープはあっさりして、化学調味料がそれなりに効いている。自家製から麺屋棣鄂製に変わったという細ストレート麺は、粉を感じる博多ラーメンのスタンダードといった印象。

 卓上には様々な調味料が置かれている。紅生姜や白胡麻は納得いくが、「カレーパウダー」「天かす」まで置かれているのは珍しい。天かすは関西のうどん屋ではよくみかけるけれど。

 わざわざラーメン好きが食べに行くものではないけれど、呑んだ後「ラーメンでも食おうぜ」という時には重宝するかもしれない。そう考えると、歌舞伎町の奥にあって行きづらかった東京進出が失敗に終わったのも納得がいく話である。普通に歌舞伎町で飲んでれば、「博多天神」が強力なライバルだったのだろう。

 最近の京都木屋町には、姫路の「ずんどう屋」が進出している。こちらも白濁豚骨ラーメン。飲み会を終えたと思しきサラリーマンが「みよし行く人ー!」「ずんどう屋行く人ー!」と多数決を取っていた。そういう存在なのかもしれない。

京の夜 はんなりしない 場所もある

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博多長浜ラーメン みよし
京都府京都市中京区石屋町115
京阪本線「三条」駅から徒歩4分


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【京一@四条大宮】
「中華そば」630円

 春の京都滋賀遠征2日目4軒目。1948(昭和23)年創業の老舗食堂。メニューは中華そばを筆頭にそば・うどん・丼もの・ぜんざい・あんみつ・カキ氷と、なんでもござれと取り揃えている。店が面する後院通の並びには「餃子の王将」本店もあるエリアだが、こちらにもお客さんはしばしば入ってくる。前後客がやたら頼んでいる「クリームあんみつ」がやたら気になりながらも、基本の中華そばを注文。

 濁りあるスープは和風出汁を加えた動物系メインのものだが、どことなく「うどんダシ」のような風味も兼ね備えている。たっぷりの青ネギの下には中太ストレート麺が入り、ラーメンらしさはしっかり。そして京都ラーメンっぽさも感じつつ、食べやすい独自の味にまとめられている。チャーシューが薄切りなのも京都らしい。

 尖った個性的な味とは異なる、安心できる定番の中華そばといった印象を、食べ終わってから感じ取ることができる。振り返るとそこにある、京都の老舗食堂としてまだまだ頑張っていくだろう。

京の味 いろいろ並べて 元気よく

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京一 本店
京都府京都市中京区壬生坊城町1
阪急京都線「大宮」駅から徒歩2分


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【新福菜館@京都】
「中華そば」650円+「ヤキメシ」500円

 春の京都滋賀遠征2日目5軒目。この16年で4回目の本店訪問。地方の店は再訪する事は珍しい。朝から営業している事もあるが、今回は夕方の訪問。この時間でも満席の人気ぶり。注文はやはり、中華そばにヤキメシも追加。ミニサイズは中華そばにしかないので、結局この組み合わせになる事が多い。

 今年は東京麻布十番にも出店したが、そちらとはスープの味に違いを感じる。醤油っぽさをしっかり感じられ、スープにも豚の旨みが感じられる。スープの色を纏った中太ストレート麺やネギが、どんどんと箸を進めさせてくれる。水の違いが影響しているのか、詳しい理由は分からないけど、東京で食べた人も、ぜひ本店で食べてみてほしいと思う。

 ヤキメシは中華そばの3分くらい前に配膳。しっとりと油も感じつつ、醤油の香ばしい香りが立つ一皿は、やはり「新福のヤキメシ」と呼ぶしかない、ここにしかない味。まだ何度か訪問するだろう、京都の名店です。

醤油の香 京七条に 漂わせ

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新福菜館 本店
京都府京都市下京区東塩小路向畑町569
各線「京都」駅から徒歩5分


2.京都滋賀遠征完全編!

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