北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
【北島秀一】
杭州飯店@西燕「中華そば」
麺屋KABOちゃん@駒込「しもふり中華そば」
■クロスコラム
■告知/スケジュール
□編集後記
■巻頭コラム
「温故知新」北島秀一
先日本棚を整理していたら、「ラーメンの本(大門八郎著 1975年刊)」が出て来た。今から39年前の本で、むろん私も古本で入手。既に数回読んでいるが、また改めて読んでみた。
いわゆるムック本ではなくやや細長い変形新書版で、内容には写真は一枚も無し。全てモノクロで、テキスト本文以外にはお店のイラストマップのみ。内容は、半分は札幌や東京を中心としたラーメン店の紹介、残りの半分は自宅でラーメンを作ったりインスタントラーメンをアレンジして楽しむ方法を紹介している。
改めて読むと面白いなあ。以前から常々「写真に頼らず文章でラーメンの楽しさを伝えたい」「短い文章でスパっと表現したい」などと思っている自分にとっては、まさにその原点のような内容だ。必ずしも細々と味には触れず、お店の雰囲気や店主の人柄にも触れてシンプルに「ああ食べてみたいな」と言う気持ちを掘り起こしてくれる。
時代的には昭和50年発刊。昭和30年代半ばに登場した札幌味噌ラーメンが40年代前半には首都圏で大ブームになり、更に全国に広まった真っ最中に食べ歩いたであろう情報だけに、特に札幌味噌への記述は力が入っている。また、当時まだ多様化は始まっておらず、基本的には醤油清湯がほとんどだった都内のラーメン店数十軒をきちんと書き分けているのもまた凄い。更に言うなら、インターネットはもちろん携帯やスマホの影や形も無く、FAXすらやっと企業で普及が始まったかどうかと言う時代にどう情報を集めたのか……。
ラーメンへの愛がぎゅっと濃縮された一文一文を読みながら、「でも多分それが当たり前で、苦労とか思わず楽しかったんだろうなあ」などと先人の食べ歩きに思いをはせつつ何度目かの読破。改めて本当に勉強になった。今後も、もし何かに迷う事があればこの本を読んでみるとしよう。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は5月18日、池袋に期間限定店としてオープンした『金澤濃厚中華そば 神仙』の「中華そば」を三人が食べて、語ります。
「中華そば」800円
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