北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■ラーメン活動月報(8月)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『ファミレスでラーメンを出す意味、食べる意味』山本剛志
「すかいらーく」グループのファミレス「バーミヤン」322店舗で、昨年に続いて「ラーメン祭り」を行うとの事で、試食会に行ってきました。ちなみに、昨年の試食会の様子は「ら~マニア共和国 レビュー増刊35号」で無料公開のコラムにまとめていますのでご覧ください。
昨年は「札幌味噌・博多豚骨・鶏白湯」の3種類でしたが、今年は「札幌味噌・博多豚骨・喜多方醤油・名古屋台湾」の4種類に、10/11までの「富山ブラックラーメン」と、10/12からの「肉盛り徳島ラーメン」が加わります。
「札幌味噌ラーメン」は、昨年も登場していましたが、昨年版は「黒マー油味噌ラーメン」としてレギュラーメニュー入り。今回の味噌ラーメンは3種類の味噌をブレンドしたタレは継承しつつ、豆板醤で野菜を炒めた事で、辛さをほんのりの加えている。
「喜多方醤油ラーメン」は、澄んだスープに旨味を感じつつ、脂を多めにしたチャーシューの再現度がなかなか。麺は平打ちの中太麺で、ツルツルした食感が少し似ているかな。ワンタンを乗せるのは、通常のバーミヤンラーメンとの差別化を図りたかったようだが、喜多方でワンタンを売りにしている店は少ない(逆に、同じ福島県の白河ラーメンでは、ワンタン麺をメニューに入れる店が主流になっている)。しかも、ワンタン自体はバーミヤンのレギュラーメニューのものだそうで、麺の存在感に及んでいない面もある。
今回食べた中で一番再現度が高いと思ったのは、名古屋発祥の「台湾ラーメン」。ニンニクがスープにしっかり入っていて、台湾ミンチの再現度も高い。ただ、再現度が高い分しっかり辛いのと、ニンニクの強さを考えると、夜の一人客向けなのかな、と思ったり。
10/11までの「富山ブラックラーメン」は、敢えていえば現地で本来供されてきた富山ブラックを再現したものとは言い難い。元々は塩分が非常に強く、それをファミレスで再現するよりも、ファミリー客でも食べやすい味にブラッシュアップしたいとの事で、塩分を大幅に減らしつつ、魚介出汁などをブレンドして食べやすくしたという。煮干しラーメンとブラックラーメンの中庸を行くスタイルは好みが分かれるかもしれない。
バーミヤンは、中華料理をメインにした、大手では唯一のファミレス。それだけに他にないマーケティングがなされていると思われる。ファミリー客も気軽に入れるし、オペレーションを簡素にしつつもコストパフォーマンスも重視したい。喜多方ラーメンでのワンタンの共通化などもそういった流れだとは思う。富山ブラックも、塩分が強く効いたスープよりも、魚介で味付けした方が食べやすく感じる人が多いからだという判断でなされていると思う。そういった努力を感じ取りながら、幼児でも躊躇なく連れて行けるファミリーレストランとして活用していければいいのではないかと思う。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今年4月にリニューアルした「横浜中華そば 維新商店」の「中華そば」を山路と山本が食べて、語ります。
「中華そば」690円