■「ラーマガ」本誌に載せきれなかったレビューを掲載する「ラーメンレビュー増刊号」です
「ラーマガ」本誌では、各号で7件の個別レビューを掲載しています。遠征や連食などで、そこに収まらない私のレビューを、随時「ら~マニア共和国」で掲載します。
今回は巻頭コラムと、この夏の冷やし5件のレビューを無料公開。そして、昨年秋の四国遠征のレビュー9件を掲載します。ラーマガ本誌と合わせてお楽しみください。
□目次
1.巻頭コラム
「人気店は6月生まれが多いのか?」
2.この夏の冷やしレビューは無料公開!第一弾は冷やし中華!
・集来@大門
・お茶の水大勝軒@神保町
・九月堂@渋谷
・ぶらり@目黒
・麺や七彩@八丁堀
3.秋の四国遠征完全版
1.巻頭コラム
「人気店は6月生まれが多いのか?」
「ラーマガ99号」の「月報」でも紹介したが、「ソラノイロ@麹町」の5周年と「凪@渋谷」の10周年記念イベントに参加し、限定ラーメンも食べてきました。「とみ田@松戸」の10周年記念限定は徹夜組だけで200食が完売し、「えんや@王子」「灯花@四谷三丁目」「麺屋でこ@新丸子」「豚そば成@下永谷」などでも周年記念限定が作られた。その他に「大喜@湯島」「麺屋一燈@新小岩」「饗 くろ?@秋葉原」「パパパパパイン@西荻窪」「麺家うえだ@志木(鬼火山として開店)」「四つ葉@川島町」「JUNK STORY@大阪」などが6月生まれ。「東池袋大勝軒」も、1961年6月6日の開店だったという。
では、人気店に6月生まれが多いというのは数値で実証されるのか。人気店の定義は難しいので「食べログ」のラーメン店の上位100店を対象にさせていただいた。開店年月が判明した87店のうち、6月に開店したのは「10店」で全体の11.5%。平均値の「7.25店」以上だが、更に多いのが4月の「13店」で全体の14.9%を占めていたので、6月だけが多いというわけではなかった。ちなみに、一番少なかった月は3月の「3店」。年度末という事で、新年度に開店させる店が多いのも、4月が一番多い理由かもしれない。
何店かの店主に、6月に開店した理由を聞いてみた。私は「夏を前にしていて、最初の夏は混まずに営業できる」や「秋に出版されるラーメン本の新店特集で取り上げられやすい」という答えを予想していたが、実際には「特に理由はなかった」とか「物件が見つかって開店できたのがこの時期」という事だった。
確かに偶然かもしれないが、記憶に残る店が多いのは面白いもの。ラーメン店は同じ年代に開店した店で交流するケースが多いが、同じ月に開店した店同士の交流が深まると、新しい何かが生まれるかもしれない。
2.この夏の冷やしレビューは無料公開!第一弾は冷やし中華!
【集来@大門】
「手打ち冷やし中華」850円
※夏季限定
昭和20年代に創業したという老舗の中華麺店。竹芝で仕事をしていた頃には、ランチに何度も訪問した。土日祝が定休日で、夜営業はしばしば休んでいる状態なので、なかなか訪問しづらい。ワンタン麺やタンメンでも知られる店だが、全メニューの麺を「手打ち麺」に変更できる(30円アップ)。そして、この店で一番の楽しみは夏季限定の「冷やし中華」。つけ麺などがメニューにないため、手打ち麺を締めて食べられるのはこのメニューのみになるので、久々の訪問でも迷わずに「手打ち冷やし中華」を注文。
丼に入ってはいるが、酢醤油のタレの量やモヤシ・なると・キュウリ・錦糸卵・紅生姜・海苔と重ねられたビジュアルは、まさにスタンダードな冷やし中華。ハムではなく角切りしたチャーシューが入っていて、味が染みつつ柔らかく、食べ応えあるもの。酸味のある酢醤油と具の相性はなかなかよい。
そして、このメニュー最大の特徴が、きしめんのような平麺をかなり縮れさせた「手打ち麺」。ゴワゴワした食感にすごいインパクトを感じるが、この日の茹で加減は、啜ろうとしても難しいほどに固め、というか、縮れた奥までは茹でられてなくて噛み切るのも難しいほどで、茹で時間が足りないように思える。前回食べた時はそんな事はなかったのでたまたまだとは思うがちょっと残念。モチモチしながらゴワゴワした茹で加減ならば、是非皆さんに食べてほしい冷やし中華になるのですが。
大門の 陰に控えし 老舗麺
中華そば 集来
東京都港区芝大門2-3-6
都営地下鉄「大門」駅から徒歩2分
【お茶の水大勝軒@神保町】
「冷五目」780円
※夏季限定
東池袋大勝軒出身の店はたくさんあるが、創業者である山岸マスターが作った味の再現をテーマにしているのが、靖国通り沿いの「お茶の水大勝軒」。現在は丸長のれん会に入り、その一員である「栄龍軒」とのコラボメニューも並んでいる。今回の目当ては、夏季限定として販売開始された冷やし中華「冷五目」。山岸マスターのレシピをベースに35年ぶりに復活させたというが、もちろん当時食べたことがないので分からない。中野大勝軒の坂口氏は食べたことがあるという。
見た目から分かるように、完璧な冷やし中華。乗る具材もスタンダードだが、ハムとチャーシューの両方が乗って豪華。そして、それらの具の下には、醤油ダレで味付けされたキャベツとモヤシが入っている。この存在が、皿の下に敷かれた酢醤油のタレの味をまろやかに抑えてくれて食べやすくなっている。麺に滑らかさもあり、野菜や酢醤油とよく絡みつつ、一気に食べられる。
皿に残ったタレを「スープ割り」する事ができる。戻ってきたスープを飲んで思わずにんまり。確かに「酢+醤油+スープ」なので、大勝軒のつけ汁そのもの。懐かしさも感じつつそのまま飲んだけど、ここに麺を改めて入れたくなる完成度に驚かされた。
思い出は 20世紀の 夏へ飛ぶ
お茶の水大勝軒
東京都千代田区神田小川町3-1-5 須田ビル2F
各線「神保町」駅から徒歩4分
【九月堂@渋谷】
「すだち香る冷やし中華」850円
※夏季限定 渋谷駅からNHKに向かう公園通りから、路地を一本入った所の2階にある店。2009年に開店し、化学調味料を使わない澄んだスープを使ったあっさりラーメンだけでなく、本格的なスイーツやドリンクだけでも楽しめるのが人気で、渋谷の定番店になっている。とはいえ、雰囲気のいい内装は、中年男が一人で行くにはやや勇気がいる(笑)。そんなわけで久々の訪問。夏季限定の冷やしメニューは、「担々冷し中華」もあったけど「すだち香る冷やし中華」で注文。
冷えた器には水で締めた細麺が入り、錦糸卵、キュウリ、角切りチャーシュー、ゴマと、茶色のジュレが乗っている。麺の下には酢醤油のタレが入っていて、麺を絡めてさっぱりと食べられる。ジュレを崩しながら食べると、こちらからもタレの味が伝わってきて、味わいが徐々に濃くなっていく。中央に乗ったスダチを絞って、さっぱりさせ、辛子を和えながら一気に完食。酢醤油味の冷やし中華に、ジュレとスダチのアクセントを加えているので、オーソドックスな冷やし中華を求める人の期待も裏切らない一品にまとめられている。
九月まで 待てず冷やしに 冷まされる
九月堂
東京都渋谷区神南1-15-12 佐藤ビル2F
各線「渋谷」駅から徒歩8分
【ぶらり@目黒】
「ぶらりの冷し中華」850円
※夏季限定
先月の「拉麺人インタビュー」で「きび」の渡邉店主を紹介しているが、目黒の「ぶらり」が、系列店で唯一未食だった。目黒駅から行人坂を下り、山手通りを歩道橋で渡った所にある。かつては「ラーメンZERO」「俺式」と、せたが屋系列店が営業していた場所。本来ならば鶏白湯ラーメンを食べるべきところだが、暑い事もあって夏季限定の冷やし中華が気になった。
ラーメンと同じ丼に、スープがなみなみと入って具もたっぷり。そのスープは軽く酸味を感じながら、鰹出汁をたっぷり加えてごくごく飲めるタイプのもの。軽く油を浮かせているが、それはあまり主張しすぎず、滑らかさを出しながらスープのすっきり感はキープされている。丼からしっかり冷やされているのも嬉しい。麺もシコシコしながら口の中では違和感を感じない。
具にはチャーシュー、プチトマト、キュウリ、味玉に、刻んだ玉ねぎ。玉ねぎにしては辛さがなくてシャキシャキした食感がまるで大根のようだったが、どうやら新玉ネギを使っているとの事。舌をリフレッシュさせてくれながら辛さを残さないので、最後まで新鮮な気持ちで食べられる。
一般的な冷やし中華を期待する人の気持ちを裏切らず、冷やしラーメンとしても美味しい。食べやすくも物足りなさがない所にも、きびグループの一員らしさを感じさせてくれた。
坂くだり 佇む店の 夏の味
ぶらり 目黒店
東京都目黒区下目黒3-4-6
各線「目黒」駅から徒歩10分
【麺や七彩@八丁堀】
「トマトの冷やし中華」980円
※夏季限定
開店したのが昨年の7月だったので、八丁堀での夏季メニューは今年が初(数日販売した限定はある)。そんなわけで興味を惹かれ、販売開始の報を聞いて早めに訪問した。夜の部開店を待って入店したが、並ぶまでではないものの、外国人観光客と思しき家族連れが入店するなどして賑わっていた。冷やしを頼んだのは前後客では私だけだった。
注文を聞いてから打ち始める麺が話題で、現在はつけ麺にも導入されているが、このメニューについては予め製麺機で打った自家製の丸太ストレート麺を使用。しっかり締めてから冷たいタレに合わせている。タレは多めに入っていて、甘さと酸味が共に感じられるもの。そこに入ったトマトの味と、たっぷりトッピングされているプチトマトにも甘さと酸味があり、それぞれの味が交互に出入りしていく楽しさがある。
たっぷりのキュウリで涼しさも楽しめ、脂が入りつつ多すぎないチャーシューも冷やしにマッチ。冷やし中華らしさをちゃんと出しながら、野菜を効果的に使った、七彩らしい冷やしにまとめられている。
酸味ある 冷やし中華を トマト染め
麺や七彩
東京都中央区八丁堀2-13-2
東京メトロ日比谷線「八丁堀」駅から徒歩3分
3.秋の四国遠征完全版
【ちっちょ@鴨部】
「牛ホルモンハーフつけ麺」750円
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