北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□『ラーマガ』とは?
■創刊100号特別企画:復活!異論激論!『温故知新』
□告知スケジュール
■編集後記
■ラーマガ100号を迎えて
『ラーメンをもっと美味しくもっと楽しく』 を合い言葉に、2013年10月、北島秀一・山路力也・山本剛志の三人のラーメン評論家が集結し、新しいラーメン情報発信の形に挑戦すべく、この「ラーマガ THE RAMEN MAGAZINE」をスタートさせました。おかげさまでスタートから2年10ヶ月を経て、創刊100号を迎えることが出来ました。膨大なラーメン情報が錯綜する今の時代に、プロのラーメン評論家による濃厚で上質な本物のラーメン情報をこれからも発信し続けて参ります。これからも「ラーマガ」をどうぞ宜しくお願い致します。
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今回『ラーマガ』創刊の話をいただいて私が、そしておそらく山路・山本両氏ももっとも考えたのは「今の状況で我々でなければ出来ない事は何だろう」「これまでの情報発信との差別化はどうすれば良いだろう」の二点だろう。自分でも考え、両氏とも何度もの打ち合わせを経てようやく発刊までこぎ着けようとしている『ラーマガ』への、自分なりの考えをまず書いておきたい。
このマガジンの読者諸兄の多くは、山本氏と私は「らーナビの達人」、山路氏は「千葉拉麺通信の主宰者」として認識されているだろう。自分は自分が関わってきた「らーナビ」との比較を中心にいろいろと考えて来た。10年前に我々が「達人」として参画した時期から、らーナビの果たした役割は大きかった。当時はPC上でのラーメンデータベースは「とらさん」などを始めかなり充実していたが、何かと制約が大きい携帯サイトで実用的なDBは少なかった。結局情報を印刷し、付箋を貼って持ち歩く、ラーメン本と同じ使い方しか無かった時期に、モバイル環境でいつでもどこでもラーメン情報の検索が出来る意義は大きかった。そして、その巨大DBの使い方の指南役・水先案内人が我々「達人」の主な役割だった。
時代は流れ、携帯がスマホに移行しPC上のデータをモバイル環境で無料で閲覧出来る環境が整っていく。またラーメン食べ歩きをする人口が増え、ブロガーさんの蓄積する情報も量・速度ともに10人を切る人数しかいない「達人」では太刀打ち出来ないシーンも増えてきていた。らーナビが達人制度の打ち切りを決めたのも、最終的には自分たちのもっと有効な使い方を提案出来なかった我々の責と言えるだろう。
なので、今回は考えた。一般のブロガーさんやレビュアーさんには出来ず、自分たちになら出来る事は何なのか。要するに「500杯を食べた10人と、5000杯を食べた一人との違いは何?」を考えたとも言える。その結論がある程度出たので、今回「ラーマガ」創刊の運びとなった訳だ。そのエッセンスを詰めたのが今回の創刊準備号。さて、これが読者にどう判断していただけるのか。喜んで頂ければうれしいが、もちろん厳しいご意見もありがたい。是非一人でも多くの方からご意見・ご感想を頂きたいと思う。(2013.10 ラーマガ創刊宣言より)
北島秀一:ラーメン評論家、ラーメンジャーナリスト。1963年生まれ。広島県出身。元新横浜ラーメン博物館広報。元日本ラーメン協会顧問。
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SNSの爆発的普及によって、私たちが得られるラーメン情報の量は圧倒的に増え、スピードも圧倒的に速くなった。しかし同時にその情報の質に関してはある一定の担保が取れなくなっていったのも事実である。
誰もが情報発信者になれるSNS時代。ラーメンに限らず、ありとあらゆる膨大な量の情報が世の中に溢れているのが今の世の中だ。インターネットがまだダイヤルアップ回線で、23時以降に机の上でしか情報にたどり着けなかった十数年前よりも、常時接続のスマートフォンでどこでも簡単に情報を入手出来る今の方が、より良い情報にたどり着くのが困難であるという皮肉。そんな時代に、私たちラーメン評論家が集い『食べ手のプロ』『文章のプロ』としての誇りを持って、上質なラーメン情報を発信する必要性があると感じ、この『ラーマガ』を世に問おうと決意して北島さん、山本さんに声を掛けてこのプロジェクトは始まった。
2013年10月に始まったこの『ラーマガ』も早いもので3年の月日が経とうとしている。そして今回ブロマガも100号を数えることが出来た。これまでに誌面で紹介したラーメンは1,500杯以上。今一度初心に帰って、『食べ手のプロ』『文章のプロ』としての誇りを持ちながら、そして北島さんに読んで貰っても恥ずかしくないような上質なラーメン情報を、これからもこの『ラーマガ』で発信し続けていこうと思っている。
山路力也:ラーメン評論家、フードジャーナリスト。1968年生まれ。東京都出身、千葉県在住。トーキョーラーメン会議主宰。千葉拉麺通信主宰。
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『ラーマガ』が100号になりました。約3年間、レビューやインタビュー、コラムを送り続けた事になります。その内容は「ラーマガINDEX」を見ていただければと思います。
3年弱の間に様々な事がありました。ラーメン店は海外にも広がり、ミシュランでは「蔦」が一つ星を獲得。鶏白湯ラーメンや家系ラーメンの大ブームも最近の出来事です。そんな中、私はできるだけ全国のラーメンの姿をなるべく多く紹介したいと考え、地方への遠征を繰り返してレビューしてきました。
そんな中、2年前の北島さんの急逝はショックでした。北島さんに影響を受けて、15年以上ラーメンのレビューを書いてきた私にとって、大きな目標だった。この2年間、私がやるべき事を見失っているのではないか、と自省する事もある。プロのラーメン評論家が発信すべきラーメン情報とは何だろうか。
様々なラーメンがあるように、ラーメンに関する情報も様々なものがある。他の人が扱わないような情報もなるべく伝えたい。レビューする店についても、遠征で伺った地方のラーメン店を充実させるようにしてきた。今後は、歴史にまつわる資料をまとめていきたいと考えている。
山本剛志:ラーメン評論家、ラーメン王。1969年生まれ。東京都出身、東京都在住。TVチャンピオン第6回ラーメン王。
□『ラーマガ』とは?
『ラーマガ』は、ニコニコ動画『ニコニコチャンネル』の1チャンネルとして、ブロマガ、掲示板、動画、生放送、イベント、様々な情報発信のスタイルを使ってラーメン情報を発信していく、ラーメン情報専門の有料チャンネルです。
【ブロマガ『ラーマガ THE RAMEN MAGAZINE』(月3回発行)】
ラーマガの根幹ともいえるのがブロマガ『ラーマガ THE RAMEN MAGAZINE』です。月3回(毎月10日、20日、30日頃)に定期的に配信しています。三人のラーメン実食レビューを中心に、ラーメン店主インタビューやコラムなど、しっかりと読めるラーメン情報を目指しています。
□巻頭コラム
毎号、三人が書いたコラムを交替で掲載しています(北島分は過去のコラムの再録になります)。
■クロスレビュー「必食の一杯」
山路と山本が今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から書かれたレビューを読み比べることで浮かび上がる立体的なラーメンの姿。
□ラーメン実食レビュー
数あるラーメンの中で、今食べるべきラーメンはどれなのか? 三人のラーメン評論家が日々食べ歩いた数多くのラーメンの中から、特に印象に残ったラーメンをピックアップ。「ラーマガ」でしか読む事が出来ない、渾身のラーメン実食レビューです(北島分は過去のレビューの再録になります)。
■拉麺人インタビュー
一杯のラーメンに込められたラーメン店主さんの熱い想い。三人が今会いたいラーメン店主さんに会いに行ってお話を伺います。毎月一人の「拉麺人」へのインタビューを3回に分けてお届けします。
□侃々諤々!
「自家製麺か製麺所か?」「化学調味料はアリかナシか?」などなど、毎回ラーメンにまつわる一つのテーマについて、山路と山本が相反する立場に立ってそれぞれの意見をぶつけ合うコーナーです。(20日発行号にて掲載)
■個別コラム
『ラーメンの憂鬱』(山路)『教養としてのラーメン』(山本)それぞれによる連載コラム。(10日発行号にて掲載)
□月報
山路、山本が一ヶ月に食べたラーメン活動などの行動記録。(30日発行号にて掲載)
【ラーマガ限定ラーメン企画『NAKED』】
ラーマガと人気ラーメン店によるコラボレーション企画。毎月1軒の人気ラーメン店がラーマガ限定ラーメンを創作します。創作テーマはズバリ『かけラーメン』。ラーメンの根幹ともいえる「麺」と「スープ」だけで食べさせる、作り手の技術と食べ手の味覚に挑むような究極の限定ラーメンをご堪能下さい。
【記事/ニュース(随時更新)】
月3回の『ラーマガ THE RAMEN MAGAZINE』以外にも、限定ラーメン企画「NAKED」の紹介号や、それぞれの個別記事、ラーメン関連のニュース解説や、新店情報、限定ラーメン情報など、新しい記事をアップしていきます。
【動画『ラーマガ動画』/生放送『ラーマガ生放送』(不定期配信)】
ラーメン実食レポやインタビューなどの動画コンテンツや生放送も随時配信していきます。
■創刊100号特別企画:マイベスト10レビュー
数あるラーメンの中で、今食べるべきラーメンはどれなのか 三人のラーメン評論家が日々食べ歩いた数多くのラーメンの中から、特に印象に残ったラーメンをピックアップして毎号ご紹介している「実食レビュー」。0号創刊準備号から99号までの通算100号に掲載されたレビューの中で、悩みに悩んで各々のベスト10レビューをセレクトしました(データ等一部掲載時のままになっている場合があります)。
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【北島秀一:ベスト10レビュー】
【熊本ラーメン桂花 池袋店@池袋】
「太肉一本盛」1,400円
今でこそ「桂花」では各種のトッピングや麺の大盛りなどのカスタマイズが自由に出来るが、私が主に渋谷で食べていた頃にはそれらのオプションはほとんど無く、せいぜい麺硬めが指定出来る程度だった。その当時から太肉麺を知るファンなら、一度は「ああ飽きるほど太肉載せて喰ってみてぇ」と思った筈だ。
あれから幾星霜、数年前から桂花では太肉のトッピングが解放された。私も何度か楽しんだが、池袋店で更にどえらい限定が出ていると聞いた一年半ほど前。それがこの「太肉一本盛」だ。一杯のラーメンとして1400円はお安くはないが、もともとの太肉麺が950円で、トッピング太肉が150円なのを考えるとまずは妥当な所だろうか。
ラーメンのビジュアルはさすがに凄い。丼の上縁を覆う一本太肉はまさに男のロマンである。がぶりと思い切りかぶりついても、まだ7割くらい肉が残っている幸せ。これはやはり一本盛りじゃないと楽しめないなあ。
ラーメン自体はいつもの桂花だ。昔を知る者には不満もあるだろうが、今でもかなり繁盛はしている。ただ、今の麺だけは何とか昔の物に戻してくれないもんかなあ。
などと思いつつ、ラーメンの合間に太肉をがぶり、またがぶりと食べ進む。50歳を超えたオッサンにはさすがに終盤キツくなっては来たが、「飽きるほど太肉を喰う」と言う長年の夢は充分に叶えられた。願わくば、これを30代で食べられれば更に幸せだったろうな。(北島秀一)【ラーマガ017号より転載】
熊本ラーメン桂花 池袋店
東京都豊島区東池袋1-22-13
JR線・東京メトロ線他「池袋」駅より徒歩10分
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【中華そば しながわ@要町】
「中華そば」750円
最近のトレンドとして「清湯」が上げられる事はしばしばあり、確かに清湯の優良店が増えて来ている実感もあるが、最近は更に「醤油の存在感を強め、中華そばと名乗るタイプ」が増えて来ている。一例として、横浜の「維新」の跡地にオープンした「維新商店」などがある。また「煮干を思い切り前面に出すタイプと魚介を引っ込める(あるいは使わない)タイプの二極化」も進んでいる。煮干系ラーメンの増殖と多様化は今さら言うまでもないが、逆に「G麺7」などのように、動物系ダシのコクと厚みを主軸にした味作りもまた以前に比べて増えて来たように思う。
前置きが長くなったが、こちら「しながわ」は、個人的には「醤油の存在感を強める」「動物系を味の主軸にする」と言う流れを強く感じる。好みとしては非常に好きなので大歓迎だ。スープの要と感じるのはやはり醤油味。土台として動物系があり、魚介が味を膨らませているが、魚介の香りはそう前面には出てこない。これと、やや細めながらしなやかで存在感のある麺を合わせる。麺は内麦を使った自家製麺。少し柔らかめに茹でる事でスープとのマッチングは更に上がる。また風味豊かな九条葱は、品川店主の父上が無農薬栽培されている物だそう。
山本氏は「支那そばや」「地雷源」を例に引いているが、個人的にはこれらのタイプに更に郷愁を加えて表現しているように思える。今の若いラーメン好きが、オッサンの好むこう言うタイプをどう評価するのかにも非常に興味があるなあ。(北島秀一)【ラーマガ002号より転載】
中華そば しながわ
東京都豊島区西池袋4-19-14
東京メトロ線「要町」駅より徒歩6分
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【鮮魚らーめん 五ノ神水産@淡路町】
「らーめん銀だら搾り」780円
こちらの「銀だら搾り」の原型は、もともと新宿の「五ノ神製作所」でらーナビ限定として提供していただいたつけ麺に始まる。当時のらーナビ限定は各「達人」がお店側に要請して作っていただく物で、中にはそこから新レギュラーや新店メニューが生まれていたのも読者諸兄ならご存じかも知れない。我々がらーナビを離れ、らーナビ限定もどうやら提供されなくなってしまったようだが、以前の仕事がこう言う形でよみがえってくるのは個人的には素直に嬉しい物だ。
よくラーメンのスープを、澄んだ「清湯」と濁った「白湯」に分類するが、「白湯」が油脂を高温でぐらぐら長時間煮込む事で、本来混じり合わない水と油の分子が結合してあの乳化状態になるのも、これまた読者諸兄なら多くがご存じだろう。伝統的な豚骨や、京都「ますたに」、六本木「香妃園」などに始まる鶏白湯はまさに豚や鶏の脂の乳化による物だが、だとすれば、魚介や植物の油脂で白湯が出来ないか。まだまだ実例が非常に少ない中、2011年にこの難しいテーマに挑戦したのが旧「銀だら搾り」だった。
元々はつけ麺だった物をラーメンにアレンジしてあるが、その強烈なインパクトは衰えていない。ラーメンにするにあたり、粘度を少し下げて塩分も減らしたようには感じるが、一番肝心の「銀だら感」はほとんど同じに感じる。個性と言う意味では、近年首都圏で登場したラーメンの中でも五指に入るんじゃないだろうか。
反面、この風味の強さはやはり客を選ぶだろうなとの思いもある。魚介のインパクトで言えば「煮干し版魁龍」とまで言われた「高はし」@青森県弘前市に並ぶんではないかと思うし、またこの魚介風味の強烈さが「魚介白湯」を難しくしているんだろうなとも感じる。ただ、「濃厚魚介豚骨」「二郎風」「鶏白湯」「ニボニボ」「69風」と、どうも最近のラーメン業界は、決まった枠の中で個性や特徴を伸ばそうとする傾向が強く、新しい枠を作る、あるいは既成の枠何する物ぞなどと言う気概を感じにくくなっているのもまた事実。食べ手として、より幅広く個性的なラーメンを望むのであれば、ここは個人の好き嫌いの「枠」を超えてこの姿勢を支持するべきじゃないかなと思ったりする。(北島秀一)【ラーマガ010号より転載】
鮮魚らーめん 五ノ神水産
東京都千代田区神田多町2-9-6
東京メトロ線「淡路町」都営地下鉄線「小川町」各駅より徒歩2分、JR線「神田」駅より徒歩3分
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【つじ田奥の院@飯田橋】
「煮干蕎麦 並」780円
このお店の「煮干蕎麦」については、自分が食べに行く前、ラーメンblogなどで写真を見た瞬間に「この緑色に近い表面の油は、どうみても弘前の『たかはし中華そば』だなと思った。実際辻田店主も設計の段階から「たかはし」はかなり強く意識していたそうだし、そう言う意味では「津軽煮干しリスペクト」が根底にあるラーメンだとも言える。
隣接した道路から店舗の入り口は少し奥まっていて、落ちついた庭園風の通路を抜けて行く。割烹……とまでは行かなくても、ちょっと小じゃれた日本蕎麦を売っていそうな雰囲気。店内も清潔で、挨拶などもちょっと上品な雰囲気。これまでの「つじ田」系列とはちょっと異なる印象を受けた。
出て来た「煮干蕎麦」は、実際に見ても強烈そうな油層が印象的。が、その下にあるスープは乳化はほとんど無く、さらっと澄んだ煮干し醤油味。「たかはし」はスープ本体まで煮干しの油で乳化しており、誰が言ったか「煮干し版魁龍」とも表現される超インパクトスープだが、こちらは油のパンチの後、すうっとおだやかなスープが入って来て、強い印象ながらもキツすぎるクセやエグ味などは感じない。首都圏でも「伊藤」@赤羽以来大流行しているいわゆる「ニボニボ」なラーメンと比べると、全体的な印象はむしろ上品な部類に感じる。
このラーメンで個人的に一番感心したのは、実は麺の茹で加減。低加水率の中細ストレート麺を、きちんと茹で上げてしなやかな食感に仕上げてある。昨今の流行だと、もっと茹で時間を短くしてざっくりクキクキした食感を強調しそうだが、ちゃんと茹で上げる事でスープとの馴染みもよくなり、麺自体の味わいも活性化していると思った。
煮干しラーメンは今本当に流行っていて、各店それぞれ個性の表現に様々な工夫をしているが、麺の茹で加減一つで随分と印象が変わる物だな。商売である以上流行に対するアンテナの感度はもちろん必要だが、それだけではない「自分が美味いと思う味を貫く」気持ちがきっちり出ているラーメンだろう。(北島秀一)【ラーマガ021号より転載】
つじ田奥の院
東京都千代田区飯田橋4-8-14
JR線・東京メトロ線・都営地下鉄線「飯田橋」駅より徒歩2分
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【中華そば春木屋 荻窪本店@荻窪】
「中華そば」800円
東京のラーメンシーンに於いて「今さら説明の必要もない」と言えるお店は幾つかあるが、ここなどはその筆頭と言えるだろう。戦後すぐに創業し、その後の荻窪ラーメンブームを代表し、東京ラーメンの代名詞的な存在でありながらその「味」については真似をするフォロワーがほぼ現れない独自性を今でも保つ。また、「昔と同じ味だね、と言われる為には常に味を向上させなければならない」と言う「春木屋理論」は広く知られている。
常時の向上以外にも季節毎に微調整を加えるスープは、ざっくり分けると「豚骨鶏ガラベースに魚介を効かせた醤油清湯」となるだろうが、そのくくりでは完全に説明するのは難しい。十代の頃から「春木屋」に強い感銘を受けたと言う69'N'ROLL ONEの嶋崎店主によれば「牛も使ってるんじゃないかなあ」との事だが、そのあたりは詳細不明。シンプルなようで真似の出来ない味は、これだけの大人気店にも関わらず「春木屋インスパイア」がほとんど出現しない事からも伺える。
一時期はラ博にも出店し、他の支店、分店も好評を博し続ける巨人。個人的には私の師匠・故武内伸氏が最後まで愛し抜いた店としても特別な存在だ。もうすぐやってくる武内さんの命日には、また今年も春木屋に行ければなと思う。(北島秀一)【ラーマガ028号より転載】
中華そば春木屋 荻窪本店
東京都杉並区上荻1-4-6
JR線・東京メトロ線「荻窪」駅より徒歩2分
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【町田汁場 しおらーめん進化 町田駅前店@町田】
「鯵煮干しの塩そば」750円
立地的には「ラーメンと夢 はじまるby」の少し先と言った所。開店を待つ間も通りすがりながら「あ、ここ知ってる。駅から遠かったんだけど近くなったんだ」とちょっと勘違いしている人も結構いるようで、ある意味本店最大のライバル店の誕生かも知れない。むろん関口店主も自店同士の競合は意識しているだろうし、その対応策の一つが、この「駅前店限定」あるいは「本店限定」メニューの設置だろう。そして、実際にはっきりとした差別化が出来ているメニューだった。
「鰺煮干し」と言うとどうしても煮干(一般的なカタクチイワシの物)寄りの味わいを想像するが、実際にはそうではなく、香りは穏やかで甘味があり、それでいて充分な旨味を絡ったスープになっている。いわゆる「ニボニボ」的な魚のパンチは控えめで、あくまで塩清湯として食べ易い範疇に収まる反面、しっかりした牽引力もある。食べて感心したのは、食べ始めから充分な牽引力を持ちつつも中盤から終盤までしょっぱさやくどさを全く感じさせないそのバランス。一般的に、一口目のインパクトを重視すると終盤の味がきつくなりがちだが、そのような印象は全くない。具材に使われたタマネギのスライスが良いアクセントになるのと、香油や塩ダレとダシのバランスも充分吟味しているのが伺える。
麺は細めで軽く縮れた全粒粉入りの物。その形状か、表面のざらざら感の為か、スープの味が強力に乗ってくる。いわゆる「麺にスープの味が絡む」のお手本と言いたいくらい。風味の強い全粒粉麺に塩清湯と言う、ややもすれば麺の個性がスープを圧倒しがちな組み合わせながら、鰺の旨味を存分に楽しめる麺になっている。薬味のワサビの使い方も様々か。中盤以降に一気に溶いて味わいを変えるのも悪くなさそうだが、個人的にはちょんと箸でつついた程度を軽くなめつつ舌をリフレッシュさせて行く方が好きかな。強烈な風味だけに好みは別れるかも知れないが、基本が魚介系のスープだけに相性自体はとても良いと思う。
駅近とは言え雑居ビルの二階で、しかも狭い急階段もあり、ほんのちょっと以前の「凪」本店を思い出すような立地だが、ラーメン自体はさすがの出来。個人的にはいずれ提供予定の「薄口醤油ラーメン」も非常に気になるし、対抗する本店の変化も見ておきたい。ので、今後当分「進化」両店のウォッチは価値ある物になりそうだ。(北島秀一)【ラーマガ015号より転載】
町田汁場 しおらーめん進化 町田駅前店
東京都町田市森野1-12-13 ワールドビル2F
JR線・小田急線「町田」駅より徒歩3分
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【らーめん大文字 藤が丘店@藤が丘】
「味噌らーめん」950円
自分自身かなり久しぶりの訪問になったし、更にたいてい来る時は限定とか新作を食べるのがマニアの性。レギュラーの味噌は、下手をしたら10年単位で食べていなかったかも知れない。が、久々に食べて唸った。いやー美味しい。昨年の、TRY味噌部門でこのラーメンがベスト10に入っていなかったと言う事実が信じられないくらいに美味しい。
私が美味しいと感じたポイントは、味噌ラーメンらしいパンチを充分感じさせつつも、やたらなくどさ、しょっぱさ、油っこさと言う、安易なブーストに頼らないバランスとキレの良さを両立させている事。味噌ダレの濃さもあってか適度なとろみがスープにあり、太めのしっかりした麺に絡んで一口目からぐいぐいと食べさせるのに、それが中盤を過ぎて食べ終わりになってもまったくキツくならない。
「インパクトのあるスタートダッシュ」と「最後まで食べられるキレ」を両立している事例は、特に味噌を始めとする濃厚タイプだとかなり難しい筈。たいていは、最初のパンチに重点を置き、スープを最後まで飲ませるバランスは放棄しているが、ここの味噌はそれがある。ある意味「東京スタイルの味噌ラーメン」の代表格と言っていい味わいだと思った。(北島秀一)【ラーマガ001号より転載】
らーめん大文字 藤が丘店
神奈川県横浜市青葉区もえぎ野17-7
東急線「藤が丘」駅より徒歩9分
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【支那そばや 本店@戸塚】
「醤油らぁ麺」880円
佐野さんのラーメンは非常に大雑把に別けると鵠沼時代、ラ博時代、そして戸塚時代になる。むろんそれぞれの時期に於いても何度か大幅な改変を経ているが、ざっくりとした流れで言うと、徐々にスープのダシが複雑に、そしてまろやかになっていき、味わいの主導権が醤油や塩のタレからダシに移っていったと思っている。
いわゆる「引き算のラーメン」と言う表現があるが、支那そばやのスープはその表現とは反対の、基本的には「足し算のラーメン」である。もちろん単に味を足して重ねて行くだけではただのごった煮になってしまう訳で、何かを足す時には別の何かを引いたり控えたりする事で、「味の球体」のでこぼこを極力感じさせない丸い味を保っているが、その足し算を繰り返す事で「球体」は大きく分厚くなり、シンプルなようで複雑な旨味を楽しめる。その現在の所の到達点が、戸塚本店のこの味だと思う。
麺は言うまでもなく自家製麺。ラ博店にある製麺機とは別で、製麺途中でローラーで生地を叩く事によって更にコシを出す工夫がされた特別製の製麺機だと聞いた事がある。「もともと風味は良いがグルテンの少ない国産小麦でどうコシのある中華麺を作るか」は佐野さんのライフワーク。結果としては生涯をかけた研究になってしまった。
佐野さんの訃報から数日後に戸塚本店に食べに行ったが、もともと既にデイリーの営業では佐野さんが直接厨房に立たない体制は出来上がっていたので、味のブレは全く感じられず、安定した「戸塚本店の味」を堪能できた。今後もラ博店、戸塚店共に営業は続くので、是非この二軒を比較してみて欲しい。「人に歴史あり」ならぬ「支那そばやに歴史あり」の一端を知る事が出来るだろう。(北島秀一)【ラーマガ020号より転載】
支那そばや 本店
神奈川県横浜市戸塚区戸塚町4081-1
JR線・市営地下鉄線「戸塚」駅より徒歩5分
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【ぜんや@新座】
「ぜんやラーメン」700円
一日100杯限定で、午後から夕方には売り切れ終い。駅からは決して近くない上に路駐も困難。店は広げず夫婦二人だけで営業し、提供するのは塩ラーメンのみ。醤油も味噌も限定もつけ麺も出さない。今のご時世、もし「こんなコンセプトで新店をやりたいんですが」と相談されたらまず私なら反対するが、このスタイルを15年近く貫き、未だに行列の出来る人気店に育て上げたのがこちらのご主人である飯倉さんだ。
先日約十年ぶりに訪れてみたが、この姿勢は全くぶれない。豚ガラをメインにしたスープにはショウガも使われているようで、寸胴の近くに座ると何とも言えないよい香りが立ち上る。匂いの時点で既にキレとコクが感じられてしまうのだ。綺麗に澄んだ琥珀色のスープに入るのはこれも変わらぬ中太麺。普通なら細麺を合わせてあっさりスープをより強調するのがセオリーだが、深いコクのスープはこの太麺をふわっと包み込みつつ抜群のパフォーマンスを発揮する。
寡黙な飯倉さんのはにかんだような笑顔も十年前と変わらず。穏やかな表情の裏にある、自分のスタイルを貫き通す強い意志がこのラーメンを支えている。(北島秀一)【ラーマガ000号より転載】
ぜんや
埼玉県新座市野火止4-10-5
JR線「新座」駅より徒歩7分
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【陽気@広島】
「中華そば(ニンニク入り)」600円
広島県のラーメンと言えば真っ先に思い浮かぶのは「尾道ラーメン」だろうが、実は広島市を中心とした西側にも尾道に勝るとも劣らぬレベルの「広島ラーメン」が存在している。その代表格がこの「陽気」。市内には系列の「横川店」「大手町店」もある。
広島ラーメンの特徴は、何と言ってもそのスープ。軽い甘味を伴う豚骨醤油だが、決してコッテリ過ぎず、かと言って軽すぎず、白濁豚骨なのに「中華そば」と言われても納得の食べやすさが身上だ。そのスープに合わせる細麺はこりっとして実に気持ちのよい歯ごたえ。使用されるもやしは主に西日本に多い細もやしで、硬めの歯ごたえと濃い味が関東の太もやしとは違った美味しさを楽しませてくれる。
「陽気」は、その広島ラーメンの中でも「すずめ」と並ぶ人気店。決して便利な場所ではないが、営業中はお客が途切れる事はない。大盛りもライスもビールも無く、メニューは中華そばただ一品。注文時のオプションは「ニンニク」があるのみ。この写真は、その「ニンニク入り」。一度は陽気で食べた事がある人にも、改めてニンニク入り食べてみてと言いたくなるベストマッチだ。(北島秀一)【ラーマガ025号より転載】
陽気
広島県広島市中区江波南3-4-1
広島電鉄「江波」駅より徒歩30分
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【山路力也:ベスト10レビュー】
【さぶちゃん@神保町】
「半ちゃんらーめん」750円
創業は昭和41(1966)年と、およそ半世紀にわたり愛され続けている東京屈指の老舗は、少なくとも僕がラーメンの食べ歩きを始めた頃から、何ひとつ変わることなく神保町の路地裏に今も佇んでいる。いや、厳密にいえば店主の「さぶちゃん」こと木下三郎さんがお歳を召して、チャーハンの鍋を振る腕や、立ち続ける足が結構辛そうな様子を見せることがある。しかしラーメンと半チャーハンという黄金の組み合わせは今もなお健在。客の八割以上が注文するキラーコンテンツだ。
洋食出身のさぶちゃんが作るラーメンは、スープやブイヨンを取る技術を応用したものだという。豚骨、鶏ガラに昆布や鰹節、生姜など香味野菜を加えたスープに、甘めの醤油ダレと化学調味料。そして厚めに鶏油を張る。中細でやや縮れがついた黄色い麺は思いの外硬めに茹で上げる。そして醤油の味がしっかりと染みたメンマ。創業当初から基本的に作り方は変えてないというが、今のラーメンシーンの中に置いてもまったく古さや弱さを感じさせないパンチのある味わいこそが、長年愛されてきた理由の一つと言えるだろう。
チャーハンはかなり醤油が強くて塩味も強い。これは濃い目の味付けが好きなさぶちゃん好みの味。中華鍋の中ですでに出来上がっているチャーハンを、提供する時にもう一度軽く焼いて出されるチャーハンは、正直パラッとしているわけでもツヤツヤしているわけでもない。固まっている部分もあれば焦げている部分もある。しかし、これがさぶちゃんの作るチャーハンなのだ。そしてこのチャーハンを食べた後に濃い目のスープを飲むと、身体の中の食欲が一気に満たされる感覚になる。私が生まれる前からこの場所でずっと愛されてきたラーメンとチャーハンに対し、私はただニコニコしながら食べるのみだ。
店の前を通りかかった幼稚園児が「さぶちゃーん!」と声をかけると、「おーう」とにこやかに足を引きずりながら外に出て軽くしゃがんでハイタッチ。お母さんには「これからどこに行くの?」と声をかけて手を振る。一時期体調を崩されたことがあって長期休業していたことはあるが、創業以来臨時休業はしたことがほとんどないという。「うちのお店は曜日ごとに決まって来るお客さんがいるんだよね。土曜だと遠くに住んでいる人が懐かしがって来たりね。だからお客さんのことを考えると客商売っていうのは絶対に休めないよね」。長年愛されてきた理由がこんなところにもあった。(山路力也)【ラーマガ004号より転載】
さぶちゃん
東京都千代田区神田神保町2-24
東京メトロ線「神保町」駅より徒歩3分
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【一寸亭@日暮里】
「モヤシソバ」750円
世の中には絶対的に美味い食べ物がある。厨房から聴こえてくる鍋を振るリズミカルな音、油がバチバチっと跳ねる音と同時に漂ってくる香ばしい香り。そして熱々の湯気を立てながら目の前に置かれた丼の見事な美しさ。それはもう食べる前から間違い無く美味い。私にとってそんな一杯が谷中にある「一寸亭」の「モヤシソバ」だ。
今では随分とその姿を見なくなったモヤシソバだが、かつては町の中華屋さんには必ずあるメニューだった。しかし一寸亭のモヤシソバは他の店のものとはチョット違う。豚肉とたっぷりのモヤシを炒めた醤油味のあんかけ。モヤシは麺とのバランスを考えて通常の炒め物用のモヤシとは異なるものを使う。浅草開化楼の昔懐かしい素朴な味わいの麺も良い。
実はモヤシソバは簡単そうにみえて難しい。あんかけは時間が経てばモヤシの食感が落ち、あんも緩くなっていく。あんかけをベストで出そうとすると、今度は麺の方のタイミングがずれてしまう。しかし一寸亭ではご主人の大塚さんと息子さんが厨房に入り、片やあんかけを仕上げ、もう片方が麺を茹でているので、そのあんかけと麺の茹で上がるタイミングが同時になるのだ。どこからみても非の打ち所がない一杯。絶対的に美味い食べ物がココにある。(山路力也)【ラーマガ004号より転載】
一寸亭
東京都台東区谷中3-11-7
JR線・都営日暮里舎人ライナー線「日暮里」駅より徒歩8分
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【たいめいけん@日本橋】
「ラーメン」680円
ラーメン好きならば常識と言っても良いだろうが、洋食の老舗「たいめいけん」でラーメンを出しているということを知らない人も少なく無い。良く見ればメニューにも載っているのだが、やはり洋食店ということでオムライスなどには目が行ってもラーメンには気づかないのだろう。さらに店の脇に立ち食いのラーメンコーナーがあるのだが、この存在も見落としがちだ。私は店内でも立ち食いでもラーメンを食べたことがあるが、圧倒的にオススメなのは立ち食いのラーメンコーナーである。
その理由は何といってもキッチンにかぶりつきのカウンターという立地。出来立てのラーメンが供される事は言うまでもないが、老舗洋食店のキッチンを目の前で見る経験はなかなか出来るものではない。コック帽を被ったシェフが動き回るお昼時のキッチンはまさに戦場。そしてカウンター近くにあるのはスープの寸胴。このスープはラーメンのみならず、他の料理のブイヨンとしても使われるもの。豚骨などの骨や、エビの頭やポワロ葱、ヒラメなどの魚類などの素材が数十種類入る。こんな贅沢なスープを使っているラーメンは他にはあまり無いだろう。
昔ながらの紅糟(ホンツァオ)で周囲を赤く色付けられたチャーシュー、絹サヤの緑、麺の黄色が深い醤油の色のスープに映える。色味のバランスにも意識が払われた一杯は、見た目から美味しい。様々な素材の入ったスープは見た目よりも遥かに深くて複雑。麺もしっかりとした食感を残していてスープとの絡みも良い。三代にわたり受け継がれたレシピだが、三代目の茂出木浩司さんは今もなおより美味しい一杯になるようラーメンにも注力していると語る。洋食屋の片手間ではなく、料理として完成された一杯にしたいのだと。老舗洋食店の本気のラーメンは、皆が想像しているよりも遥かに旨いのだ。(山路力也)【ラーマガ013号より転載】
たいめいけん
東京都中央区日本橋1-12-10
東京メトロ線・都営地下鉄線「日本橋」駅より徒歩1分
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【中華そば 萬福@東銀座】
「中華そば」650円
大正末期の屋台から数えれば、今年で創業92年の歴史を誇る屈指の老舗である。この地に店を構えたのは昭和4年で、ご主人の久保さんは三代目にあたる。おそらく最初はなぎら健壱さんがラーメン本かテレビで紹介していたので知った記憶がある。氏は子供の頃からこの店に通っていたのだそう。この一帯はかつては「木挽町」と呼ばれた場所で銀座とは異なるのだが、店内にはかつての木挽町の住居銘なども残されている。長い間ノスタルジックラーメンを語ってきた人間からすれば、欠かすことが出来ない名店だ。
濃い醤油の色をしたスープに黄色い三角の卵焼きとなるとが乗った「中華そば」。美しく凛としてノスタルジックな面持ちでありながらも、他のラーメンにはない個性的なビジュアルで、一度見たら決して忘れられない表情を持つ。今と違って昔はラーメンのビジュアルなどどの店でも大差なかったであろうから、この黄色い卵焼きというアイコンはとても意味があったと思う。一度食べた人はきっとまたこの店の一杯を思い出し、足を運んだことだろう。この美しさに魅せられ、私は「トーキョーノスタルジックラーメン」という本を書いた時に、表紙のラーメンをこのラーメンにしたほどだ。
スープは油分が抑えられていて非常にスッキリとした口あたり。調味もおとなしくスープベースも軽めなので、正直今のラーメンと較べた時に旨味に弱さを感じることは否めない。しかしながら、ついもう一口、そしてもう一口と後を引くのだ。じわじわと味わいが深くなっていって、ちょっと物足りないくらいのところで食べ終わる。今のラーメンは最初にガツンとインパクトがあって、後半に飽きが来るものも少なくないが、それとは真逆の一杯だ。創業者である祖父の味を基本的には踏襲しているが、チャーシューの部位や油の量など、今の時代に合わせて変えられる範囲の中で変えていると言う。
その中で創業以来変わる事がない「三角の黄色い卵焼き」は、見た目ももちろんだが、具としてもこれが無いと萬福の中華そばとは言えない。食べ終わりくらいまで置いておいて、ちょっとだけスープが染み込んだ卵焼きがまたいいのだなぁ。この楽しさは煮玉子ではなかなか得られない。余談になるがこちらの「焼飯」や「ポークライス」もとても美味しく、懐かしい味わいなので是非味わって頂きたいと思う。(山路力也)【ラーマガ017号より転載】
中華そば 萬福
東京都中央区銀座2-13-13
東京メトロ線・都営地下鉄線「東銀座」駅より徒歩3分
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【中華そば ターキー@雑司が谷】
「ラーメン」550円
2016年のラーメン始めは、ターキーにお父さんの顔を見に。一緒にお店を切り盛りされていた奥様はお店を引退され、ご主人の甲立さんが基本的に一人でお店に立っている。久々に顔を出したのにも関わらず、いつもと変わらぬ笑顔で出迎えてくれた。気がつけば私もこの店に来るようになって十年以上になろうかとしている。
今年で創業41年目。創業以来継ぎ足された醤油ダレはまろやかで深みがある。ベーススープもしっかりしていて、寸胴からたくさんのモミジがはみ出している。茹で上げた後に箸で綺麗に慣らした麺の美しさ。青菜も綺麗に並べられて。出来合いのものは使わず、全てが手作り。一つ一つの仕事がとても丁寧なのだ。
もも肉を使ったチャーシューはしっとりとした食感で味もギュッと染みている。3日かけて戻したメンマの食感も心地よい。スープから浮いた自然な油が程よく、あっさりしているのに力強い味わい。やっぱり長年愛されている店のラーメンは、しっかりとした存在感と安心感があるのだ。(山路力也)【ラーマガ082号より転載】
中華そば ターキー
東京都豊島区雑司が谷1-24-2
都営荒川線「雑司ヶ谷」停留所より徒歩6分、東京メトロ線「雑司が谷」駅より徒歩8分
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【ら〜めん盛運亭@白金高輪】
「ラーメン」650円
曲がりなりにも昔ながらのラーメンを「ノスタルジックラーメン」と名付けた男である。だからノスタルジックラーメンに定義をつけさせて貰うならば、ただ郷愁を誘えばいいというわけではなく(圧倒的に古いとか、歴史的意義がある店では別としても)やはり味が重要だと思う。思い出補正抜きにしても、今のラーメンの中に置いても美味しいと感じられるものであるべきだと思う。
南麻布の名店「盛運亭」の創業はは1983年、30数年の歴史の店である。タモリさんがこよなく愛したとして知られるこのラーメンも、間違い無くノスタルジックラーメンと呼んでいい。とにかくラーメンに力があるのだ。スープは味がしっかりとしていて醤油ダレも強く、表面にはたっぷりとラードが浮いている。チャーシューもラードで仕上げているので、丼に沈めておくと味がさらに深くなっていく。麺に若干弱さを覚えるが茹で加減自体は絶妙で、存在感の弱さもスープのインパクトでカバー出来ている。
昔ながらのラーメンはあっさりとして…というのはこの店のラーメンには通じない。大のヤクルトファンの親父さんの雰囲気も変わらない。最近は深夜遅くまでやらなくなったようだが、いつまでも続いて欲しい店だ。(山路力也)【ラーマガ056号より転載】
ら〜めん盛運亭
東京都港区南麻布2-7-26
都営地下鉄線「白金高輪」駅より徒歩7分
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【熊本ラーメン桂花 渋谷センター街店@渋谷】
「太肉麺」880円
北島さんと同じく、私がラーメンにはまったのも桂花の太肉麺であった。今から16年前、やはりこれも北島さんと同じ渋谷プライムにあった麺道場。それまでラーメンなんて年に一杯食べるか食べないか、というくらいラーメンを食べなかった私が、この太肉麺を食べた瞬間からラーメン好きになり、ラーメン評論家になってしまったわけで、同じく人生最大のターニングポイントにこの太肉麺はあったのだ。
それまでラーメンに対するイメージは、醤油スープに縮れた鹹水臭い麺、チャーシュー、メンマ、なるとという、ステレオタイプな昔ながらの中華そば的なイメージしかなかった。しかしこの太肉麺はそれをことごとく崩してくれた。臭みのないなめらかな豚骨スープにマー油、パキパキボソボソの麺、生キャベツにクキワカメ、そして大きな角煮(太肉)。どこを食べても美味しくて楽しくて。「ラーメンってこんなに面白いのか!」と思わせるのに十分過ぎる一杯だったのだ。
私にとって桂花の太肉麺はラーメン人生の原点でもあり、偶然だが私が生まれた年に出来たメニューでもあるいわば特別な一杯なので、それから毎年何杯かは必ず食べてきた。しかしながら、自分の舌が肥えたのか経験値が上がったのか、それとも桂花の味が落ちたのかは分からないが、間違いなく最初に較べて美味しいと感じない自分がいた。一番気になったのはスープのコク。しっかりと乳化してまろやかで豚骨の甘味があるスープが、妙にシャバシャバでカエシとマー油ばかりが目立ってしまって、正直悲しく思ったものだ。
北島さんの訃報に接し、これはやはり渋谷で太肉麺を食べなければと思い、亡くなった1日の夜、リニューアル後初となるセンター街店に足を運んだのだが、これが驚くほどに旨かった。今年に入って新宿などでも食べているのだが明らかに別物で、初めて食べた時と相違ない美味しさだったのだ。ずっと他の店で気になっていたスープのシャバシャバ感もなく、まろやかで深い旨味とコクを持ったスープが素晴らしかった。北島さんも最近の桂花の味には多少寂しさを覚えていたようだが、この一杯はきっと満足するはず。これからも毎年9月1日は渋谷の桂花で太肉麺を食べて、北島さんに報告していきたいと思う。(山路力也)【ラーマガ034号より転載】
熊本ラーメン桂花 渋谷センター街店
東京都渋谷区宇田川町27-1
JR線・東急線・京王線・東京メトロ線「渋谷」駅より徒歩3分
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【九十九とんこつラーメン 恵比寿本店@恵比寿】
「元祖◯究チーズラーメン」930円
ラーメン食べ歩きの頃、仕事が終わった後に夜な夜な車を飛ばして向かった店がこの「九十九とんこつラーメン」だった。1996年の創業というから、オープンしてまだ間もない頃のことだったのだなぁ。基本のラーメンももちろん好きだったが、やはり狙いは「◯究チーズラーメン」。今と違って数量限定で夜にありつけることはなかなか無かった。そしてチーズもゴーダチーズの削ったものの他にモッツァレラのスライスがチャーシューのように添えられていたものだ。あの頃は限定メニュー的な位置づけだったが、今は堂々の看板メニューになっていて夜でも食べることが出来るようになった。
国内産ゲンコツから取った臭みのない白濁豚骨スープに味噌ダレ、そして注文を受けてからマシンで削りおろす大量の十勝産ゴールデンゴーダチーズ。当時と同じく今も花畑牧場産のものを使用しているのだとか。スープに面した部分がスープの熱でとろとろに溶けて、麺を引き上げると味噌のスープとチーズが絡まって。味噌にバターが合うのだからチーズが合うのも当然。しかし、よくこれに気づいたよなぁと十数年経った今もその完成度に唸ってしまう。(山路力也)【ラーマガ023号より転載】
九十九とんこつラーメン 恵比寿本店
東京都渋谷区広尾1-1-36
JR線・東京メトロ線「恵比寿」駅より徒歩5分
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【新福菜館 本店@京都】
「中華そば(並)」650円
年に何度か京都に行くことがあるが、その時に必ず立ち寄るのがここ「新福菜館」か隣の「第一旭」だ。この2軒はどちらも京都を代表する老舗で、肉と九条ネギがたっぷり乗った中華そばのスタイルしかり、麺も同じ製麺所を使っていたりと、共通点が多く一緒に語られることが多いが、そのラーメンは同じようでいてまったく異なる。個人的な感覚としては、より出汁感が強いのが第一旭で、より醤油感が強いのが新福。これはもうどちらが良いとか好きとか選べないし勧められるものでもない。この日は新福の気分だったので新福に入った。ただそれだけのことだ。
写真には上げていないけれど、もちろん「ヤキメシ」もオーダーする。中華そばには小サイズもあるのだが、ヤキメシは普通のサイズのみ。なので、こちらに来ると少々過食気味になる。メニュー名は「中華そば」「ヤキメシ」なので、そのようにお願いすると、厨房には「ラーメンとチャーハン」と通すのが個人的なツボ。肉多目は別料金だが、ネギ多目は無料で出来るのは意外と知られていない。第一旭でもネギ多目は無料で出来るが、個人的には新福の醤油感が強いスープの方が九条ネギが合うと思う。ちなみに多目は「おおいめ」と読むのが正しい。私はいつも「中華そばネギおおいめ」。
薄く切られたチャーシューは普通の中華そばでもゴロゴロと入っていて、まさに「肉」と呼ぶに相応しい存在感。ちょっと太めの麺はしっかりと茹でてあって、醤油スープが染み込んで麺を食べるごとにスープがじゅわっと染み出てくるような感じもたまらない。真っ黒い醤油の風味がついたヤキメシもこのラーメンにピッタリ。そしてこの日もお腹一杯で店を出る。あぁ幸せ。(山路力也)【ラーマガ011号より転載】
新福菜館 本店
京都府京都市下京区東塩小路向畑町569
JR線・市営地下鉄線「京都」駅より徒歩5分
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【博多一風堂 大名店@天神】
「元祖白丸元味(中)」720円
今や全国どこででも食べることが出来る博多一風堂だが、博多に行くと必ず私は一風堂の大名店(総本店)に足を運ぶ。それはここでしか味わえない一杯があるからだ。ラーメン好きのあいだでも意外と知られていないのだが、大名店は他の一風堂とラーメンの味が違う。創業店ということもあって、こちらでは一風堂創業当時の味を復刻させたものなのだ。
元祖白丸元味と元祖赤丸新味の2種類があるが、いつものように注文は「シロチューバリ(白丸、中、バリカタ)」。中というのはサイズではなく、ノーマルの意味。並はスープと麺にネギだけの素ラーメンで、特は海苔や明太子などが乗ったスペシャル版。丼も昔のデザインの丼で出て来るのが嬉しいな。
特筆すべきは濃厚で髄が溶け込んだスープ。丼の底に溜まるどころか、飲んでいるそばからレンゲに髄が溜まるのだ。臭みがない豚骨スープというのは一風堂の代名詞のようなものだが、これだけざらっとして濃厚で粘度があるのにまったく臭みがないのが素晴らしい。きめ細かい背脂の甘味と醤油ダレの甘味も加わって、スープだけでグイグイといってしまいそう。もちろんオリジナル小麦粉「風」による自家製極細麺の持ち上げも半端無い。後半は卓上の高菜、モヤシにすりゴマと生ニンニクをプレスして一気にフィニッシュ。一風堂の底力をまざまざと見せつける圧巻の一杯だ。(山路力也)【ラーマガ020号より転載】
博多一風堂 大名店
福岡県福岡市中央区大名1-13-14
市営地下鉄線「天神」西鉄線「西鉄福岡(天神)」各駅より徒歩6分
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【山本剛志:ベスト10レビュー】
【二代目にゃがにゃが亭@三河島】
「わんたんそば」880円
東京で食べるべきラーメンを考える時、たくさんの候補が挙がる。その中で、私が食べてほしいと考えているのが「二代目にゃがにゃが亭」。現在は9:30から昼過ぎにかけて営業している。
コーチンも加えて鶏をベースにしたスープは、その滋味がたっぷりと入り、後味も自然に口の中を駆け抜ける。そして、白河の名店「とら食堂」から手ほどきを受けた自家製麺は、力強い多加水太縮れ麺を啜ればインパクトは絶大。燻製香をまとった焼豚も印象強く残る。皮が滑らかなワンタンの、つるんとした食感もたまらない。
時として、「白河ラーメン」に分類する人もいるここのラーメンだが、それは決して正しくない。白河の麺を源流に持ちつつ、独自の製法と様々な調理経験を通して作り上げた「オンリーワンの一杯」である。(山本剛志)【ラーマガ010号より転載編集】
二代目にゃがにゃが亭
東京都荒川区荒川3-61-6
JR線「三河島」駅より徒歩2分
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【麺処大木@大田郷】
「鶏ざんまい塩」950円
「大喜@湯島」で修業した事で知られるご主人の店。徒歩での訪問は難しい場所だが、土曜日の昼過ぎでちょうど満席の人気ぶり。メニューは豊富だが、鶏清湯スープの「鶏ざんまい」を塩味で注文。
修業元の看板メニューを想起させる「鶏ざんまい」は、やはりこの店でもキラーコンテンツ。じんわりと淡い鶏スープは、飲めば飲むほど深みを感じるもの。中細麺もコシを感じさせながら固すぎない。具には鶏チャーシュー、鶏天、味玉、青ネギ、白ネギ、そして玉麩をあしらっている。特に鶏天は磯部揚げになっていて、スープに溶け出す事によって徐々に味を変化させてくれる。
同行者の「醤油ラーメン」はすっきり澄んだ豚清湯で、シンプルなラーメンを求める年配層にマッチしつつ、すっきりとした中に独自の味わいがあって、こちらも満足。鶏白湯をはじめ様々なメニューが増えているという。(山本剛志)【ラーマガ038号より転載編集】
麺処 大木
茨城県筑西市藤ヶ谷2206-9
関東鉄道常総線「大田郷」駅から徒歩40分
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【雨は、やさしく@菊水】
「味噌」780円
ここ数年で個性的なラーメン店が誕生している札幌市。その中でも驚かされたのがこちら。駅から少し離れた場所にあるが、続々とお客さんが来ていた。「味噌」「醤油」「塩」の三味が基本だが、「和えつけ麺」や「生ハムかけそば」といった気になるメニューも並んでいるが、まずは「味噌」をオススメしたい。
煮干、昆布、椎茸などで取った和出汁ベースのスープには、獣系の食材は不使用。あっさりすっきり澄んだスープには、その味を邪魔しない程度の味噌味がついて旨みが丁寧。スープの上には、鶏の白肝を使った「パテ」が乗る。徐々に溶いていくことで、鶏のコクがスープに重層さを与えていく。パテを抜いた「ぬきそば」もあるが、苦手でない人はそのまま食べてみてほしい。メンマ代わりに入っているゴボウは、揚げたものと味付けしたものが2種類入っていて、箸休めでは終わらせない。(山本剛志)【ラーマガ070号より転載編集】
雨は、やさしく
北海道札幌市白石区菊水元町4条2-1-7
札幌市営地下鉄「菊水」駅からJRバス「菊水元町5条」下車徒歩5分
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【中華そば 嘉一@仙台】
「中華そば+鶏飯」780円
山形県の「龍上海」と岩手県の「千草」で修業し、仙台でも有数の行列店になったという、東北代表みたいな店。親鶏の旨みだけを丁寧に煮出したスープが楽しめ、思わず一気に飲み干してしまう。「千草」にも共通点を感じつつ、滑らかな麺の食感も相まって独自の世界をしっかりと築いている。もちろんチャーシューも鶏肉を使い、味の一体感と食感のアクセントが楽しめる。ラーメンはもちろんサイドメニューに至るまで手間があちこちにかけられている。3種類のご飯をそれぞれの炊飯器で調理していた。この日食べた「鶏飯」も鶏スープで炊いたご飯に鶏肉が抜群の調和。行列必至だが、仙台に行くなら、鶏のラーメンが好きなら食べ逃してほしくない一杯。(山本剛志)【ラーマガ009号より転載編集】
中華そば 嘉一
宮城県仙台市青葉区国分町3-8-12
市営地下鉄線「勾当台公園」駅から徒歩6分
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【成龍@加茂】
「中華そば(油入り)」750円
2012年に開店したこちらは、新潟の名店「杭州飯店」で10年修行したというご主人が独立したお店。メニューは中華そば、ネギ中華、チャーシューメン、餃子などで、杭州飯店に比べるとシンプル。中華そばは「油入り、油少め、油ぬき」の調整ができる。
銀色の丼の見た目にいきなり驚く。たっぷりかけられた背脂のインパクトが、舌だけでなく胃袋にもインパクトを与える。油の層の下には、澄んで煮干しをギンギンに効かせた醤油色のスープ。杭州飯店よりやや細いとはいえ、うどんを思うほどの極太麺。その滑らかな表面にスープをまとって油を拾い上げ、強烈なインパクト。最後まで熱さをキープする銀の丼の効果もある。修業先とは違いがありつつ、魅力は決して負けていない。(山本剛志)【ラーマガ077号より転載編集】
成龍
新潟県加茂市柳町2-4-20
JR信越線「加茂」駅から徒歩15分
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【好和亭@春日井】
「快老麺」(700円)
名古屋の地ラーメンとして知られる「好来系」。その総本家である「好来道場」で修業し2013年に独立。今回注文した「快老麺」は「好来道場」で考案された新作。基本の「松」よりチャーシューが減る分、丼を覆う大きさのとろろ昆布と海苔が加わる。麺を引き上げるととろろ昆布が絡みつき、スープにとろみが加わる様子が楽しめる。昆布が好きならハマるはず。スープは「薬膳系」とも称される、好来系特有のまろやかな滋味が広がるもの。飲めば飲むほどに、胃がスッキリするように感じられる。卓上の「高麗人参酢」も独特の爽快感がある。東京では食べられないが名古屋では普通に食べられる、地ラーメンの新鋭店ができている事に嬉しくなった。(山本剛志)【ラーマガ020号より転載編集】
らーめん 好和亭
愛知県春日井市貴船町17
JR「春日井」駅から徒歩8分
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【和風とんこつ かしや@玉出】
「和風とんこつ」750円
商店街から一本入った、目立たない場所にある店なのに、平日昼から満席の人気ぶり。「和風とんこつ」でまず驚くのは、泡立ったスープの見た目。細かい泡に醤油の茶色も混ざり、カフェオレを泡立てたような個性的なビジュアル。モチモチだがしっかりした食感の平打縮れ麺を引き上げて啜れば、舌触りが滑らかな泡が絡みついてくる。泡の下には、鰹節などの存在感も楽しめる滑らかな魚介豚骨スープ。魚介も豚骨もしっかり感じられつつ、どちらも主張しすぎない味になっていて、双方の味を楽しみながら食べ終える事ができた。
「濃厚とんこつ」「魚ダシ」といった、それぞれの味を楽しめるラーメンも気になる。(山本剛志)【ラーマガ041号より転載編集】
和風とんこつ かしや
大阪府大阪市西成区玉出中2-4-21
地下鉄「玉出」、南海線「玉出岸里」駅から徒歩3分
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【陽気@江波】
「中華そば」600円
広島を代表する老舗にして名店。メニューは「中華そば」だけで、飲み物もない。ニンニク入りも可能だが、今回は「一杯」とだけ注文。豚骨をメインにしつつ、鶏ガラや野菜の存在感もしっかりと感じるスープ。こってりに感じる口当たりが徐々にすっきりしていく。力強い中太麺も、肉質のよいチャーシューもいいが、一口食べて「あ、これ美味しい!」と思わせるモヤシの味付けは見事。それぞれの個性を際立たせながら、ラーメンとしての調和を取っている。
代替わりしても味を丁寧に守るこの店の為に、全国から広島まで足を運ぶ価値は十分にあると思う。(山本剛志)【ラーマガ061号より転載編集】
中華そば 陽気
広島県広島市中区江波南3-4-1
広島電鉄「江波」停留所から徒歩10分
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【ひかり食堂@伊予土居】
「中華そば」650円
以前の遠征では品切れ閉店だったこの店に開店前に並んで入店。ご主人は香川の名店「はまんど」の常連だった方らしい。鶏と魚介系素材をふんだんに使い、椎茸由来に感じる旨みもあり、塩角を感じないまろやかな味わいのスープ。イリコのシャープな酸味も感じよく、じんわりと広がる旨みを楽しめる。しっかり茹でた中細麺がスープを丁寧に纏ってくれて一気に完食。同行者の「塩そば」は、塩ダレに鯛、ホタテ、昆布を使用。それぞれの香りがスープに調和。共通に見えるスープだが、中華そばとも異なる後味に驚かされた。
鶏白湯ベースの「魚介醤油」「鶏塩そば」もあり、交通の便が良くなくて昼営業のみだが、機会を作って食べてみてほしい店。(山本剛志)【ラーマガ082号より転載編集】
麺処 ひかり食堂
愛媛県四国中央市土居町天満1618
JR予讃線「伊予土居」駅から徒歩35分
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【天天有@加治木】
「ラーメン中」600円
鹿児島市から東に進んだ、加治木駅から遠くない一角に店を構える、創業半世紀を越える老舗。開店時は並んでいなかったが、注文したラーメンを待っている間に一気に満席。
黒豚の豚頭を使った白濁スープには、とろみと甘さが感じられる。タレは、椎茸・鯖節・落花生・ニンニクを使い、チャーシューの煮汁を加えているとの事。自然な旨みがありながら後味がすっきりして、化学調味料を使わない味づくりは見事。自家製の中太麺は軽く縮れ、しっかりしたコシを感じ取れるもの。シャキシャキした細モヤシや青ネギがスープに慣れた舌をリフレッシュ。
卓上に置かれた味噌をスープに入れれば味変もできる。味噌の味と香りを感じながらスープの味を消さず、豚骨味噌ラーメンとしてまとまりのある一杯になっている。老舗ながら新しさも感じる一杯。(山本剛志)【ラーマガ092号より転載編集】
らーめん 天天有
鹿児島県姶良市加治木町本町48
JR日豊本線「加治木」駅から徒歩10分
□拉麺人インタビュー
『自分には何一つ出来る事がないと気付いた』
山田晶仁 <博多一双 店主>①
一杯のラーメンに込められた熱い想い。三人が今会いたいラーメン店主さんやラーメン業界の人々に会いに行き、お話を伺う「拉麺人インタビュー」。毎月一人の「拉麺人」へのインタビューを3部に分けてお届けします。7月は福岡で今勢いのある若手ラーメン職人、「博多一双」店主、山田晶仁さんにお話を伺います。第1回はラーメン屋を志して修業時代まで。聞き手は山路力也です。
山田晶仁:1986年福岡県福岡市生まれ。18歳の時にラーメンの世界を志し「博多一幸舎」で長年修業を積む。2012年、弟と共に独立し「博多一双」を創業。2014年には初の支店を中洲にオープンし、2016年には初のセカンドブランド「麺屋若武」を立ち上げるなど、今福岡のラーメンシーンで最も勢いがある若手ラーメン職人。
◆弟の面倒を誰がみる?◆
-山田さんは福岡で生まれて福岡で育って。
『そうです。西区の姪浜というところで生まれました。』
-えーと、1986年生まれということは…。今30歳ですか。
『10月が来たら30歳なので、まだ29歳ですね。』
-若ぇ…(笑)。で、そんな山田さんは子供の頃はどんな子供だったんでしょう?
『取り敢えず勉強とかは全然出来なくて(笑)。まぁ遊んでばかりですよね(笑)。中学になると学校もあまり行かなくなって。』
-学校に行かなくなったというのは、内向的ないわゆる引きこもり的な事だったのか、それともアクティヴというか、まぁ要は悪いヤツだったのかという事なんですけれども(笑)。
『あー、悪いヤツでした(笑)。でも飛び抜けた悪さをするってわけでもなくて、同じような友達と学校にも行かずにダラダラしてるみたいな。何もする気が起きないというか、無気力とでも言いますか。』
-不良にもなり切れず。
『これがやりたい、ってものが何一つなかったんですよね。』
-そんな山田少年が最初にやりたい、なりたいって思った事は何ですか?
『中学生の時に、将来は「グレーな仕事」がやりたいと思いまして(笑)。』
-グレーな仕事?
『世代的に「ミナミの帝王」とかが流行っててですね(笑)。』
-そういうグレーか!(笑)
『そこで中学の時に、将来の夢はヤミ金とかそういうグレーな仕事に就きたいと決めまして(笑)。』
-やだー、そんな子供やだー(笑)
『そんな感じで高校時代も過ごすんですよ。部活は一応ラグビー部に入ったんですが、そんなに一生懸命もやらず。将来俺はどうせグレーな世界に行くんだから、と高3まではそんな風にダラダラ生きてたんです。』
-高3までは。
『はい。そうしたら高3の時に母が大病になって死にそうになったんです。家は母子家庭だったんですけれど、母が入院してもう無理かもしれないと言われた時に、弟の事を考えたんですよね。』
-今一緒に会社をやられている弟さん。おいくつ離れているんでしたっけ。
『僕の4つ下です。ですからその時はまだ中学生で。もし母親がいなくなってしまったら、弟の面倒を誰がみるんだ?と。そう考えたら自分の将来の事がむちゃくちゃ怖くなったんですよ。自分を見つめ直してみると、自分って何も無いな、ということに気付いたんです。』
-あぁ、なるほど。
『勉強もしてないし、部活も頑張ってないし、俺の手元には何一つ残ってないなと。そんなんじゃいかんやろ、と将来の事を考え直すことにしたんです。』
◆ラーメン屋になればお金が稼げる◆
-良かった、グレーな仕事に行かなくて(笑)。
『そんな時にテレビを見ていたら、どこのラーメン屋さんかはもう忘れてしまったんですが、とにかくラーメン屋の社長さんが出て来たんですよ。そこで「俺も昔は悪かったけど、気合いと根性で成功したぜ」みたいな事を話されていて、分厚い財布にお金がいっぱい入っているのを見せたんですよね(笑)。』
-あー(笑)。
『この人は若い頃は悪かったけど成功出来た。自分も頑張ればお金持ちになれるんじゃないか?と思ってラーメン屋さんになろうと決めました。ですから最初の動機は不純なんですよね。お金が欲しいっていうだけで。』
-お金が欲しいというのは全然不純な動機ではないですよ。それに山田さんの場合は弟さんを面倒みなければ、という責任感からでしょうしね。
『最初はラーメンが好きとかよりもお金を稼ぎたい。それだけの思いで修業に入りました。』
-福岡で生まれて育ったなら、もちろんラーメンそのものは大好きだったんですよね?
『そりゃ好きでした。元祖(長浜屋)なんかも良く行ってましたし、もちろん一風堂さん、一蘭さんも行ってました。僕、嫌いなラーメン屋さんって無いんですよ。ラーメン自体が好き過ぎて、どこを食べてもその店の美味しいところを見つける自信があるんです(笑)。』
-あぁ、いいですね。
『家の近所にあった小さな個人のラーメン屋さんにも良く行きました。家が貧しかったんで、500円でラーメンもご飯も食べられる、そういうラーメン屋さんって嬉しかったんですよね。』
-それでどうやって修業に入るんですか?
『取り敢えず家の近くのラーメン屋さんでバイトして。それは当面のお金が目的で、お給料が出たらラーメン屋さんの食べ歩きをして、本当に修業するところを見つけようと。しっかり学ぶのは自分が好きで自分が働きたいっていうお店でやりたかったんです。』
-なるほど。
『そんな時にキャナルシティのラーメンスタジアムにある「博多一幸舎」へ行って。まだ一幸舎が2店舗の頃でしたけれど、一口食べて「うわー!美味い!俺これ好きや!」って思って。それで何度か足を運んで、ここで働かせて貰おうって決めました。』
-そう決めるまでに何軒ほど食べ歩いたんですか?
『いやもう市内はほとんど行ったんじゃないですか。50軒とか100軒とかは普通に。行ったお店の感想は全部ノートに書き溜めていて、どこが好きだったとか書いて。でもとにかくラーメンが好きですし、どこのお店も美味しいと思ってしまうんで、正直途中でどこで修業したらいいか分からなくなったんです(笑)。』
-それで一幸舎に決めた理由って何なんですか?
『もちろんラーメンの美味しさもさることながら、従業員さんが皆若かったんですよ。若い人たちばかりでこんな美味いもんを作れるったいね、という部分も大きかったですね。他のお店だと30代より上の方が多く働いていたりして、でも一幸舎は10代のスタッフさんも元気で笑顔で働いていたのが魅力的に映りました。』
-山田さん自身が10代だし。
『ラーメン屋さんでバイトしていて、とにかく声を出したりするのが恥ずかしかったんですよ。でも周りが皆同世代でこういう雰囲気なら、自分も恥ずかしがらずに仕事が出来るんじゃないかなと思いました。それでアルバイトでまずはお店に入れて頂きました。』
◆悔しさのあまり初めて泣いた◆
-一幸舎で働き始めて、最初はどうでしたか?若い人が多いとはいえ緊張したでしょう?
『まずはバイトで雇ってもらう電話からですよね。「自分は将来ラーメン屋さんとして独立したいのですが、働かせてくれますか?」と聞いて。「もちろんです!」と快く受け入れて下さったんですよね。』
-おぉ、いいですね。
『それでアルバイトが始まって、皆元気で笑顔で楽しくて、働いているのが楽しかったんですよね。でも、3ヶ月くらい経ったある日、朝お店に行ったら大将の吉村から「もうタイムカード押さんでいいよ」って言われて。「え?」って聞いたら「今日からお前社員にしてやる」って言われたんですよ。』
-なんと!
『ホールの仕事も上手く出来なくて、同じバイトの歳下の女の子に怒られてるような僕だったんで、社員なんかにして貰えるとは思ってなかったのでビックリしましたね。でも社員にならないとラーメン作りは教えて貰えないし、自分はラーメンを作りたかったんで、とても嬉しかったですね。』
-そうですよね。
『でも社員になってからは本当に大変でした。バイト時代とは扱いもやる仕事もまったく違う。ラーメン作りも一から教えて頂くようになりましたが、同時に大将も一気に鬼になりました(笑)。』
-まぁそりゃそうだ(笑)。吉村さんはどう鬼に変わりましたか。
『バイト時代でもそうですが、元々仕事に対しては厳しい方なんです。そこにプラスしてラーメンを触るという責任と、バイトなどを指導する仕事や、お店を運営していく責任や仕事が僕に増えるわけですよね。それを僕が中々出来なかったのもあって、その都度その都度厳しく怒られました。』
-ホールのアルバイトとは責任の度合いが違いますもんね。
『「なんで出来んのじゃ!」と毎日言われる中で、出来ない自分が悔しくて。でも、その毎日の積み重ねがあったからこそ、今の自分がありますし、大切な事をたくさん教えて頂いた時期だったと思います。』
-その時に辞めたいとは思わなかったですか。
『辞めたいってのは一度もなかったですね。ただただ悔しくて、出来るようになろうって思いだけで。自分の上にも社員さんがおるじゃないですか。この人たちに自分は負けているんだ、なんで自分だけ出来ないんだ、っていう悔しさしかなかったです。』
-あぁ、分かります。
『あまりにも悔しくて、ある時泣いてしまったんです。僕は今までそういう事で泣いた事ってないんですよ。でもその時は仕事が出来ない不甲斐なさで涙が出てしまったんです。そうしたら、プライドが消えたのか分からないんですけれど、とてもスッキリとした自分がいて、そこから一気に仕事が覚えられるようになったんです。』
-どこか無になり切れてない自分がいたんですかね。
『きっとそうなんだと思います。自分でもビックリするくらいにそこから変われて。今でも大将に会うと言われるんですよ「お前、あの時どうして泣いたと?」って(笑)。「お前が泣くとは思わんかったからビックリした」って言われますね。』(次号に続く)
博多一双 博多駅東本店
福岡県福岡市博多区博多駅東3-1-6
JR線・市営地下鉄線「博多」駅から徒歩6分
■復活!異論激論!
今回のお題『温故知新』
ラーメンにまつわる一つのテーマについて、三人それぞれの主張や考えをぶつけあう人気企画「異論激論」が100号を記念して復活!。今回は、新しいラーメンが次々と登場する今のラーメンシーンにおいて「温故知新」というテーマで、三人がそれぞれ思ったことを語ります。
北島秀一
先日本棚を整理していたら、「ラーメンの本(大門八郎著 1975年刊)」が出て来た。今から39年前の本で、むろん私も古本で入手。既に数回読んでいるが、また改めて読んでみた。
いわゆるムック本ではなくやや細長い変形新書版で、内容には写真は一枚も無し。全てモノクロで、テキスト本文以外にはお店のイラストマップのみ。内容は、半分は札幌や東京を中心としたラーメン店の紹介、残りの半分は自宅でラーメンを作ったりインスタントラーメンをアレンジして楽しむ方法を紹介している。
改めて読むと面白いなあ。以前から常々「写真に頼らず文章でラーメンの楽しさを伝えたい」「短い文章でスパっと表現したい」などと思っている自分にとっては、まさにその原点のような内容だ。必ずしも細々と味には触れず、お店の雰囲気や店主の人柄にも触れてシンプルに「ああ食べてみたいな」と言う気持ちを掘り起こしてくれる。
時代的には昭和50年発刊。昭和30年代半ばに登場した札幌味噌ラーメンが40年代前半には首都圏で大ブームになり、更に全国に広まった真っ最中に食べ歩いたであろう情報だけに、特に札幌味噌への記述は力が入っている。また、当時まだ多様化は始まっておらず、基本的には醤油清湯がほとんどだった都内のラーメン店数十軒をきちんと書き分けているのもまた凄い。更に言うなら、インターネットはもちろん携帯やスマホの影や形も無く、FAXすらやっと企業で普及が始まったかどうかと言う時代にどう情報を集めたのか……。
ラーメンへの愛がぎゅっと濃縮された一文一文を読みながら、「でも多分それが当たり前で、苦労とか思わず楽しかったんだろうなあ」などと先人の食べ歩きに思いをはせつつ何度目かの読破。改めて本当に勉強になった。今後も、もし何かに迷う事があればこの本を読んでみるとしよう。(ラーマガ026号より転載)
私が「トーキョーノスタルジックラーメン」という本を書こうと思ったきっかけは、年々新しい味やコンセプトのラーメン店が登場する中で、昔から愛されている老舗のラーメンも今一度見つめ直してみよう、というまさに「温故知新」の提案であった。
テレビや雑誌などで長年ラーメン情報を発信する仕事をしていると、世の中のニーズが間違いなく最新のラーメンや珍しいラーメンにあることは分かっている。しかし、ラーメン評論家としてラーメン文化を伝える役割を少しでも担うとするならば、ただただ新しい店ばかり追いかけているのでは意味がないと考えているのだ。
ラーメンという文化が日本で生まれて百年余。他の食文化と比較した時にこの歴史は明らかに浅い。他の食文化は長い歴史の中で伝統を重んじ継承する中で確立された側面があり、ラーメンにもその考察や観点が必要であると思うのだ。長年愛されて来たラーメンと今向き合うことで見えてくるものが必ずあり、残していかねばならない大切なものが見えてくる。
新しいラーメンももちろんラーメン文化が発展していく上で必要だ。しかし同時に古くから愛されているラーメンも重要であろう。一杯の丼の中にその人の人生やその土地の文化が詰まっていると言っても過言ではない。「温故知新」という概念は、私のラーメンライフにとって不可欠なものなのだ。
山本剛志
ラーメンがブームになったのは「ご当地ラーメン」の存在が大きい。各地方で全く異なるスタイルのラーメンが食べられる。それは決して、奇をてらったりブームを狙ったものではない。それぞれの土地の食をはじめとした生活文化や、歴史が丼に注ぎ込まれている。
21世紀に入って、豚骨魚介スープ、濃厚つけ麺、鶏白湯ラーメン、家系ラーメンなど、東京で流行したラーメンが一気に全国へ広まってしまう。もちろん、誰が食べても美味しいと思ってもらえるラーメンが、全国で食べられるのであれば文句を言う筋合いはない。しかし、個性豊かな「ご当地ラーメン」が消えてしまうのであれば残念な事でもある。
インターネットが当たり前のインフラになり、ラーメンも画像も簡単にみられる。そんな時代では、東京で流行っているという理由だけで、作り手も食べ手も一つの方向になびいてしまうのは責められないが、ラーメンの多様性を楽しみ、それを伝えたいと考えている私にとっても悲しい。
だからこそ、私はラーメンの歴史を探究する。それぞれのラーメンには歴史がある。その歴史を紐解く事で、ラーメンの作り手と食べ手に新しい感動を与えられるのではないかと思う。
私もラーメンの食べ歩きを始めてまだ16年。古いラーメン本を読むと、食べられなかった老舗が出てきて、「食べたいなぁ」という思いにとらわれる。味わう事が出来ないラーメンへの思いも、新しいラーメンへの好奇心に繋がると信じています。
□告知/スケジュール
【NAKED #033】
真鯛らーめん 麺魚(東京都墨田区錦糸1-2-47/JR線・東京メトロ線「錦糸町」駅より徒歩5分)
「金目鯛かけらーめん」700円
販売期間:6月15日(水)〜7月15日(金)
※一日15食限定メニュー
※売り切れの場合はご容赦下さい。
※ラーマガ有料会員ではなくても注文が可能です。
ラーメン評論家が本気で発信するラーメン情報マガジン「ラーマガ」は、月3回(毎月10日、20日、30日)定期的に配信していきます。第101号は7月20日頃の発行を予定しております。どうぞお楽しみに!
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■編集後記
毎月毎月出してきて気がつけば100号というのが正直な気持ちです。あっという間だったような気もしますし、長かったようにも思います。毎号、北島さんの過去のレビューやコラムから再掲する時に、生き生きとした彼の文章を読み返してみると、何だか今も北島さんが元気でラーメンを食べ歩いているような気がします。「ラーマガ」はこれからも北島、山路、山本の3人で責任編集していくウェブマガジンです。これからもどうぞよろしくお願いします。(山路力也)
「ラーマガ」は月3回の発行なので、「33と1/3」ヶ月という事になる。この数字で40代以上の人間が思い出すのは「LPレコードの回転数」。CDやダウンロードの音楽と違い、アナログレコードから出る音はその時の空気も一緒に響かせているように思える。ラーメンで考えれば、使う食材などのデータだけでなく、その店の空気感といった所か。それをアナログレコードのように伝えたい。そんな事を、101号以降のラーマガでもできたらいいな、と考えています。今後ともよろしくお願いします。(山本剛志)
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