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いきなりの体質変化
それはハタチを過ぎた頃から私の身に襲い掛かりました。
今までは本当に普通に生活していたのに、ある日自分の脇から異様な臭いがすることに気付きはじめたのです。
当時は短大に通う学生でした。
お洒落も楽しいし、友達とも遊びに出掛けたり、彼氏もいて華の女子大生を満喫していた頃。
ある日実家で、自分の着ていたTシャツを洗濯物に出そうとしてふと何かツーンとした臭いに気が付きました。
脇の部分の臭いを嗅いでみると、酸っぱいような臭いがしたんです。
「汗をかいていたからかな」、とその日は特に気にしていませんでした。
でも、心の中には何となく嫌な予感がひしひしと……。
その日から自分の着た洋服を洗濯物に出す前にチェックするようにしていました。
次の日は昨日のような臭いは特になくて、
「やっぱりたまたまだったんだ」
と思っていました。
汗も多かったし、体調もあったのかもしれません。
そんな感じで最初の頃は半信半疑自分の臭いに関して気を使うけど、まさかワキガだなんて思ってもいない状態でした。
自分がワキガなのかと思った瞬間
季節が秋になり、冬になってくると私にとってショックな事が起こりました。
今までは暑い季節で、汗もかいていたし、脇も頻繁に拭いていたので、日中自分の臭いがそこまで気になることはありませんでした。
相変わらず夜洗濯物を出す時にチェックし、たまに母に
「何か洗濯物がすごく臭うわね」
と言われても私じゃないよという感じで知らんぷりをしていました。
ところがだんだんと寒くなってきた頃、学校の授業中に室内の暖房で暑くなってしまった私は着ていたセーターを脱ぎ、シャツになって授業を受けていました。
すると周りが少しザワザワとした感じで
「何か臭くない?」
と言い始めました。
夏よりも冬の暖房でじっとりとした汗をかいてしまった私の脇は、今まで感じたことがないぐらいにツーンと臭いを放つようになってしまったのです。
そっと脇を触ってみて、こっそりその臭いを嗅ぐと、まさにあの洗濯物で感じたあの不快な臭いでした。
暖かい室内は閉め切っていて、臭いは充満すると思います。
私は本当にそこから逃げ出したくて泣きそうになりながらも、何とか自分ではないと思ってもらいたくてずっと脇を閉めた姿勢で授業を聞いていました。
授業が終わると一目散にトイレに駆け込み、シャツを脱ぎ自分で自分の脇の臭いを嗅いでみて、本当に落胆しました。
その時初めて
「これってもしかして、私ワキガなんじゃないかな」
と呆然としていたことを覚えています。
その日は学校を早退し、すぐに家に帰り、ネットを使ってワキガについて調べました。
基本的には両親どちらかがワキガだと子供もワキガになる確率が高いと書いてありました。
でも両親がワキガだとは思えません。
一度もそんなこと思ったこともないし、臭いについて感じたこともなかったからです。
しかも私には弟もいるのですが、弟もワキガだとは思えません。
家族に話すのも恥ずかしくて、結局一人でそのコンプレックスを抱え込むようになりました。
友達もだんだんといなくなり……
私のワキガは20歳頃から急に気になりだしました。
それまでは全然臭うなんてこと思ったりしたことなかったのですが、一度臭いが気になり出すと、どんどん臭いは強くなっていくように感じられました。
ホルモンのバランスなのか、20歳過ぎてから症状が出てきたようです。
それからは毎日が自分の臭いとの戦いでした。
朝起きた瞬間から、脇の下の汗を抑えるスプレーを大量につけ、塗り込むことで菌を増殖させないクリームをつけ、常にウエットティッシュを持って、いつもいつも脇の下を拭いていました。
学校の休み時間になると毎回トイレにこもり、入念に脇の下を拭きます。
その後にクリームを塗りこむという工程を繰り返していました。
薬局に行っては、臭いに効果がありそうなものは片っ端から試し、お金も相当かけたと思います。
でも、やっぱり抑えきれるものではありませんでした。
さっきトイレに行ったばっかりなのに、ひどい時はすぐにも臭いだしてしまって友達との会話も全く頭に入らない状態が続いていました。
そして、だんだんと周りの友達は気がつき始めました。
私に直接何かを言ってくる人はいなかったのですが、みんなでお茶をしたり買い物に行くのにだんだんと誘われなくなりました。
今までは夏休みなどには何人かで海に遊びに行ったりしていたのに、誘われなくなり、9月新学期になるとみんなが夏休みに行った旅行の話を楽しげにしているのを、1人気がつかないふりをしていました。
学校終わりの買い物も、休みの日にも、私はだんだん遊びに誘われなくなりました。
学校終わりは真っ直ぐ帰るかバイトへ行くように。
友達にもどう思うか聞けないし、打ち明けることなく付き合っていたので、関係は徐々にぎくしゃくし、私と話していても本心はどう思っているんだろうと信用できなくなってしまっていました。