<提供元サイトで全文を読む>
摂食障害。拒食症、過食嘔吐......、食べることに悩んでいる人は、一度は耳にしたことがある言葉だと思います。
しかし、多くの女の子たちは自分がそんな病気になる可能性なんて、病気になるまで、これっぽっちも思っていないはず。
わたしもそうでした。
でも、多くの女の子が、人生で一度はダイエットをしたことがあると思います。実は、そのダイエットが、誰でも摂食障害という病気にしてしまう可能性があることを、知っていますか?
真面目で、努力家で、完璧主義で......自分に厳しい人ほど、知ってほしい。
そのままのあなたでも、愛してくれる人はいるんだよ、ということを。
ずっとぽっちゃりだった子ども時代
わたしは生まれた時からずっとぽっちゃりでした。今、小さなころの写真を見返してみると、当時自分自身が思っていたほど、太っていないなあ、と思います。
しかし、兄と弟がいて、2人からからかい半分で「ぶたー」「太ってる!」と言われてきたわたしは、自分が太っているのだと信じ込んでいました。
それに、小学校の女の子って、みんなだいたいマッチ棒みたいに細い子が多いですよよね?
そういう子たちと比べたら、確かにわたしはぽっちゃりでした。ぽっちゃりと言っても、普通体形、ぐらいなのですか......。
とにかく、わたしはいつも、自分が太っていることを気にしていました。でも、この時は特別、ダイエットという方向へ考えは向きませんでした。
母の言う、大人になったら痩せる、という言葉を無邪気に信じていたのもあったのかもしれません。
中学にあがり、全員が同じ制服に身を包むようになり、ますます周囲の目が気になってきました。
スカートから出ている自分の足の太さは、ほかの細い子より、明らかに太いからです。さらに、スカートも短めの丈がカッコいい、となっているのですから、スカートは短くしたいし......そうなると、嫌でも自分の太い太ももが目につきます。
しかし、わたしが進学した中学は進学校の女子校でした。これが、少し功を奏しました。
女子校というだけあって、いろいろな女の子が集まっています。とっても細い子から、かなり体が大きな子まで。
そしてもちろん、体型がすべてではありません。痩せていても性格が悪い子もいたし、太っていても人気者の子もいます。
いろいろな種類の女の子たちの中に紛れて、わたしは自分が痩せているとは決して思わなかったですが(むしろ、太っていることに悩んでいましたが)それほど自分の体型に執着することはありませんでした。
ほかに、やらなければいけないことがたくさんあったから、というのもあります。
進学校だったから、学校の勉強についていくために日々勉強は一生懸命やらないとついていけないし、ほかにも、学校行事で朝練があったり、放課後は部活動で忙しかったり。
あとは、学校に異性がいなかったことも、自らの体型に執着せずに済んだ理由かもしれません。
痩せたいなあと思いながら、実際していたことと言えば、ちょっと間食の量を減らすくらいでした。それでも、十分満足して、毎日友達とおしゃべりして、勉強をして、部活をして、充実した日々を送っていました。
夢の大学生活! 恋人がほしい! 初めて好きになった人
そんな中高時代を過ごして、わたしはついに、大学生になりました。
第一志望に無事合格して、夢にまで見た憧れのキャンパスで楽しい毎日を送る日々。当時のわたしは、大学生になれば、みんな彼氏ができるもの、と思い込んでいました。
なので、きっとあっという間にサークル、バイト、授業、恋人とのデートと忙しくなるだろう、とわたしはすっかり妄想にふけこんでいました。 ......まあ、当然、そんなとんとん拍子にいくわけがなく。(笑)
結論から言うと、わたしは大学4年間で一度も彼氏ができませんでした。
彼氏がほしいどころではなくなってしまったんです。
あることが起きて、それからは、少しずつ、生活が破たんしていき、最終的には、家から一歩外に出ることさえできなくなりそうだったんです。あとでくわしく書きますが、本当に、生きていること自体がつらい日々でした。
わたしの大学4年間を苦しめる引き金となったのは、大学1年生のころにはじめた、アルバイトでした。
大学生活が始まると、わたしの家ではお小遣いがもらえない決まりでした。
兄も姉もそうしてきたので、わたしも文句を言えるはずもなく。携帯料金、友だちとの交際費を手に入れるためにも、わたしのバイト探しが始まりました。
幸い、名の知れた大学に通っていたので、数名の生徒の家庭教師ができることになりました。
しかし、家庭教師はいくら時給が良くても、1人当たりたいてい週に1回授業する程度。当然、たくさん稼ぐことはできません。
そこで、大学生活と家庭教師のアルバイトの生活にも慣れ始めたころ、家庭教師のない曜日は、別のアルバイトをしたいな、思うようになりました。
しかし、家の近くや大学の近くで、アルバイト先を探してはみるものの、面接に行っては落ちる日々。
そんなとき偶然、小学校時代の親友が、家の近くのドラッグストアでアルバイトをしていることを知りました。
その子に、バイトを探していることを相談すると、なんと、その子(Aちゃん)はバイト先の店長に直接かけあってくれたんです。
おかげで、コネ入社?(笑)ではありませんが、そのドラッグストアでアルバイトできることがすんなり決まりました。
決まった当初は、わたしは親友もいるお店で働けるなんて、嬉しくて仕方ありませんでした。
実際、バイトをしてみても、きついことは何ひとつありませんでした。業務内容もハードすぎることもなく、パートの人も、社員の人も、みんな良い人で、店長も面白い人。しかも、親友までいるんです。
わたしは空いている日はどんどん、そこのドラッグストアのアルバイトのシフトを入れるようになりました。
そんな日々の中で、ついにわたしに好きな人ができました。
大学の中では、わたしのことを好きになってくれる人が現れることはあったものの、自分で誰かを好きになったことがなく......つまらないなあと思っていた矢先のことだったので、あっという間にわたしはその恋に夢中になりました。
わたしが好きになった人は、バイト先の先輩、わたしより3つ年上のK先輩でした。
他大学に通っていて、就職活動をするか、院に進むか、悩んでいました。Aちゃんは浪人中だったので、わたしとK先輩だけが、実質バイト仲間で大学生でした。
仕事のできるK先輩に、わたしはあっという間に惹かれていきました。
わたしとK先輩の2人でシフトに入っている時など、趣味の話や大学の話で盛り上がり、社員の人におしゃべりを注意されてしまうくらい、仲が良かったんです。
生まれて初めて、異性とこれほど仲良くなって、話も合って、しかもその相手が仕事のできる先輩で......わたしは毎日でもK先輩に会いたくて、これまで以上にドラッグストアのシフトを入れるようになりました。
もちろん、シフトを入れてもB先輩と会わない日もあります。でも、K先輩がいない日はたいてい、Aちゃんとシフトが重なっていました。
わたしは初めてといってもいい恋に浮かれてしまい、誰かに話したくて仕方がなかったので、そんな日はAちゃんに、いかにK先輩がかっこいいか、のろけていました。
こないだはこんな言葉を言ってもらえた、こんなふうに助けてくれた、など、今考えれば、そんなこと話さなければよかったのですが......とにかく、逐一、Aちゃんに報告していたんです。
Aちゃんは、そんなわたしの話を少々呆れた顔で、でも、きちんと聞いてくれました。聞いてくれたあと、Aちゃんは決まってわたしにこう言いました。
「私ちゃんはほんとに、K先輩が好きだね、K先輩が好きなんて、ちょっとB専なんじゃないの?」
わたしは、そんなことないもん、と笑顔で言い返していた、と思います。とにかく、Aちゃんのこの言葉に安心しきっていたんです。