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そもそも「愛着」って何?
愛着とは、親との間に強い情緒的な絆を結ぶことで、子供の内面において安全感や安心感を回復させて、それを維持しようとする心理的な行動傾向のことを指します。
例えば、親に向けて微笑んだり、声を出したり、泣いたりなど、親の注意を引くような行動が愛着行動にあたります。
養育者の世話がないと生きられない乳幼児は、この愛着の働きによって養育者からの世話を引き出して自らの命を守っています。
悩みごとを親しい人に相談して気持ちが軽くなったとき、これは愛着の働きに促された行動です。
愛着が働いている人ほど、人と繋がることが容易で、自己肯定感が安定し、何かに取り組むときに意欲が湧き出てきます。
反対に、愛着の働きに問題がある人ほど、人間関係で悩みを持ちやすく、自己評価が低く、意欲を失って抑うつ的になりやすい傾向があるのです。
愛着トラウマについてよくわかる「能面の実験」
能面の実験(still-face experiment)と呼ばれる愛着に関する研究がありました。 それはEdward Tronickらの研究チームによる実験(Hesse & Main,2006)です。
その実験では、子どもに対面した親が顔を無表情にします。
すると、子どもはそれに怯えたり、困惑したりするのです。そして、最終的に、体を支えられずにグッタリとして抑うつ的になり、親に対して愛着反応を示さなくなりました。
この実験が示していることは、親が子どもの愛着行動に応答しないことで、子どもの愛着が解離されるという現象です。
NICOLY:)豆知識 「解離」とは?
解離とは、感覚がぼやけたり、記憶を失ったりすることで、その時の苦痛を麻痺させる反応のこと。ふと気づいたら時間が飛んでいた、怪我をしても痛くなかった、自分を外から眺めていたなど、解離の現れ方は様々です。
親が子どもの愛着に応えないことが、愛着トラウマの原因
ある体験をしたときに、解離が起こってしまうと、その体験はトラウマ化します。
能面の実験は、親が子どもの愛着に応えないでいると、愛着トラウマが生まれることを示しています。
例えば、理屈ばかりで話す親や、子どもに関心を持たない親、自分の考えを押し付ける親などに育てられた子どもは、愛着トラウマを抱える可能性が高いです。
そんな親は世間でよくみかけるでしょう。それは、一時的であればさほど問題にはなりません。
でも、日常生活で頻繁に繰り返されると、 そのときの体験が愛着トラウマとして心の傷になるのです。
愛着トラウマを抱えるとどうなるの?
体験がトラウマ化すると、ストレス体験時の感覚や記憶は、適切に処理されずに、そのままの形で脳や身体に保存されます。
普段は意識しなくても、その体験を刺激するきっかけに出会うと、そのときの出来事をまるで今起こっているかのように再体験します。
では、愛着トラウマを持った子供が大人になって、親に似た相手に出会ったらどうなるでしょう。
例えば、それは学校の先生や職場の上司であるかもしれません。
愛着トラウマを持った人は、親に似た相手と出会うと、なぜか怯えたり、体が固まったりしてしまいます。
自分の気持ちが見えなくなって、親しいはずの相手なのに、その人を避けたり、遠慮したり、億劫さを感じたりして、人間関係に悩むようになります。
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