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「あ、白髪!?」

初めて自分で白髪を見つけたのは32歳の時でした。

家系的に、父は60歳を超えてもあまり白髪が目立たないタイプでしたが、母は30代の頃から白髪に悩み始め、常に髪を染めていました。

60代に入ってからは白髪を受け入れたのか、染めることはせずに自然な髪色のまま過ごしていますが、若いころはそれなりに悩んでいたようでした。

私は太りやすいところやアレルギー体質など、父からの遺伝の割合が大きい体質だったのに、よりにもよって似たくないところだけ母の体質を受けついでしまった…...と、がっくり来たのを覚えています。

当時は発見した白髪は数が少なかったため、ピンセットで抜きとってそのまま会社やお稽古のために外出する毎日をすごしていました。

でも、これはほんの始まりに過ぎないことにすぐに気がつくことになります。

自分で見つけられた白髪は見える範囲のごくごく一部で、後頭部の髪の内側には知らないうちに白髪がたくさん生えていたのです。

美容師さんに言われた一言

私は茶道をしており、たまに着物を着てお茶席に出ることがあります。

普段は自分で着付けも神のセットもするのですが、初釜など改まったお茶席の場合は美容院できちんと髪をセットしてもらっていました。

いつものようにお茶会のために美容院で髪をセットしてもらっているとき、担当の美容師さんがさりげなさを装ってこう一言。

「このまま髪をアップにすると、右後頭部の下あたりの白髪が目立ってしまいますので、左の髪を右に持ってくる形でまとめますね」

と。

その時まで、後頭部に白髪が生えているなんて思ってもいなかったのです。

普段は髪を下しており、自分で合わせ鏡をして見ても、白髪が生えていることはわかりません。

幸か不幸か、白髪は後頭部の下半分に集中していたため、ロングヘアーで上の髪がかぶさっている限りは目立ちにくかったのです。

恐る恐る、美容師さんにこう聞きました。

「そんなに白髪が目立ちますか?自分で前から見た限りではわからないので」

美容師さんは気を使いながらも、

「髪を下している限りはわかりませんが、内側の白髪が固まって生えていますね。染めてもいいかもしれませんね」

と答えました。

とてもショックでした。

自分が知らないところで、もしかしたら他人からは丸見えだったのかもしれない……あの時は大丈夫だっただろうか、あの時は……と、居ても立っても居られない気分でした。



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