決勝は起家から、鈴木たろう・鈴木達也・山井弘・じゃいの並びで始まった。

東１局はドラがということもあり、各自が慎重な打ち回しの末に流局。

そして東２局１本場。じゃいが積極的にホンイツの仕掛けを入れてきた。




自風のをポンしてマンズに走るじゃい。実際の手牌がまとまるには時間もかかりそう。だから、その分捨て牌を派手にしないと相手に圧力がかからない。そのお手本のような仕掛けである。

だが、ここからのじゃいのツモが凄かった。と引いてあっという間にテンパイ。「ツモの波に乗る」という表現はまさにこういったツモを指すのだろう。直後にたろうにカン待ちのチャンタ三色のテンパイが入るが、待ちの多さでじゃいに凱歌があがった。


続く東３局。再びじゃいの手が早そうである。

そんななか、親の山井の手が次の形になる。




４巡目。打牌選択の難しい形である。ここで山井は打とした。、、というメンツになりにくい部分はそのまま維持し、残したに隣をくっつけてから好形テンパイを目指す、いわゆる「浮かせ打ち」である。ただ、次巡にを引いたため、２枚目のも続けて河に並べることになった。

その直後、南家・じゃいがリーチ。


じゃいの手牌
　ドラ

メンピンのみの手だがとにかく捨て牌状況が抜群にいい。特に山井の捨てた２枚のが効いている。


その山井が一発でを引く。山井には現物が手に２枚あったが、長期戦ならまだしも一発勝負の大事な親番で情報の少ないリーチにオリるわけにはいかない。をツモ切り。じゃいのアガリとなった。

裏ドラも乗って満貫となり、これでじゃいが一歩抜け出した。

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南１局１本場。まず達也がらしい一打を放つ。




ここでは打でヤミに構え、234の三色かイーペーコーの変化を待つ。あるいは打で２つのイーペーコーの変化を待つ人が多いのではないだろうか。だが、達也は打とした。スピードは落ちる（テンパイへの有効牌が減る）がタンヤオを加えて打点を高めようという意図である。

その後、テンパイが入るもなかなか納得のいく形にならず仮テンを維持していた達也。15巡目に次の形となる。


じゃいがメンホンのカンテンパイを入れていることも影響し、場はピンズが非常に安い。とりわけは場に３枚出ている。ここで達也は打点よりアガリをみて打のリーチをかけた。するとこのをすぐにじゃいが掴み、直撃に成功。



裏は乗らず2600は2900のアガリ。決して高くはないがトップ目からの直撃により接戦にさらに拍車がかかった。

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南２局。２番手に浮上した達也の親を蹴るべく、じゃいが２巡目からポンで動く。ただ、この局はラスめの南家・山井がチャンスを迎えていた。




高めで567の三色のリーチ。高めツモで裏を乗せればほぼトップに並ぶ。の出も早いので、は警戒されるスジで逆にはやや出やすいか？　ただ、そもそも捨て牌の並びが異常で、変則手はもちろん好配牌から普通の待ちもありそう。要は何が当たっても不思議ではないということだ。

これに対し、じゃいの手が詰まった。




山井の捨て牌は


ここでじゃいはノータイムで切り。ここでロンと言われるしれないが、通れば、早めの切りを頼りにのトイツ落としもしやすく、そこで２巡は凌げる。が、実はこれが山井の待ちだった。８巡目、じゃいからが出て山井がロンをかけた。

裏が乗って3900である。安目とはいえトップ目からの直撃。山井としては次善のアガリと思ったか。ただ、じゃいが放銃しないまま局が長引けば、山に４枚生きていたをツモって3000・6000になっていたかもしれない。放銃したじゃいもツモられるぐらいならこっちのほうがいい、と考えていただろう。

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全員が２万点台で迎えたラス前。４巡目にじゃいがカンをチーしてピンズに走った。だが、それを咎めるように達也がリーチ。




ドラのカン待ちである。だが、ここが勝負どころと踏んでいるのか、仕掛けたじゃいも、そしてタンピン三色イーシャンテンのたろうも退く様子はない。




達也の待ちも決して良いとはいえないので、終盤までもつれそうな感じである。だが、さきにじゃいがを掴んだ。達也の捨て牌にが通っているのですぐツモ切りしそうだったが、ドラと気付いたじゃいは慌ててひっこめた。だが、そんなじゃいに十分形のテンパイが入ってしまった。

たろうが捨てたをポンしてテンパイを入れるじゃい。ドラ単騎にすることもできたが、形の良さでドラを勝負した。


これで達也のアガリ。裏はなく2600となったが、これでトップめに立った。

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一番条件の厳しい山井でも満貫ツモで優勝となる僅差で迎えたオーラス。

じゃいの配牌は国士を狙えるほど酷いものだった。




だが、じゃいはを切り何とかアガれる形を目指していく。幸い、他も好配牌の者はいない。ツモ勝負の一局となった。

じゃい・達也ともに決め手となるイーシャンテンになった８巡目、山井の手が条件を満たすイーシャンテンになった。




肝のを引き入れ一通のイーシャンテン。マンズから引けば満貫確定のリーチをかけられる（で一通確定の場合は、ツモと達也からの直撃を狙ってヤミにする可能性もあるが）。逆に、を引いた場合は待ち選択が残る。

切りで高め一通にするか

切りで高めタンヤオにするか

これについて、対局後、観戦していた多井が山井に聞いたところ、

山井「たぶんを切ると思います」

という答えだった。いずれにせよ、このツモで実況席の緊張感も一気に高まった。

が、その直後、ついにじゃいがテンパった。




はそれぞれ場に１枚ずつ切れている絶好の待ちだ。枚数は少ないが、全員が前に出るこの局で、これを掴んで止められるものはいない。

だが、じゃいがリーチ一発目に持っていた。これをポンした達也にもテンパイが入る。




と、どちらが先か。

決着はすぐについた。じゃいがすぐにを掴み、達也の優勝となった。




これで達也は初めてファイナルの舞台に立つことになる。




達也「いつもたくさんのチャンスをいただいていたのに、自分が不甲斐なくてここ３年ぐらいファイナルに出られませんでした。その鬱憤を今回は晴らしたいと思います」