いよいよ目前に迫ってきた麻雀最強戦ファイナル。出場する選手の方に、直前の意気込みなどを語っていただいた!★まず、雀王獲得おめでとうございます! プロ入り何年目ですか?
木原「ありがとうございます。僕は日本プロ麻雀協会の1期生なので14年目です。Aリーグ入りしてからは9年目で、決定戦は3回目で優勝できました」
★今回の決定戦の解説をされた片山まさゆきさんが、木原さんは鈴木たろうプロをやっつけるためにかなり特殊な打ち方をされたということを伺いましたが?
木原「なるほど。まぁ、たろうをやっつけるためというわけではなくて、決定戦っていうのがかなり特殊なゲームだということを今まで認識していなくて、リーグ戦の延長気分で打っていました。ですが、やはり直接対決というのがかなり大きな要素。あと皆がトップを狙うというのが普通の麻雀の選択傾向とかなり違うと思いました。その2点に注目したら『もっと極端に打ってもいいんじゃないかな』と。今回は、以前に負けた反省と、色んな決定戦を見て良い部分を取り入れて、事前に戦略を練って、それがたまたま上手くいきました」
★「いいな」と思った戦略を具体的に教えていただけますか?
木原「とりあえずシナリオを3パターンぐらい用意しまして。平坦なときは前半10回戦までは、多少無茶苦茶でも全部トップを獲りに行くことを目指す。まあ、考え方としては東南戦で、東場と南場では戦い方が違いますよね。全20回戦中、前半の10回戦を東場と考え、全部トップを狙ってやるつもりで打ってました。で、南場(後半10回戦)に入って条件戦になってポイント差が開いてきたら、東南戦の南場のように『局進行を優先させる』か『加点を目指すか』とかそういうのを色々選択できたらいいなと思っていました」
★今回は差をつけての優勝でしたね。
木原「はい。長引いた局面もあったんですが、とりあえず一度も『ヤバいな』と思ったときはなかったです。ただ、視聴者の方は少しハラハラしたところもあったようです。最終日に24000とか放銃しちゃったりしたので」
★ちなみに、どうしてプロになろうと思ったのですか?
木原「これが全くお恥ずかしい話なのですが、あまりプロの世界に興味はなかったんですよ。で、当時、僕はベガという雀荘にお客さんとして通っていたんです。で、同じ雀荘で仲の良かったお客さんがプロ連盟の試験に受かったということを聞きまして。で、正直、『こいつでプロになれるんだったら、自分でもなれちゃうな』って思って。こいつ(友人)にデカい面させておけないな、と。で、自分も試験を受けたらたまたま一発合格して。それが動機です。なので、プロになってどうこうしたいというビジョンはありませんでした」
★結構、負けん気が強いタイプですか?
木原「そうですねぇ。やはり麻雀って自分が凄く付き合ってきたゲームなので、あまりこれで負けたくないという気持ちは強く持ってます。日常生活では、他に自信のある分野というのはないので、そのあたりはお気楽にやってます。他のゲームとかで負けてもそれほどアツくならないし」
★普段はどういうプロ活動をされているのですか?
木原「今は月額540円のブロマガの配信をしたり、麻雀の家庭教師をやっています」
木原「家庭教師は、天鳳の牌譜を使ってスカイプでやり取りする形で行っています。あとはMJを打ったり、コラムを書いたり、配信の解説に呼ばれたり、最近はマーチャオさんのゲストのお仕事も月に3~4回するようになりました」
★それまではずっと雀荘のお仕事をされていたんですよね?
木原「そうです。メンバーを15年ぐらいやってました」
★どうしてそこから今のお仕事にシフトされたのですか?
木原「ロッソという雀荘でマネージャーをやっていて経営関係にも携わっていて、その仕事は凄く楽しかったのですが、結局のところ勤め人である以上、誰かに雇われているという立場は免れない、それで一生終わるのって凄くつまらないな、と。できれば誰にも雇われず、自分の力だけで稼いでみたい、と思うようになりまして。で、色々構想を練って今の形でやってみようと。ま、失敗しても、働き口はいくらでもあるので。とりあえず1年ぐらいチャレンジしてみようと思いました」
★雀王を獲って以降、何か変化はありましたか?
木原「今のところはまだ何もないんですが、これからは多少あるかと思います。今回の最強戦ファイナルへの出場もそうですし、色んなチャンスがもらえるんじゃないかなと。最強戦はぜひ勝ちたいですね」
★最強戦ファイナルまであと3週間ほどですが、どういった心境でしょうか?
木原「普段から麻雀のことしかしていないので、練習量はバッチリだと思います。あとは、本番でちゃんとパフォーマンスできればいいかなと」
★木原さんの麻雀は、他の人とどういう部分が一番特徴的だと思いますか?
木原「僕自身は普通のことをやっているつもりなのですが、たしかに今回の雀王決定戦の戦い方はかなり特殊だと言われましたね。ただ、他の人と比べると打点寄りかなと思います。僕は半荘単位のゲームでも、『東場で決めてやろう』という意識が強いですね。つまり、相手を諦めさせることがトップ率を高めることだと考えているので。ですから、東場でリードしていてもさらに加点を狙うという打ち方をします。で、たまたまそういう選択が多いせいなのでしょうが、僕は天鳳の『平均得点(1半荘あたりプラス何pか)』という指標があるのですが、僕はその数字がユーザーの中でぶっちぎりの1位なんですよ。他の人、2位の人でも3点台半ばぐらいですが、僕は1人だけ4点台なので。だから大トップが多いんです、東場で決めようとするから。もちろん、中には失敗してトップをまくられてしまうのもあるんですが。そういう戦略がハマって、それが競技麻雀にも生きているかなと思います」
★天鳳だと、皆ラスを引きたくないから、余計にその戦略の効果は高そうですね
木原「そうですね。トップ目の威圧リーチとか凄く効果的です。2~3年前までは、ラスさえ引かなければいい、ラス回避ゲームという認識を持った人が多かった。リードしたらそれを守る、というような。でも、自分は『逆をやっても勝てるんじゃないかな』と思うようになって、打ち方を変えてみました。そうしたら上手くいきましたね。でも、最近は結構押し型の人が増えちゃって、あまり通用しなくなってきているなという感じはあります」
★今回のファイナルへの対戦メンバーの印象(和泉由希子・瀬戸熊直樹・サイバーカップ優勝者)はいかがでしょう?
木原「和泉さんは打ったことがないかもしれないですね。だから全く情報はないんですが、まぁ変な先入観は持たずに臨みたいと思います。そんなに奇抜なことをしてくるイメージはないので」
木原「瀬戸熊さんは、今年のマスターズの準決勝で打ちました。それが本当に久しぶりの対戦だったのですが、瀬戸熊さんは昔から雀風を変えているという印象はなかったです。その対局を後日タイムシフトでも見ましたし、大体イメージ通りの打ち方でした」
★最強戦のシステムに合わせた打ち方というのは想定していらっしゃいますか?
木原「はい。それは考えています」
★優勝したら賞金を何に使いたいですか?
木原「僕は特に物欲とかなくて…。賞金よりも称号が欲しいですね」
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最後の質問間違えてる
(著者)
そうでしたね。修正しておきました。