投手戦のA卓
2着まで決勝に進める予選。A卓は起家より、先崎学・綾辻行人・押川雲太朗・加藤哲郎の並びで始まった。
投手戦の様相で場が重く、流局が多い。初めて手がぶつかったのが東4局2本場である。
まず、先崎に1巡目テンパイが入った。
東4局2本場 親・加藤 ドラ
当然、ダブリーである。
これに親の加藤が6巡目に追いつき追っかけリーチをかけた。
この2軒リーチに対し、押川が謎のチーを入れる。
この鳴きの直後、加藤がツモアガリ。正直、この鳴きの真意が対局中には読めなかったので、後ほどインタビューを試みたところ
押川「意図は特にないんですけど…。2軒リーチが入ったんで、雰囲気を変えたい気持ちはありました。『何かをしなきゃ』『何かが起これ』と思って動いただけで。黙っているよりはいい結果が起こりやすいような気がしたので」
いわゆる「チャチャを入れた」わけである。押川はときどきこういう動きを見せるのが面白い。
南1局1本場 親・先崎 ドラ
この局がA卓の麻雀を象徴する「ドラチキンレース」となった。
西家・押川が役牌をポン。『麻雀小僧』まー坊を髣髴させる遠い仕掛けだ。
押川はドラのを引いたところで2シャンテン戻し。123の三色やチャンタドラ2を狙った。
押川の仕掛けが早かったこともあり、他家はドラのの扱いに難儀することになる。
南家・綾辻
から 打
東家・先崎
から 打
このように孤立した端牌でも残しての手作りとなるため、なかなかテンパイにこぎつけられない。ニコニコ生放送のコメントでは「一萬チキンレース」などとも評された。
結局、押川はチャンタのドラ単騎テンパイを入れる。
一方、加藤はドラのを上手く手牌に組み込みリーチをかける。
ツモ 打でリーチ
このリーチにはテンパイしている押川もたまらずオリ。結果、加藤の1人テンパイで流局した。小場で堅い打ち手揃いのこのメンバー構成なら、微差のリードでも加藤のアドバンテージはかなり大きい。残るもう1つの椅子を誰が勝ち取るかが注目された。
南2局2本場、ホンイツを押川からアガったのが先崎。これでトップ目の加藤32500を追って、綾辻26400、先崎24700という並びになった。押川16400はこれから迎える親で逆転しないと苦しい。
そんな押川にポンの後、選択の残るテンパイが入った。ドラは
広く3門待ちか、高めを期待してシャンポンか。押川の決断は後者。これが見事に決まって2600オールとなる。これで決勝進出もみえてきた。
続く1本場でも待ち選択のあるテンパイになった押川。
関連牌はが場に1枚出ていて、は見えていないという状況。シャンポンでリーチなら親っパネまであるテンパイだが、今回は打でリャンメンに受けてリーチをかけた押川。結果、をツモで裏ドラにを乗せて4000オールのアガリとなり、加藤を大きく引き離したトップ目に立った。
それにしても最初のテンパイはシャンポン、次のテンパイはリャンメンに受けた押川。その決断の材料はどこにあったのだろうか?
押川「普通の麻雀なら最初のテンパイもにしていたかもね。今回は2着にならないと意味がない麻雀で、点数的にも離れていたから高く受けたんだと思うよ。2900アガっても…ねぇ。で、次の局も、イガリン(五十嵐毅・日本プロ麻雀協会代表)が『プロへの道』でも言っていたように『高めに取る』ってことが頭に思い浮かんだんだけど、この得点になってリーチをかけるならリャンメンで良いかなと思って」
この後の2局はA卓らしく、押川・加藤の上位2人が隙を見せないまま流局に持ち込み決勝進出を決めた。押川は初の、加藤は昨年に引き続いての決勝卓となった。加藤は昨年の準優勝の雪辱を晴らすことができるだろうか!?
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