1回こっきりのイベントになるはずだった麻雀史上最強戦。だが、片山まさゆきさん優勝の打ち上げの席で、映画監督・長谷川和彦さんの「来年もやるぞー!」の声によりタイトル戦となりました。
1990年 この年は「バブル崩壊」「オグリキャップ引退」「センター試験スタート」「花と緑の博覧会」「雲仙普賢岳噴火」などがありました。
そして、この年の最強戦に出場したのは、
小島武夫・井出洋介・安藤満・畑正憲・青野滋・灘麻太郎・馬場裕一・西田秀幾・大隈秀夫・金子正輝・僧根幸男・長谷川和彦・飯田正人・青柳賢治・狩野洋一・浜田彰郎
16名。各自予選4戦を戦い、上位3名が最強位・片山まさゆきに挑みます。決勝卓に進んだのは、小島武夫・井出洋介・安藤満の3名でした。
この予選結果を受けて
片山「いちばんやりやすい三人が残ってくれたね、いいのかなぁ。えっ? もちろん楽勝だよ、楽勝。決まってるじゃない」
という強気な台詞が次々に出たとか。本気でそう思っているというより、あえて自分を奮い立たせている様子だったようです。
予選を通過した3名のうち、安定感抜群で勝ち上がったのが井出プロと安藤プロ。一方、小島プロは前3戦を3・2・3と今ひとつの調子でしたが、予選最終戦では南場の親で6本場まで積む大爆発。箱テンになった狩野プロが「すいません、借りです」と言ったことに、小島プロは陽気に「おっ、その言葉を待ってたよ」と返したとか。結果、96.2Pの大トップとなり予選2位で決勝卓に進んだのでした。
決勝は前年同様2戦勝負。決勝卓でも小島プロの勢いは止まりません。
東1局、井出プロの先制リーチを受けた親の小島プロの手がこの形。
ドラ
井出プロのリーチの一発目にをツモ。は井出プロの現物、は無スジです。小島プロは678の三色に受け追っかけリーチで勝負をかけます。そして7巡後、をツモって3900オール(当時は満貫切り上げなし)。
さらに、続く一本場。親の小島プロがこの形でテンパイします。
ドラ
ドラ2枚の役なしのテンパイ。皆さんならどうします?
親につき足止めリーチか、それとも234の三色、タンヤオ、ピンフの手変わりを待ってヤミか。
今だと即リーチのほうがマジョリティという印象ですね。小島プロの選択はヤミテンでした。
すると、上家からがが出ました。
ここで小島プロはこのをチー。打でフリテンに構えます。
ドラ
6巡後、
小島「ありゃ、安目のほうだよ」
といいながらをツモ。2000オールのアガリを決めます。この後、さらに小島プロはアガリを重ね、5万点以上の点数を稼ぎました。1回戦を終え、トップの小島プロと2位の井出プロには37.7ポイントの差となっていました(当時は27000点持ちの30000点返し。トップオカの12Pしかつかなかった)。
決勝戦2戦目の東2局では、「小島流 見せる麻雀」が出ます。
西家・小島プロの配牌がこれ。
ドラ
さらにツモはと絶好調。4巡目にはをアンカンしてこうなります。
ドラ
1戦目でダントツになったとあれば、槓ドラを増やしたり、いざというときにを落とせなくなる暗槓はしないのがセオリー。でも、そんなレベルの話にはとどまらなかった。
この後8巡目、小島プロは何とのポンテンすら取らなかったのです。
当時の人気漫画『はっぽうやぶれ』の主人公・花島タケオは小島プロをモデルにしたものだが、まさに花島タケオばりに「のみなんてケチくさか手じゃアガれんやろうもん」ていう感じだったのでしょうか。
ただ、この後親の井出プロのリーチを受け、結果的にベタオリになってしまうのでした。こういう後はなんだか嫌~なムードが漂うものですが、この日の小島プロにとってはそんなの関係ねぇ…ってところだったのでしょうか。
続く1本場の小島プロはこの形でリーチ。
ドラ
これをラストのツモで高目のを持ってくるのです。しかも、そのは井出プロに暗刻。しかも裏ドラがでハネ満となります。
さらに次局、小島プロはのイーペーコー確定でのシャンポン待ちリーチ。このリーチ受けながら何とかを重ねて待ちにした瞬間、小島プロがをツモってしまう。さすがにこれを見たギャラリーは小島プロ優勝を疑わないムードが漂ったそうです。
…ところが、ここから井出プロ・安藤プロ・片山さんの反撃が始まるのでした
以下、次回に続きます。
(第3回 了)
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