私は2009年、『日米同盟の正体』を書いて、日米の軍事関係はかつて米軍が日本にいかに自由に基地を利用するかが最大課題であったが、冷戦以降、米国は自衛隊を米国戦略に提供する方向に力を注ぎ、それが2005年日米間の合意「日米同盟 未来のための変革と再編」になり、新たな展開する状況になったと書いた。
これを推進せんとしたのが第一次安倍内閣である。
しかし、第一次安倍内閣がとん挫し、麻生内閣も短期。
福田首相は集団的自衛権に消極的。
そして民主党政権、それから第2次安倍政権になって、今一度、2005年日米間の合意「日米同盟 未来のための変革と再編」に戻り、集団的自衛権促進になった。
その意味では、2009年書いた『日米同盟の正体』は今日的意味を持っている。
幸い、講談社は本年17刷りを行ってくれた。
かつ、岩波新書、中公新書、講談社現代新書の「新書読み比べ」に入れていただいている。
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アメリカの51番目の州になったらいい。これが自民党の参議院法務部会長。自民党では何の違和感もないのだろう。
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野党5党、①安保法制廃止②安倍政権打倒③国政選挙でできる限りの協力を行う等で党首間合意
コメント
米国の深慮遠謀にタガをはめられた日本の政治家の悲劇。相反する米国と日本国民の利害の調整は、矛盾を矛盾でないように取り繕うのである。米国の戦略が功を奏し、国民にはこの矛盾が見事にいきわたっている。まともな政治家であればあるほど悩みが尽きないのでしょう。
安倍政権のように、米国従属度を深め、従属することによって、政権を維持しようとするのである。悲劇は、米国の要求に逆らわず、従順さを示せば、今度は、米国にとって無用な政権になってしまう。何故ならば、米国の要求どおり進めていれば限界があり、国民が政府に反旗を翻すからである。現在の政権も,オバマ大統領侮辱を民主党が逆利用し、安倍政権を揺さぶっている。簡単に言えば、孫悟空(米国)の手の上で踊らされている政治でしかない。小沢氏を、日本全体が、米国につき、徹底的に排除した愚かさを思い知らされている。
日本が孫崎先生ご指摘の「日本の国民の多くが知らないままに日米間の新しい合意によって世界を舞台に安全保障面で新しい役割を担おうとしている」現状に日本があることがよく理解できました。
実は、米国は9.11で出来上がった非常事態に今も尚その必要性で議論がなされることがない状態が続いているのです。米国議会はこの非常事態に何ら変更をも加えることが出来ないし、そういう見識を披露しても異端視されパージされるのです。つまり、米国憲法が棚上げされた状態が厳然として今も尚続いているのです。このような非常識極まりない変則は米国民も知らないし議会人もノーテンキだし、メデイアは伝えません。米国では9.11以降何度も大統領選挙をやりましたが、この非常事態は変わっていません。つまり、独裁国家そのものです。今、行われている選挙でも、争点になっていません。米国は非常事態にありますから、殆ど全ての国際問題は官僚やそれに準じるキャリアの思うままにハンドルされているのです。どうも、ブッシュの副大統領だったチェイニーがその体制を管理しているということが判明しています。にもかかわらず、米国のメデイアはチェイニー体制を批判しません。完全に買収されているからです。米国の民主主義は一向に復活しません。大統領選挙は単なる飾りであり、米国はチェイニーファッショ体制にあると言っても過言ではないと私は思っています。
残念ながら、日本はチェイニー体制により完全に呑みこまれてしまっています。安倍さんがオバマを重要視していないことや、今回の自民党議員の「奴隷発言」が堂々と出て来る背景が呑みこまれている証拠だとも言えそうです。
日本独自の安全保障体制を模索することは非常に重要です。しかし、現在、中国もロシアもチェイニー独裁とは断固として戦う体制にありますから、日本の安全は棄権極まりないのです。とにかく、覚醒が期待される米国民と連携してチェイニー独裁体制に異論を唱え、変更を促すことが日本の安全保障あり方を決める前になされなければならないことではないかと私は思っています。
以下、天木直人氏メルマガ(2009.3.31)より-
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◇孫崎享著「日米同盟の正体」(講談社現代新書)を書評する
政府・外務省はこの著書を徹底的に無視するだろう...特に私はこの書を...外交というものを真剣に考える未来の世代に是非読んで欲しい。そこに書かれている以下の指摘を知るだけでもこの書の価値が分かる...これらの指摘は...すべて資料や関係者の発言に基づいて書かれた事実なのである。好きとか嫌いとかの問題ではない。論争する問題ではない。事実なのである...それでは日本はどうすべきか、と孫崎氏は国民に問いかけているのだ。
1.日米安保条約は、2005年10月29日の日米外務・国防大臣間の合意(日米同盟:未来のための変革と再編)によってとって代わられた。しかし政府・外務省は、国民には、何も変わらない、といい続けてきた。
2.日米同盟関係というが、実態は、守屋元防衛次官が認めているように、米国が一方的に決めたものを日本が従うだけの関係である。そもそも自主、自立した安全保障政策を持たない日本なのだから、「共通の戦略」などあろうはずはない。米国の戦略に従うほかはない。
3.日本に国際貢献を求める米国の狙いは、政治的に受け入れやすいものからはじめて、最後は軍事協力に行かざるをえない状況にもっていくことである。PKOや人道支援、文民協力を言い出し始めたのはその戦略のあらわれだ。
4.日本人は安全保障問題を軍事的、戦略的に考える事ができないので、経済を絡ませて説得すればいい、と米国は考えている。石油に依存する日本は中東問題に貢献しなければならない、などというのがその好例である。
5.危険の分担は求める。しかし自立した抑止力は決して持たせない。これが米国の一貫した対日安全保障政策である。
6.米国の重要な外交は謀略でつくりだされてきた。南北戦争も真珠湾攻撃も9・11も、それをきっかけに国民を戦争に駆り立てる謀略だった。米国は北方領土問題でみずからの立場をわざと曖昧にし、日本とロシアを永久に争わせる、それが米国の戦略だった。
7.日米同盟を唱える者たちは、米国の戦略が正しいと思ってそう言っているのではない。損得勘定で得だと考えたからだ。「議論で勝って(正しい政策を主張して)、人事で飛ばされる」、それが組織で生き残る知恵だ。なんと寂しいセリフだろう。
8.いまの米国の安全保障政策の要は中東政策である。その米国と軍事的一体化を進める日米同盟強化が、国益なのか。日本国民のためなのか。
9.日本ではいま、ミサイル防衛が国防の柱になりつつある。しかしそれは有効ではない。ミサイルが真に怖いのは核弾頭を搭載した場合である。
そしてそのミサイル攻撃に最も脆弱なのは日本なのだ。日本はミサイル戦争をしてはならない国である。