A:事実関係

星浩「消えゆく 公平中立の役所」の主要論点

・6月にまとめられた政府の財政再建の指針(骨太の方針)は、GDP(国内総生産)の成長率見通しを「名目3%、実質2%以上」としている。しかし、今の日本経済の実力で3%の経済成長が達成できるとは、到底考えられない。原案を作った内閣府が、安倍首相らの顔色をうかがって数字を決めたとしか思えない、成長率を高く見積もれば、痛みを伴う歳出カットや新たな税負担も少なくて済むからだ。かつての経済企画庁で、エコノミ氏とたちが公平中立の数字を示していた時代なら、あり得なかった。

・もう一つ、最近、役所の公平中立を考えさせられたことがある。集団的自衛権の行使容認に伴う安全保障法制をめぐる内閣法制局の対応だ。

歴代法制局長官は、集団的自衛権の行使について「憲法上、許せない」という見解を示している。ところが、安倍首相は2012年、慣例を破っ