A事実関係
安倍首相と習近平国家主席がAPEC開催中の北京で9日か10日にも首脳会談を行う見通し。日中両政府は7日、会談の前提となる「日中関係の改善に向けた話し合いについて」と題する合意文書を発表。
合意した内容は、①日中の戦略的互恵関係を発展させていく②歴史を直視し、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた③尖閣諸島など東シナ海の海域で近年緊張状態が生じていることに異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態を回避する④政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努める――の4項目。
日中首脳会談が実現すれば、2012年5月以来約2年半ぶりで、第2次安倍内閣では初。
中国側は首脳会談開催の条件として、尖閣諸島をめぐり領有権問題が存在すると認めた上で「棚上げ」することと、安倍首相が靖国神
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コメント
米国の保守層にとって中国とロシアは目障りな存在であります。これら両国は米国の保守層の強欲性を見抜いていてしっかり反発しているのです。中国はアヘン戦争で深く学習し、ロシアはごく最近つまりエリチン時代にオルガルヒの害毒に学びました。
米国の保守層はヨーロッパではネオナチとロシア人嫌いのセンチメントを活用し、極東では靖国全体主義と中国人嫌いのセンチメントを武器にしています。米国の保守層が存在する限り、日中関係は不安定を強いられます。
さわさりながら、日中間でこのように合意書が出来上がることは極東の緊張緩和にプラスになることだと私は評価しています。
今回の北京APECの主役は将来のアジアを主導する米中首脳であり日本の影は薄い。
ケリー米国務長官が「歓迎する」と述べ、国家安全保障会議(NSC)のメデイロス・アジア上級部長が「(今回の)日中合意の環境醸成に、米国が重要な役割を担った」と強調した様に、東シナ海で不測の事態に巻込まれる事を恐れるアメリカの指導(?)により何も決められない安倍首相が渋々妥協した合意だ。相も変わらず国内向けには曖昧文書をいい事に「領土問題があることを認めたわけではない」と強調し、外務省幹部も「異なる見解」について「『緊張状態が生じている』にかかっている」などと些末な言辞にかこつけて、領有権を巡る「日本の立場が後退とか損なわれたとかは一切ない」等と説明している。
経済面の交流は多少改善するだろうが、右翼勢力が唯一の拠り所である対中強硬派の安倍首相がいやいや合意した本音が丸見えで今後も対中交渉にあたって大きな火種になる事は火を見るよりも明らかだ。
孫崎評価:
「(1)首脳会談を実現したい安倍首相は」というが、実現したいのは日本側だけではないだろう。中国に実現の要望がまったくなければ、このようなコミュニケは存在し得ない。
『 「尖閣諸島など東シナ海の海域で近年緊張状態が生じていることに異なる見解を有している」ということは、従来の政府の立場は「尖閣は日本固有の領土であり、外交問題はない」とする立場と異なるものである』というが、それは当らない。なぜなら「尖閣は日本固有の領土であり、外交問題はない」とするのは日本の立場であり、コミュニケは双方のいけんとして、中国は別の立場、意見を有していることを互いに認め合ったと言っているに過ぎない。すなわち、コミュニケは両者が異なる立場をとっていることを、認めたに過ぎず、日本側が従来の立場を放棄して新たに異なる立場(中国側に同意する立場)に立ったことを意味しない。孫崎はコミュニケを読み違えている(もしかして、意図的に)。
(ID:18367902)
米中の課題は経済的拡大であり、現在10国で協議中のTPPの去就に関心はないといえる。米中は裏舞台で中国を含めたTPPを想定しており、当然ロシアの加入も討議されているのではないか。一番のネックは日本の中国敵対行為であったのではないか。米国からの圧力は相当以上に強烈であり、しぶしぶ日本が妥協したように、中国も、体面は維持しながらも、日中首脳交渉に到達せざるを得なかったのではないか。米国、中国とも一国主義が成り立たないことを認識しているから、このような大人の対応ができるのでしょう。